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農業の現場の おはなしなどなど。

水害時のかたづけで、まず気をつけるべきは。

2019-10-15 17:27:57 | Weblog
​​水害時のかたづけで、まず気をつけるべきは。

浸水被害地の片づけ作業には、屋外はもとより 家屋内にも危険がいっぱ
い。そこで
長袖長ズボンを着用してマスクをし、手にはガラス片などによる切り傷を
防止するためのゴム手袋。また足元は、水がたまって見えないときの釘の
踏み抜きを用心するために踏み抜き防止用の中敷きをいれた長靴姿が標準
的な装備となります。
なぜに、このような服装をするかといえば、それはなんといっても身近に
いる破傷風菌対策。今回は そんな破傷風の身近にいるケースについての
2010年の当ブログの再録です。よろしかったら、ご参考に[→浸水被害
に遭遇したときの消毒例などは ​こちら​]。
 ↓

『県内で破傷風多発、家庭菜園などで感染も』

破傷風が多発し、家庭菜園もその原因のひとつでないかという発表がなさ
れたのは宮崎県。「県内で破傷風多発、家庭菜園などで感染」と、報じた
12月30日 の新聞記事 はつぎのとおり。

『家庭菜園など土いじりでも感染し、致死率が非常に高い破傷風が県内で
 多数確認されている。関係者は「誰でも感染の可能性がある。毒素への
 抗体がない40代以上の人は気を付けて」と呼び掛けている。
 県健康増進課の調べでは今年1月~12月20日の県内の感染数は8件
(全国110件)。宮崎大学医学部の中里雅光教授は「人口比で計算する
 と本県の感染数は (110件のうち)1~2件とみられるので、8件
 はかなり多い」と指摘。
 破傷風菌は土の中に存在することから「高齢者や農業に従事する人が多
 いことが原因だろう」と推測する。致死率は30~50%。
 初期症状が脳卒中などと似ているため診断が難しく、手遅れとなるケー
  スもあるという。』

というものです。

ご存知のように 宮崎県は日本有数の工業的畜産が盛んな農業県・・・・
この事実と破傷風多発の原因が、けして無関係ではないと考えてしまうの
は、わたくしだけではないはずです。

その破傷風ですが、現実には次のように病気は進行します。

 潜伏期の後、口を開けにくくなり、歯が噛み合わされた状態に
 なるため、食物の摂取が 困難となる。首筋が張り、寝汗、歯ぎ
 しりなどの症状もでる。
 ↓
 次第に開口障害が強くなる。さらに顔面筋の緊張、硬直によっ
 て前額に「しわ」を生じ、 口唇は横に拡がって少し開き、その
 間に歯牙を露出し、あたかも苦笑するような痙笑(ひきつり笑
 い)といわれる表情を呈する。
 このような顔貌を破傷風顔貌と称する。
 ↓
 生命に最も危険な時期であり、頚部筋肉の緊張によって頚部硬
 直をきたし、次第に背筋にも緊張、強直をきたして発作的に強
 直性痙攣がみられ、腱反射の亢進、バビンスキーなどの病的反
 射、クローヌスなどがこの時期に出現する。

といった症状の進み方をする破傷風。家畜伝染病予防法で届出伝染病に
指定されているこの病気は、世界的に発生し、特に家畜を集約的に飼養
する農家で発生することが多いといわれている人獣共通感染症の一つで
ある破傷風菌を病原体とする 感染症です。
感染症法施行規則で5類感染症全数把握疾患に定められており、患者を
破傷風と診断した医師は7日以内に最寄りの保健所に届け出ることが義
務とされています。

ということで、今回取り上げた破傷風。家畜がおり、台風の常襲地でも​
ある宮崎県。上記の新聞記事にありますように、致死率が高く・初期症
状が脳卒中に似ているということでもありますし、水害時などの片づけ
作業で傷をおったときなどは医療機関で早めの対処してもらいましょう。


晴れ そんな恐ろしい破傷風についての啓発といえば、なんといっても
   この映画。『震える舌』です。予告編は ​こちら​。

51P4M6yKWYL__SL500_SS75_.jpg 「夢で終らせない農業起業」「 本当は危ない有機野菜 」​