グリーンブレーカーズ by 高木肥料店

農業の現場の おはなしなどなど。

植物の状態からも効いていないミネラルがわかる。

2014-04-23 05:27:50 | Weblog
植物の状態からも効いていないミネラルがわかる。

1回目と2回目からひきつづいての微量要素に関するおはなしです。

「ミネラル欠乏が原因で出る植物体の症状」には、法則性があります。 

 たとえば 葉っぱ

「生長点に近い新葉に障害が出る場合」と、「地際に近い成熟した葉に障害
がでる場合」では、不足しているミネラルがちがいます。

その診断というか見立て方ですが・・・たとえば次のように、イエス・ノー
クイズ式に植物に吸収されにくくなっている養分を確定することができます。

たとえば上位の葉に障害がでている場合は

              
       上位の葉に障害がでる    
       ↓         ↓   

      変形し枯れる    枯れない  
      ↓    ↓      ↓

葉の周辺が枯れる  葉に斑点が出る   新葉がよじれる
カルシウム欠    ホウ素欠      銅欠乏


というふうに、診断していきます。

つぎに、下位の成熟した葉に障害がでる場合は・・・


      下位の成熟した葉に障害がでる
       ↓             ↓

      葉脈が緑色          葉脈が赤紫色
      ↓    ↓         ↓    ↓

葉が黄班・葉が巻く 葉脈間に斑点   下葉から枯れる 枯れない
モリブデン欠乏   マグネシウム欠乏 チッソ欠乏   リンサン欠乏


と、いうふうに診断していくわけです。

前回は、果実による生育診断をしたわけですが、今回は、その果実を成らせ
作物本体からみたミネラル不足症状の診断方法のご紹介でした。

つづく。


◎ このように「作物本体の状態からの診断」と、そして「果実の状態
  からの診断」をおこなったうえで、つぎは「採取した土の分析」を
  おこなうわけですが・・・なんだか人の定期検診にも似て/笑。

51P4M6yKWYL__SL500_SS75_.jpg夢で終らせない農業起業」「里地里山複合大汚染





状態をみて、入れるものを変えるのが農業。

2014-04-21 23:22:22 | Weblog
状態をみて、入れるものを変えるのが農業。K

前回の続き&次回の参考編として、土の問題だけに限った場合の
対策編。以前の分の再掲載です。

 ↓

前回・前々回などでみてきたように、土の状態や作物の生育の情況を
認識せずに、土の改良資材や肥料をただ入れさえすれば良い・または
やみくもにいれない というやり方は、非効率です。

これでは、農業経営がうまくいかない。そこで土の検査をしたり、植物
の生育状態を見たうえで・・・

 ミネラル分の少ない土には
 過剰にならないように、適量のミネラル分を入れる。


ことが大事になるわけです。同じように 

 隙間が詰まって硬い土には、軟らかい資材をいれる。
 水を加えるとドロドロになってしまう土には、
 粒子の大きいものをいれる。
 すぐに乾燥してしまう土には、粒子の細かいものをいれる。

 酸性が強すぎる土には、アルカリの資材をいれる。
 アルカリが強すぎるの土には、酸性の資材をいれる。

 痩せすぎた土地には、肥える資材をいれる。
 肥えすぎた土地には、痩せる資材をいれる。


そして

 病気が多い圃場では ウイルスや病原菌の少ない資材を入れる

といった、それぞれの状況に応じた対処法をとると、作物の生育が
よくなります
〔必然的に経営状態もよくなりますよ〕。

そうなんです、このように土や作物の育つ状態をみて、田畑に入れ
るものを変える工夫
・・・それこそが 農法であり農業ではないのかと
おもうのです。


◎ 農業経営の面からいえば、農産物の生産状況を勘案しながら
  投下する労力や財力を変化させいく
というのもまたアリです
  よね〔作物/商品が売れに売れるといった場合には、とくに〕。

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生育診断とは、ある意味プロファイリング。

2014-04-20 02:33:17 | Weblog
生育診断とは、ある意味プロファイリング。

プロファイリング (Offender profiling or criminal profiling) とは、
犯罪捜査において、犯罪の性質や特徴から、行動科学的に分析し、
犯人の特徴を推論すること。
基本的な構造は、「こういう犯罪の犯人はこういう人間が多い」という
確率論です。

この犯罪者のパターンを推論する事を「プロファイリング」と言い、推
定する専門家(捜査権を持っているとは限らない)を「プロファイラー」、
推定された結果を通常「プロファイル」と言うと、これがウィキの解説。


そういった意味では、施肥技術指導の業務は、プロファイリングに
ちかいもの
となります。

たとえば キュウリの果実

素直にまっすぐ伸びているものなら、生育も良好。土壌の状態や栽培
者の管理もよい
ということりなります。

けれど果実の形が悪くなってくると問題です。たとえば、曲がり、肩こ
け、くくれ、短形、裂果、褐色芯ぐされ、苦味果といったような、まっ
すぐでないキュウリ果実ができる場合は、それなりの不測の状態がある
わけです。

キュウリだけではなく、たとえばトマトでもそれは同じで、裂果、尻腐
果、日焼け果、すじ腐果、アミトマト、空洞果、グリーンバックなんて
いう果実の症状がでる場合は、これも土壌の異常や栽培者の管理不足が
影響している場合が多いんです。

そのような果実のできた問題点としては、

 ● 栽培管理の、とくに水をやるタイミングが遅れた
 ● 数週間前に曇天が続き、日照不足におちいっていた
 ● 元肥のたい肥のカリ分が多すぎた
 ● 病虫害がでた
 ● 栽培管理が遅れた


といったような原因が、かならずある[果実は雄弁に語る ってところ/笑]。

したがって、実際の圃場における いろいろな作物においての生育診断では、

 ● まず 果実を見て、
 ● 田畑の状態を見て、
 ● 栽培者のお話をよく聞き
 ● 参考になると思われる場所の土の採取

を おこないます。

そのうえで、土の診断結果を待って、果実の形や収量が正常となるよ
うな対策をとっていきます


ということで今回は生育診断についてのお話でしたが、これってもちろん
それぞれの個人の農業経営にも通じる話 でもありますよね。


◎ 先人達の古来からの体験と経験が結実したもの、それが農業技術
  です。何か問題があるときは、過去の事例と対策を紐解けば、た
  いがいというか、ほとんどのことは解決しそうなかんじですよ。
  
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ウイルスはどこからくるのか。鳥インフルによせて。

2014-04-18 01:29:52 | Weblog
ウイルスはどこからくるのか。鳥インフルによせて。

農林水産省のは17日、熊本県多良木町で発生した高病原性鳥インフルエンザ
のウイルスが、韓国で猛威を振るっているのと同じH5N8型熊本県多良
木町で発生した高病原性鳥インフルエンザのウイルスが、韓国で猛威を振る
っているのと同じH5N8型だったと発表しました。ということで、今回検出
されたウイルスは、おそらくは「韓国からの渡り鳥によって持ち込まれた可能
性が出てきた」ということになりそうです。
いっぽう環境省の調査チームは、「感染はいろんな要因が絡み合って起きる。
単純に渡り鳥だけが原因とは言いづらい
」と話したとされています。
ということで、今回は環境省の調査チームの発表に関連していると思われる
2011年の当ブログの回を再録してみました。

 

❝『ネズミ一匹でも大山鳴動』な時代へ❞

“まえぶれや騒ぎが大きいわりには、実際の結果の小さいこと”をたと
えたことわざに 「大山鳴動して鼠一匹」 というものがあります。
大きい山が音を響かせ揺れ動くので、大噴火でも起こるのかと見守っ
ていると、小さな鼠がたった一匹出てきたにすぎなかった
』という意味
あいになりますね。

しかしですね、家畜の大量飼育があたりまえのことになっている現在、
これからこのことわざは、『鼠一匹でも大山鳴動』 と直さねばならない
ような気配ですよ。

ということで、まずは 大陸から渡り鳥がやってくる時期になると発生
が心配される鳥インフルエンザに関する昨年2011年の関連の新聞記
事が、こちら ↓。

『鹿児島・出水の感染は「ネズミが感染経路か」疫学調査チーム結論』

出水市の採卵鶏農場で発生した鳥インフルエンザの感染経路などを調べ
ている県の疫学調査チームは14日、県庁で会合を開き、調査内容をと
りまとめた。発生鶏舎内でネズミの死骸やフンが見つかったことなどか
ら、ネズミがウイルスを運んだ可能性がある、と結論づけた。
会合は非公開。座長の高瀬公三鹿児島大教授(家禽疾病学(かきんしっ
ぺいがく))によると、感染経路について野鳥、人、空気感染などの可
能性を検証したが、いずれも否定。鶏舎からネズミ1匹の死骸と多数の
フンが見つかり、モグラの穴が鶏舎の内外に複数あったことから「ネズ
ミがモグラの穴を通り侵入してウイルスを運んだと断定はできないが、
可能性を否定できない」と結論づけた。未消毒の井戸水が鶏の飲用に使
われていたが、高瀬教授は「ウイルスは水で繁殖できず、井戸は密閉さ
れていたため、感染源と考えづらい」とした。

そして2009年4月には、こんな動物に関する発表もありました。

国内の野生のアライグマが高病原性鳥インフルエンザに感染』

国内の野生のアライグマが高病原性鳥インフルエンザウイルス(H5
N1型)に感染していたことが、東京大医科学研究所と山口大の調査で
わかった。野生動物の感染は、国内ではこれまで鳥類では報告されてい
たが、哺乳(ほにゅう)類は初めて。宇都宮市であった日本獣医学会で
4日、発表した。
東京大医科研の堀本泰介准教授らは、西日本の3地域と東日本の1地域
で05年以降に捕獲されたアライグマ988匹の血液を調べた。その結
果、10匹の血液から、過去にH5N1型に感染したことを示す抗体を
検出した。 これらの10匹がいた3地域のうち2地域は、ニワトリや野
鳥の感染が報告されていない地域だった。
発症して死んだ渡り鳥などを食べて感染した可能性が考えられるという。
養鶏場での発生がなくても、国内にウイルスが持ち込まれている可能性
を示した。
堀本さんは「感染率が1%と低く、アライグマ間での感染拡大は考えに
くいが、養鶏場への感染源になる恐れはある。ウイルスの侵入防止策を
再確認すべきだ」と話す。
国内の野生動物のH5N1型感染は、ハシブトガラス、クマタカ、オオ
ハクチョウの鳥類3種で確認されていた。アライグマは北米原産で、ペ
ットとして輸入され、野生化した。雑食で繁殖力が強く、国の特定外来
生物に指定され、駆除が行われている。
大槻公一・京都産業大教授(獣医微生物学)は「海外ではネコ科などの
哺乳類の感染が報告されており、国内で見つかっても不思議ではない。
野生動物はほかの病原体をもっていることも多く、むやみに接触しない
ことが大事だ」と指摘する。


と、されています。

ということで、今回は鳥インフルエンザの感染経路に関連しているの
ではないかと考えられている2つの新聞記事のお話をお届けしました。
よろしかったら、ご参考に。


◎ 窓というものがない最新式のウインドレス鶏舎でも感染がおこった
  ケースもあります。そうなると、ネズミやアライグマなどの小動物
  原因説には、充分に説得力
があると考えられそうです。

51P4M6yKWYL__SL500_SS75_.jpg夢で終らせない農業起業」「本当は危ない有機野菜







熊本県で鳥インフルエンザ発生です。

2014-04-13 14:06:58 | Weblog
熊本県で鳥インフルエンザ発生です。


熊本県多良木町の養鶏場で、4月13日に鳥インフルエンザの発生が確認され
ました。確認された経緯はつぎのとうり。

『県南部の多良木町の養鶏場で、11日から13日朝までに、飼育されていた
 ニワトリ5万6000羽のうち、およそ1100羽が死んだということです。
 簡易検査で鳥インフルエンザの陽性反応が出たため、県が詳しい遺伝子検査
 を行ったところ、10羽のうち2羽から、「H5」型の鳥インフルエンザウ
 イルスが検出されました。』

ということですが、ご存じのように中国や韓国で鳥インフルエンザの発生が続
いているという状況があるために、すでに

  発生農場周辺でのニワトリや卵の移動や出荷を禁止
  2か所で飼育されているニワトリ11万2000羽の処分
  ニワトリの処分や周辺の合わせて11か所で車両の消毒

といった万全の対策がとられているようです。 ニュースの概要は こちら 。

さて、そこで今後の展開ですが、

 ● 季節がすでに春になっていること
 ● 南九州では今年は雨が多いこと[じつは本日も雨]

そしてなにより

 ● 発生したのがトリが死ぬ[発生がすぐにわかる]強毒性の鳥インフル

であるといったことから[関係各位が危機意識を十分に持ったうえという条件
のもとで
]初動で徹底的な防除活動を展開すれば、感染の拡大がおこることは
今回はない のではないでしょうか。もちろん油断は禁物ではありますけれど。

付け加えまして、当ブログにおける鳥インフルをはじめとする関連記事はつぎ
のとうり。よろしかったら。

 ■ ウイルス拡散を防ぐにはスピードが命 は こちら 。
 ■ こわいのは弱毒性 は こちら 。
 ■ 豚流行性下痢 は こちら 。
 ■ ウイルスはこんなふうに広がっては こちら 。


◎ ただしそうはいっても、もちろん一抹の不安はあります。
  たとえばそれは上の資料にもある 豚流行性下痢
  この感染症は、ただいま[関係者の努力の甲斐なく]全国
  に広がり
つつありますから。

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