グリーンブレーカーズ by 高木肥料店

農業の現場の おはなしなどなど。

そろそろイラガ。

2018-06-07 15:15:31 | Weblog
そろそろイラガ。

剪定ばさみを使って クスガネモチの樹形を整えていたとき ・・・

       

右手の薬指付近に一瞬 ビリリ、 その後に ひりひり とした刺激。


      

      

イラガです。


  

電気が走ったような刺激を受けた場所をよくみると、そこには☆の形
に整列した、まだ長さ1センチにも満たない若齢幼虫期のイラガたち。

“小さいうちはそれほど棘がない” とはいいますが、それでも患部は
ひりひりひり 。 別の部分の葉をよくみると、樹の そこかしこ
にも 小集団が。

      


農業においての、たとえば果樹の成木園などでは大発生しない限り生
産上の実害はそれほどない・・といわれるイラガ類ですが、農作業中
に幼虫の毒針に触れて刺されると、気分的に厭世ってかんじになるの
で、やっぱり対策は必要でしょうね。

と いうことで今回は、 そろそろイラガ・ぞろぞろイラガ という
おはなしでした。


晴れ  独特なのがイラガ類の繭。​こちら​。 芸術的でもあり
  土俗的でもあり、 なかなかに魅惑されます。
  
 
51P4M6yKWYL__SL500_SS75_.jpg夢で終らせない農業起業」「里地里山複合大汚染




統率のとれた見事な食いっぷりに感嘆。

2018-06-06 17:40:55 | Weblog
統率のとれた見事な食いっぷりに感嘆。 7.21H

ひと月ばかり早いですが、用心・用心ということで、一昨年の回の
再録です。よろしかったら。

 ↓

先祖から受け継いできたイチイガシ。そのイチイガシの夏場の剪定も、
そろそろかなと思いつつ、枝の伸び具合を確認しようと樹の下にたっ
たところ・・・

たくさんの見慣れない虫フンを発見。 虫フン

ぁあ、これは毛虫だな、それも集団だな・・・と思いつつ、地上から
2mほどの高さの段をみると、“使用前と使用後の映像”に使えそうな
ほどに食害されたイチイガシの姿があった。


 使用前   カシ・使用前

 ↓

 使用後   
       td?

そして、その使用前と使用後の境い目に、集団でいたのが

 境目の集団

“奇妙な果実”ふうに、自分よりもすこばかり大きい程度の大きさしか
かないはずのカシの葉っぱにさえ、無数に取り付いて葉を貪るケムシ、
逆光でみると黄金色にみえる長い毛をもったケムシ の 群れでした。



おそらくは クロツマキシャチホコの 幼虫たち。

ののケムシ1  ケムシ4

のののののケムシ2

陣笠代議士の投票行動にも似た、その統率のとれたみごとな食いっぷ
りには[カシを大切にしてきた先祖の霊に叱られるであろうことも忘
れて/笑
]おもわず見とれてしまいましたよ。


晴れ クロツマキシャチホコ。この長ーい毛には じつは毒は
  ないのだそうですよ。とはいっても、これまでさんざん
  毛虫をはじめとする害虫に刺されてきた身 としては、
  素手で触るのは、さすがに無理無理。

51P4M6yKWYL__SL500_SS75_.jpg夢で終らせない農業起業」「里地里山複合大汚染









イネには「三黄」がある。

2018-06-04 17:27:37 | Weblog
イネには「三黄」がある。

そろそろ穂肥の時期となる宮崎県沿岸部における早期水稲作。そんな
イナ作の生育と肥料の考え方についての回となります。

 ↓

イネ作りにまつわる昔からの言葉で、 「イネには三黄がある」 と
いう言葉があります。これは、

 イネを栽培するあいだにおいて
 3度、葉の色を薄く〔栄養を落とす〕したほうが良い時期がある


という意味です。また

 この3つの生育時に、葉の色が濃すぎている〔栄養が効きすぎ〕と、
 その後の生育がうまくいかなくなってくる


という イネ栽培の様子をあらわしている言葉 にもなります。

つまりイネの三黄色とは・・・

いつもいつも肥料を効かせておけば良いという考えや、肥料はやらなく
ていいという考え
とは、対極にある〔昔からの〕考え方となります。

実際の栽培においては・・・

元肥/植え付け前の肥料をいっきにドカンとやる方法では、いつまでたっ
ても肝心なときに葉の色が抜けず、低温とか日照不足などの異常気象が
襲ってきたときに思わぬ障害〔病害虫〕に侵されやすいこととなりがち
となります。

反対に肥料が足らなくては、日照りの年では、絶対的な収穫量が不足し
たり、収穫時期がそろわなくなる場合が多くなりがちになります。

その対策として、『イネの三黄』の時期を頭において、作業管理を行う
わけですね。

具体的には、田んぼの水管理を考えたり、 田の中に酸素を入れたり、
あるいは生育を調整するためにカリの多い肥料を与えたり、リンサン
とマグネシウムの割合の多い肥料を与えたりといった管理となります。

そして、その葉の色を落とす時期ですが、具体的に落とす時期となる
のは、

 ● 田植えの時期
 ● 穂がでる25日前くらいの栄養生長期から生殖生長期への転換期  
   そして
 ● 穂が出た後の収穫期

の3回となります。

このように変化する気象や作物の成長に伴う生理にあわせて、あるとき
は適応する栽培管理を行う
、そして またあるときは足らない成分をい
れ多すぎる成分を抜いたりする
・・・・これが作物栽培と収穫の原則で
あり、それこそが『栽培』なのだと思わずにはおられません。

以上、今回は 作物には肥料を控える時期と効かす時期があるという
おはなしを、『イネの三黄』をご紹介することでご説明してみました。


晴れ もちろん肥料を控える時期と効かす時期があるのはイネだけとは
  限りません。ほかのいろいろな作物にも、共通することなん
  ですよ。
  そういった意味で、イネつくりは作物栽培の基本を学ぶのに最適
  であるともいえそうです。

51P4M6yKWYL__SL500_SS75_.jpg夢で終らせない農業起業」「本当は危ない有機野菜




生き物にもやさしい『溝切り』。

2018-06-01 15:22:04 | Weblog
生き物にもやさしい『溝切り』。G

昨年一昨年よりも少し遅れ気味で例年並みの生育をしている早期水稲。
中干し期間の終わり/穂肥施肥前 いうことで、定番の回の再掲載です。

 ↓


タズリさまにて草をとられ、土中のメタンガスや硫化ガスをだされた田
は大きく育ってきます。そして充分に育ったところで 「中干し 」で、
イネに気合を入れたその後の管理です。

そんな田んぼに関する作業で、最後の仕上げの作業があります。
それが 「溝切り」 です。

これは 田の中に

 5~10m間隔に深さ約10~15センチ・幅約20センチの

を掘ること 、なんですよ。


ののののの 溝切り溝.jpg 


タズリさまと同じで、いまはエンジン付きがありとても楽。 そうです
ね、今年もやってみたのですが、田の中の周囲と、田の中に3本の溝を
掘って、10アール当たりで、だいたい30分というところ。

なあにやってみれば 早いものです。

 機械は こんなかんじ  です。
 最近は トンネルを掘る ようなものもあるんです。

そんな溝を、田の中に掘ることで、なにが変わるのだろう・・・なんて
おもいますでしょう?けれど、これがもうまったく・たいしたものなん
です。

中干しで水を抜きたいときには、この溝を使ってササッと排水できます
し、逆に田が乾いて水を入れたいときは、この溝を伝ってスムーズに水
がはいる。

 それはもう感激もの。すばらしい技術なんです。

そしてこの技術には、もうひとつ、とても感心するところがあるんです。

 なんだとおもわれます?

それは、田の水が干されるときに威力を発揮します。
水の出し入れのために掘ったはずの、その溝が、メダカやオタマジャク
シなどなどの田に生きる水棲生物のための〔用水路への〕避難路に
なる


ののののののののの 溝切り・全体.jpg


ことなんです。

昔から伝えられた農法は、生き物に対するやさしさを持っている』と、
かんじる瞬間ですね。


晴れ 『水の管理は、稲つくりの半分を占めるほど大切な作業
  である
』という、 みずみはんさく のお話は こちら 。
  

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