2月5日に新宿消防署へ行き、「たぬきの森」の建築確認事案について、予防課長(消防指令長)、予防係長(消防指令)、警防課課長補佐兼防災係長(消防指令)と意見交換をしてきた。
管理人が問題意識をもった「東京消防庁 消防水利の基準」と「牛久市消防水利施設等の設置基準」については、「たぬきの森」事案には単純に当てはめることは出来ないことが分かった。
一番収穫があったことは、消防署がおこなう「建築確認の同意」(注1)はあくまでも「建築物の防火」であって「建築敷地と道路、崖擁壁」は対象ではないと言うことを改めて認識したことであった。
であるからして、新宿消防署は異例の意見書(注2)を提出したようである。
ここから考察出来ることは、そもそも「縦割り行政」になっていなかったことである。
即ち、建築基準法と消防法によって「建築物の防火対策」については補完し合う関係である。ところが東京都建築安全条例と東京都火災予防条例は一切そのような関係にはない。東京都建築安全条例で(建築物の敷地と道路との関係)について規定されているのは「防火対策上」の観点からである。そうであるならば都知事及び特別区長は建築安全条例の「安全認定」にあたっては所轄の消防署から「同意」を求めるように条例改正が必要である。
だからといって、「たぬきの森」の建築敷地を「安全と認定」(注3)した新宿区長(建築指導課長)の責任が軽くなるのではなく、反って「防火対策を認定した」その行政責任が重かったことを証明することになると考える。
もちろん「安全認定」を申請した(株)都市デザインシステムも新日本建設(株)も同罪と考えることができる。(続く)
次回は「貸金業の規制に関する法律」「保険業法」「所得税法」「公認会計士法」等に係わる諸官庁の「縦割り行政」について論じたいと思う。
(注1)消防法 第7条 建築物の新築、増築、改築、移転、修繕、模様替、用途の変更若しくは使用について許可、認可若しくは確認をする権限を有する行政庁若しくはその委任を受けた者又は建築基準法の規定による確認を行う指定確認検査機関は、当該許可、認可若しくは確認又は同法第6条の2第1項の規定による確認に係る建築物の工事施工地又は所有地を管轄する消防長又は消防署長の同意を得なければ、当該許可、認可若しくは確認又は同項の規定による確認をすることができない。
(注2)
平成18年6月30日
新宿区建築主事 殿
東京消防庁
新宿消防署長 高田 茂
仮称「 (黒塗り) 」の消防同意時における意見
このことについて、新宿区下落合4丁目768番地に建築予定の仮称「エクセレント目白御留山」の建築確認に対して同意をしますが、下記のとおり意見を添えます,
記
仮称「 (黒塗り) 」を建築する予定の下落合4丁目地域は、当署で「地勢状況により消防活動が困難となっている区域」として警防対策を策定している地域です。
当該建築予定地へ消防自動車が向かう道路は一本であり.更に、その道路の最も狭い地点で電信柱と塀の間を実測したところ、3.3メートルでした。この地域は道路狭隘地域であり、消防活動の困難な地域と言わざるを得ません。
また、当該建築予定敷地が道路に接する部分から主たる敷地までの路地状の敷地那分は、最も狭い部分で4メートルの幅となっています。
これらのことから.建築主に対して消防活動を一層考慮した指導を願います。
(注3)第四条 延べ面積(同一敷地内に二以上の建築物がある場合は、その延べ面積の合計とする。)が千平方メートルを超える建築物の敷地は、その延べ面積に応じて、次の表に掲げる長さ以上道路に接しなければならない。
延べ面積 長さ
千平方メートルを超え、二千平方メートル以下のもの 六メートル
二千平方メートルを超え、三千平方メートル以下のもの 八メートル
三千平方メートルを超えるもの 十メートル