5月中の日曜日に、家康・秀忠・家光の三代でつくりあげた江戸城と外濠を三時間コースの二日間で散策する企画をしました。
一日目は「桜田門から皇居東御苑」、二日目は「半蔵門から外濠四谷御門」を散策するコースです。
雨天決行としますので地下鉄駅東京メトロ改札口を集合場所とします。よって、改札口が二つある有楽町線「桜田門駅」と、改札口が三つある半蔵門線「半蔵門駅」を下見をしてきました。
一日目「桜田門から皇居東御苑」
集合場所:東京メトロ有楽町線桜田門駅「皇居方面」改札口前
コース:桜田門⇒二重橋⇒坂下門⇒大手門⇒皇居東御苑⇒平川門
解散場所:東京メトロ東西線竹橋駅
二日目「半蔵門から外濠四谷御門」
集合場所:東京メトロ半蔵門線半蔵門駅「国立劇場方面」改札口前
コース:半蔵門⇒三宅坂⇒赤坂門跡⇒紀伊和歌山藩徳川家屋敷跡⇒食違門跡⇒近江彦根藩井伊家屋敷跡⇒尾張名古屋藩家屋敷跡⇒四谷門跡
解散場所:JR四ツ谷駅
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下見をした時に幾つか分からない点がありましたので、千代田区文化財係に質問しました。文化財係学芸員から回答がありました。
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長谷川 順一様
お世話になっております。
お時間を頂きありがとうございました。
内容について、確認が取れましたので、下記のとおり回答申し上げます。
なお、不明な点がございましたらご連絡ください。
まずご回答の前に、区の文化財等に関する説明板の設置について少しご説明申し上げます。
ご存知のとおり千代田区には、歴史的な事件、事象、対象物、人物(もしくは人物ゆかりの場所)などが多岐に渡り様々な歴史的事項が存在します。
しかし、それら全てに説明板をつけると、説明板の乱立を招きかえって景観を損ねることの問題がすでに区民の方からも指摘されております。
また、説明板の新規設置についてはまれにご提案を頂きますが、史料的裏付けに乏しく伝承的な事項もあり、設置が難しい案件も多数ございます。
そこで近年、概ね説明板の設置については下記の2点を方針として対応しております。
区の成り立ちや歴史・文化を紹介する上で欠かせない事項であることを前提に、
・千代田区(もしくは国・都)の指定文化財であること
・千代田区の文献調査や発掘調査等を経て、正確な情報が明らかであること
つまりは、しっかり調査を経たもので資料に基づき、区に関わる正しい歴史や文化が明らかになっているもののみを設置するようにしております。
それを踏まえての回答となります。
1)Q 半蔵門の由来は服部半蔵の屋敷があったと言われていますが、何処にありましたか。説明版はありますか。
A⇒現在説明板の設置はしておりません。
「江戸砂子」等の記述に寄れば、半蔵の屋敷は麹町五丁目にあったとされます。しかしその裏付けは現在なされておりません。
また「武州豊嶋郡江戸庄図」によれば、服部玄蕃なる人物の屋敷が半蔵門入ったところにあったと記載されています。
しかしこれは、服部半蔵との関係が不明な人物です。結局のところ、半蔵の屋敷の正確な位置は不明なため説明板は設置しておりません。
2)Q 甲州街道一里塚とグーグルマップにありますが、説明版はありますか。
A⇒説明板はありません。
今回のご連絡で、「甲州街道一里塚跡」なるポイントがあることを、初めて知りました。
なぜこの場所にこのような表示があるのかはわかりませんが、日本橋から4キロの距離なので、追加したのでしょうか。根拠も確認できておりませんので、今のところ説明板はありません。
3)Q 江戸城天守台跡に四角いプレート板がありますが、測量部のものですか。
A⇒江戸城天守台跡のプレートは、基本的に宮内庁が設置していると認識しております。
4)Q 大手門、天守台、桜田門、赤坂門に「几号水準」がありますが、説明版がありません。制作する計画がありますか。
A⇒特に制作する計画はありません。
「几号水準」はほかにもたくさんあります。すべてにつけるわけには行きません。
ただし国の指定文化財となった水準原点には、所有者が説明板を設置しております。
5)Q 「桜田門の変」の場所に説明版がありますか。
A⇒特にありません。
区内では事件と名の付くものは膨大にありますので、特定の事件のみを取り上げる予定はありません。
6)Q 紀尾井町の「徳川家屋敷跡」は中屋敷と言われていますが、その根拠は。
A⇒紀尾井町の「徳川家屋敷跡」は紀州家と尾張家が想定できますが、どちらのことになりますでしょうか。
紀州家:「諸向地面取調書」(安政期の情報)には、紀尾井町屋敷は「上屋敷」という記載がありますが、
尾張屋版の切絵図(幕末)を見ると「中屋敷」となっています。
拝領以来上屋敷として使用されていましたが、文政6年の火災で赤坂の中屋敷に移り、そのまま赤坂の屋敷を上屋敷として使用したと言われています。
尾張家:「諸向地面取調書」には、「屋敷」と記載されておりますが、同様に尾張屋版の切絵図(幕末)を見ると「中屋敷」となっています。
7)Q 弥助砲の説明版を設置する計画はありますか。
A⇒特に設置する計画はありません。
弥助砲そのものだけでは、千代田区との関わりという点では少し薄いかと思われます。
8)Q 大久保利通襲撃場所の説明版がありますか。
A⇒襲撃場所の説明板は設置しておりませんが、清水谷公園内に大久保利通哀悼の碑があり、それについては千代田区の文化財となっているため、 大久保利通や襲撃された事実書きとともに説明板を設置しております。ただし場所を明確に示すものはありません。
なお「贈右大臣大久保公哀悼碑」自体が、事件現場の近接地に、北白川宮家から敷地を借りて設置されております。
そのため、哀悼碑がある西側の辺りの路上で、襲撃されたものと考えています。
9)Q 甲武鉄道飯田町駅の「ゼロキロポスト」がJR貨物駅跡にありますが、マニアしか知りません。千代田区は標柱しかありませんが、詳細な説明版を制作する計画がありますか。
A⇒特に設置の予定はありません。
なお、ご指摘があった目白通り沿いの歴史のプロムナードの石柱は、区ではなく地元商店街が振興目的で設置したものになります。
以上となります。
宜しくお願い申し上げます。
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千代田区役所 地域振興部文化振興課文化財係主事(学芸員)
〒100-0012
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日比谷図書文化館4階(文化財事務室)
TEL:03-3502-3348 / FAX:03-3502-3361
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旧江戸城の「几号水準」もガイドします。
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(了)