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「憲法は運動で力を発揮する」渡辺治一橋大学名誉教授「若者憲法集会」講演

2023年06月29日 | 憲法・平和・人権・防衛

11日、「若者憲法集会」で講演した渡辺治一橋大学名誉教授の若者憲法集会が行った講演の要旨が、しんぶん赤旗国民運動欄に「憲法は運動で力を発揮する」として掲載された。

文字起こし

 憲岳の力には三つの原則があります。第1は、憲法にどんなにいいことが書いてあっても私たちが座っているだけでは憲法は力を持たないということです。しかし第2、憲法を蹂躙する現実に泣き寝入りせずに私たちが立ち上がったとき憲法は現実を変える力となります。 
 ジェンダー差別を例に考えてみましょう。憲法14条は法の下の平等を明記していますが、1960年代前半、多くの大企業では、女性は結婚するか一定期間働くと退職させられる結婚退職制度が設けられていました。 
 たたかいの武器に 
 しかし64年、当時の住友セメントに働く女性が、結婚退職制度は違憲だと訴える載判を起こし、東京地裁は訴えを認め、裏法14条等に反すると判決しました。これを機に多くの大企業は同制度を廃止せざるを得なくなりました。以後差別定年制、昇進昇格差別撒廃のたたかいでも憲法は武器となりました。 
 第3、憲結の力は立ちあがれなかった多くの人々にも及ぶということです。同制度の廃止で、何百万人に及ぷ女性が働き続けるよつになったのです。 
 では9条はどんな力を持ったのでしょうか。東ァジアでは朝鮮戦争、ベトナム戦争、湾岸戦争、米国のアフガン侵攻、イラク戦争と戦争の連続でしたが、戦後の日本は78年間、米軍が駐留し自衛隊も作られましたが、これら戦争に直授参加せず「戦争しない国」を維持しました。 
 政府は、日本が戦争をしないですんだのは在日米軍と自衛隊の力だと言います。しかし韓国やフィリピンも米軍は駐留し軍隊を持っていますが、ベトナム戦争への参戦はじめ戦争を経験しています。 
 日本が戦争しない国を続けられたのは、運動のカで改憲を阻止し、憲法9条により自衛隊の活助が制約されてきたからです。 
 60年安保闘争では条約改定こそ強行されたものの、改憲と軍事大国化の企ては阻止されました。その後も、自衛隊の違憲性を問う恵庭事件や長沼ナイキ裁判がたたかわれ、政府は自衛隊が「戦力」ではないと強弁するため集団的自衛権は行使しないなどの制約を設けさるをえなくなりました。これが戦争しない国を維持する大きな力になりましたた。 
 戦後の日本が戦争に巻込まれる危険は大きく二つありました。一つは米国の侵略戦争に集団的自衛権行使で加担することです。ベトナム戦争時、韓国は延べ32万の軍隊を送りましたが、日本は断らさるを得なかった。 
 もうーつは領土紛争の軍事衝突への発展です。中国は周辺諸国との領土紛争でたびたび軍事衝突や戦争をしています。日本も「北方領土」、竹島、尖閣などの領土粉争を抱えていますが一度も軍事衝突にはなっていません。他国からの武力行使がなければ武力行使できないという9条の制約があったからです。 
 大軍拡ストップを 
 こうした戦後78年間の教訓を踏みにじろうとしているのが、岸田政権です。自衛隊にかけられた制約を外し、9条を変えることをも狙っています。 
 第2次安倍政権が強行した集団的自衛権の行使により一層危険なものとなりました。「台湾有事」では日本の参戦が求められるからです。それにこたえたのが「安保3文書」改定と大軍拡です。「台湾有事」に米国の戦争に加担する攻撃的軍隊への自衛隊の大改造が狙われています。 
 「台湾有事」を防ぐために市民がやれることがあります。日本が集団的自衛権を行使しないと宣言すること、大軍拡と改憲にストップをかけることです。私たちが改憲を阻止すれば、アジア諸国と世界に対する強いメッセージになります。 
 憲法の理念は未完です。それどころか、岸田政権の改憲策動で憲法は戦後最大の危機に直面しています。この危機を乗り越え、9条に基づく日本とアジアの平和を創る主投となるのは、あなた方、若者です。若い人が立ち上がれば.全世代を大いに励ますでしょう。 

(了)

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