福島章恭 合唱指揮とレコード蒐集に生きるⅢ

合唱指揮者、音楽評論家である福島章恭が、レコード、CD、オーディオ、合唱指揮活動から世間話まで、気ままに綴ります。

父ヤルヴィ 本物の指揮者

2014-04-25 14:30:56 | コンサート
昨24日は、二期会の「蝶々夫人」に続けて、サントリーホールに於けるNHK交響楽団のB定期。
ネーメ・ヤルヴィ指揮のリヒャルト・シュトラウス。
滅多に実演で聴けない作品の並んだプログラムだ。

R. シュトラウス
祝典前奏曲 作品61

紀元2600年祝典曲 作品84

休憩

バレエ音楽「ヨセフの伝説」作品63


以上3曲、どれも実演ではじめて接する、というより、レコードやCDでも殆ど聴かない作品なので、
正直、頭で曲を追うので精一杯で、「作品を堪能した」というところまではいかない。
しかし、これだけは言える。
「凄い音がしていた!」と。

ヤルヴィの指揮は本物だ。
大柄の体躯に決して器用とは呼べない棒。
ひとたび、その腕が振り下ろされると、凄まじいエネルギーとともに空気の波ができて奏者たちに襲いかかる。
その波を受けた奏者たちから生まれる音の力強さと美しさといったら!
個性の違いこそあれ、どこかマタチッチを思わせる指揮に胸が高鳴ってしまった。
この音でブルックナーを聴きたいなあ。

標題にも「父ヤルヴィ」と書いたように、最近、脚光を浴びるのはもっぱらパーヴォ、クリスティアンといった息子たちであるが、
指揮者としての風格を言えば、断然、父が上であろう。

ネーメ・ヤルヴィの次の来日が楽しみであるとともに、レコードやCDも集めてゆこうと決心した次第。


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二期会「バタフライ」2日目

2014-04-25 00:35:58 | コーラス、オーケストラ


前の記事にも書いたとおり、二期会の「バタフライ」2日目を観た。

第1幕を終えての感想は・・・。
うーん。
木下美穂子の蝶々さんと小林由佳のスズキは良いとして、ピンカートンが良くない。
声も姿も軽量級で、どうしてもアメリカ軍人に見えず、酔えないのだ。
このあたり、オール日本人キャストによる公演の難しいところか。

ボンゾも田舎芝居で感心せず、神官の声も出ていなくてガックリ。
コーラスの発声も、新国立劇場に較べると、だいぶ落ちる気がする。
演出が正統的なだけに、脇のキャストの弱さが気になって仕方がなかった。

もう一つの難敵は、私の周りの客席の雑音。
2階中央席のあちこちから、のど飴等のビニール音が聞こえてくるのには閉口。
ついでに、どこかは分からないけど、僕の大好きな蝶々さん登場の場面で、デッカイくしゃみしたオッサンの首を絞めたい(笑)。
なんで、あの夢のように素敵な場面でくしゃみするかなあ???

第2幕、第3幕で挽回せねば、ということで、まずは、環境を変えた。
ビニール音、咳などの雑音が休憩後に収まる保証がないため、1階最前列の下手寄りへ移動。
本当はいけないのだろうけど、まあ、同じカテゴリーだからご容赦願おう。

すると、怪我の功名か、声もオケもずっとリアルで、さらに歌手達の表情もよく見えて良かった。
少なくとも、東京文化会館でのオペラ鑑賞は舞台に近い方が良い、と再確認。

さて、第2幕は、殆ど蝶々さんの独壇場。
ピンカートンの出番はなく、蝶々さんとスズキさえ優れていれば良いので安心。
木下美穂子の蝶々さんは感情移入が素晴らしく、スズキの小林由佳も蝶々さんへの献身ぶりが胸に迫ってきた。
終盤のデュエットのみ、ハーモニーに破綻があったけれど、全体的には満足。

休憩なしに突入した第3幕。
近くで観ても、僕の感性は、あのピンカートンは受け付けなかった。

ルスティオーニの指揮は間近で聴くと、いっそう詩情に溢れて瑞々しい。
都響からイタリアの香りが立ち上るのが素敵ではないか。
この若き指揮者が、今後、たびたび来日してくれることを望もう。

というわけで、プッチーニの音楽の素晴らしさを味わうことのできた良い午後であった。

ピンカートンが趣味でなかったことと、大好きな第1幕が、心無い客の雑音で台無しにされたことが、ただただ悔やまれる。


二期会「蝶々夫人」第2日
2014年4月24日 14:00開演 東京文化会館大ホール

指揮:ダニエーレ・ルスティオーニ  
演出:栗山昌良
舞台美術: 石黒紀夫
衣裳: 岸井克己
照明: 沢田祐二
舞台設計: 荒田良
合唱指揮: 佐藤宏
演出助手: 澤田康子
舞台監督: 菅原多敢弘
公演監督: 高丈二


【配役】
【蝶々夫人】 木下美穂子
【スズキ】  小林由佳
【ピンカートン】樋口達哉
【シャープレス】泉良平
【ゴロー】 栗原剛
【ヤマドリ】 鹿野由之
【ボンゾ】 佐藤泰弘
【神官】 渥美史生



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