福島章恭 合唱指揮とレコード蒐集に生きるⅢ

合唱指揮者、音楽評論家である福島章恭が、レコード、CD、オーディオ、合唱指揮活動から世間話まで、気ままに綴ります。

無知ゆえの罪

2016-05-04 12:17:33 | 日記
拙宅の裏庭に植えてもいない樹が自然に生えてきていることは、一昨年から気付いていた。

そのまま、見て見ぬ振りをしていたのだが、今年になって急激にグングン背を伸ばし、瑞々しい葉をつけた枝をいっぱいに広げているのをみて、何故だか恐怖を覚えてしまった。その姿のあまりの美しさに、却って恐怖心を煽られるようであった。

裏庭はスペースが広いとはいえず、このまま大木になられても処置に困る。裏手のアパートの日照にも影響しそうだ。そこで、手に入れたばかりの高枝鋏にて、バザバサと斬ってしまったわけだが、どうにも胸が痛んで仕方がない。

ところで、今朝、レッスンに向かった某駅前の植樹スペースで、わたしがバッサリやったばかりと同じ葉を見掛けた。ハナミズキである。

ああ、そうだ。あの葉にはどこか見覚えがあった気がしていたのだ。せっかく自生してくれて、人知れず健気に成長をつづけていたハナミズキを無残な形にしてしまったなんて、無知とはいえ罪だ。いや、無知ゆえにいっそう罪深い。得体の知れぬものを、正体を確認もせず恐怖するとは、なんと愚かだったことか・・。

あの生い茂る葉の美しさ、天に伸びゆく幹の力強さ。生きるぞという、その若い命の訴えになぜ気付けなかったのかと思うと、悔恨しかない。大木になられては困るのだけれど、もう少し待ってあげてから、世話をすることはできたはずだ。

いま、改めて、刈り込まれ、小さくなったハナミズキを眺めてきた。まだ辛うじていくらかの葉は残っている。葉は懸命に太陽の恵みを享受しようとしているように見えた。

なんとか、生き延びて、再び天を目指し背を高く伸ばしてほしい。


聖トーマス教会の「マタイ受難曲」第2部、DVDテスト版のチェック完了

2016-05-04 02:56:39 | コーラス、オーケストラ

聖トーマス教会の「マタイ受難曲」第2部、DVDテスト版のチェック完了。
訂正すべき箇所多数で列挙するのも大変であったが、その指示に沿って編集し直すエンジニアのご苦労はその比でなかろう。同情を禁じ得ないが、こればかりは妥協するわけにいかないのだ。ご容赦願いたい。
さて、やっと風呂に入って寝られる。


聖トーマス教会「マタイ受難曲」試作映像を観る

2016-05-01 02:21:11 | コーラス、オーケストラ




聖トーマス教会に於ける「マタイ受難曲」より第1部の映像、その試作品を鑑賞。限られた条件での撮影としては上々と思われる。アングルやカットの選択など、言い出せばキリはない。わたし自身、演奏に集中していたため、カメラワークにまで助言する余裕はなかった。いまは、この映像が存在する、ということだけに感謝しなくてはならないだろう。

まだ音声はダビング前、カメラ内臓マイクよる仮のものだが、この残響たっぷりの音は、あの日お客様の聴いた音に近いような気もする。これはこれで別バージョンとして保存したいくらい。



改めて、演奏はよい。少なくともレチタティーボとアリアに関しては、歴史的名盤の数々に肩を並べることのできる名演中の名演であると確信する。コーラスについては、本来の実力を遥かに上回るパフォーマンスとなったことを祝福するのみ。

自分の指揮法については、自分で想像していたより無駄な動きが多く、今後はより無駄を削ぎ落としゆこう、と決心したところ。

とまれ、現時点で一般公開や発売の予定のないことは惜しまれる。というより、公開するためには演奏家たちとの契約を覆す必要があり、かなりの手間暇がかかる。しかも、交渉に成功する可能性は高いとも言えない。いずれ、その時の訪れることを信じたい。