明鏡   

鏡のごとく

じいちゃんとふろ

2011-03-06 21:17:23 | 小説
じいちゃんとふろにはいるとせがれがいった
風呂用介護椅子にすわるじいちゃんをじいっと見ていた
洗い場はじいちゃんの椅子でいっぱいいっぱいで
でるにでられずゆであがって
ついに風呂桶の手すりに仁王立ちしていた
じいちゃんはひとりではなかなかたちあがれないが
おまえはかるがるとまたがるな
つえをついても
たちあがっても
すべりやすいから
風呂場もいのちがけだな
かあちゃんは風呂場でレインコートをきて
じいちゃんのせなかをあらって
おしりはじぶんであらってじいちゃん
さいていげんの自分は死守せよ
なんでもひけらかせばいいものではないって
じいちゃん
せなかをながしておしまいよ