明鏡   

鏡のごとく

『二ーチェの馬』

2012-06-20 16:09:37 | 日記
二ーチェの馬を見る
馬はいななき家路を走る
砂まじりの風は吹きすさんでいる
木枯らしが火星のように吹きすさんでいる
家では娘は片腕の利かない父親の着替えを手伝っている
夜になって木食虫の音が聞こえなくなったと云う父親

二日目か
三日目だったか
男がやってくる
焼酎をわけてくれと云う
町は崩壊したと云う
堕落したものが壊していく
善悪を越えて壊していく
神等いない
と男は云う

木枯らしは吹きすさぶ

いっさつの聖書を娘は読んでいる
この家はこの親子の教会のようではあるが
祈りもなく
聖書を家路につく馬のように指で辿っていく

木枯らしは吹きすさぶ

井戸は涸れた
火も落ちた
暗闇の中
いつものなまなかなじゃがいもだけの食事
たべなければならない
と父親は云う


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すくいのないものとーん
とちゅういしきをうしなったようにねむりにつく
せもたれのないいすにすわるまいにち
そとはかぜばかり
そとはかぜばかり