明鏡   

鏡のごとく

『蠅』

2012-07-27 10:51:44 | 
すこしだけそこにのこった麦茶の瓶に
閉じ込められた蠅がいた

注ぎ口を覆う手が見える
出口なしのものにはふたをする

透明な埴輪のような空洞の中を飛び続けている
うめられるのは時か死か

時は琥珀に閉じ込められ
死は麦茶に沈んでいった

止った死
飲み込めない時

『とりもどす』

2012-07-27 10:37:05 | 
二度行かなければいけなかったのだ
記憶は二度見され
確かにそこに辿り着けたのだ
一度目は今の家族と
二度目は魚眼レンズと

空港が使えなかったのはなぜなのか分かった時
革命は総入れ替えに過ぎないことを知り
外からの力が強いか
内からの力が強いか

そこに精神があったにしろ
ふみつけられて道になっていったにしろ
私は内外の記憶という
時に会いにいったのだ

あそこでせみがないている
ここでもせみがないている
とりもどせそうか
とりもどせそうだ