そもそも、日本の格差問題を固定化し、かつ深刻化させたのは、80年

代から急速に労働現場に浸透した非正規労働者の存在で、正社員が担

っていた仕事の一部を、低賃金の非正規労働者に置き換えたのだから

格差が拡大するのは当然である。

 

今の日本社会を「格差社会」などという言葉で表現するのは実態を表

してなく、格差社会よりもはるかにシビアな「階級社会」へ変貌を遂

げている。それは、出自や教育環境、就職時期の経済環境などによっ

て階級が決まる「現代版カースト」ともいえる理不尽な世界である。

そして厄介なことに階級格差は親から子へ、子から孫へと世代を超え

て連鎖し受け継がれていき、世襲されることで、格差は加速度的に広

がっていく。

 

そして、新型コロナウイルスの感染拡大は、階級格差をさらに広げる

「副作用」を引き起こした。このことについては、またの機会に詳し

く考察することとします。

現代の階級社会は、血統や資産を持つ「資本家階級」、大企業エリー

トやホワイトカラーなどの「新中間階級」、自営業者や家族経営従事

者などの「旧中間階級」、単純作業やサービス業・販売業などの「正

規労働者」、非正規労働者の「アンダークラス」の5階級に分類され

るようだ。

 

現代の日本社会は、血脈・血統を持つ一握りの上級国民が制する「新

・階級社会」へ変貌を遂げ、これが日本型「カースト」の偽らざる実

態である。もはや、この国は経済大国ではなく、貧困大国になってし

まったのかもしれない。