かめにさす 藤の花房 短ければ 畳の上に届かざりけり
ご存じ子規の歌です…
結核で闘病だった子規が
布団の中で外では無い
かめの中の藤、見ていたのでしょうね。
子規が元気で、五月の晴れ渡った中を闊歩出来る健康状態だったら
この歌は生まれなかったのでしょう…
動けない切なさが伝わってきます。
今、我が家の庭に藤が満開に咲いています。
藤が咲くと、何となく思い出してしまいます。
また、ツバメが飛ぶ頃になると思いだす歌は
のど赤き つばくらめ一羽 梁にいぬ たらちねの母は 死にたもうなり
島木赤彦の歌です。
時期によって、忘れていた歌を思い出す…
それはまるで連想ゲーム
ツバメの色は黒で、梁のある空間も私のイメージでは暗い…
そんな中で「赤」が冴えわたる。
赤彦の悲しみが伝わってくるようです。
歌人たちは、時空を超えて
突然現代人の心の中にまで入り込む…
才能って、凄いです。