ご近所猫事情

 我が家の庭の周りを囲む塀の上は、猫の通り道になっている。近頃では、みゆちゃんがそれなりに縄張り意識を持って牽制しているからか、猫通りが減っているが、みゆちゃんがうちに来る前には、よくいろいろな猫が通った。トラ猫、白猫、ドラえもんに似た猫。なかにはロシアンブルーみたいな猫や、長毛種のノルウェジアンフォレストキャットみたいな猫もいるのだが、これらの純血種の猫を私は実際には見たことがないから、おそらくよく似た雑種だろう。
 塀の上を通るだけではなく、時たま、庭へ入ってくる。塀はかなりの高さがあるのだが、一箇所真ん中あたりに四角く出っ張ったところがあるので、そこを足がかりに出入りするものだと思われる。
 ある時、長毛種のフサフサ君とトラが二匹で連れ立ってやってきた。私が窓辺に近づくと、四角い出っ張りの上に座っていたフサフサ君がまず私に気がついた。
「おい、トラ、人が来たぞ」
 庭でくんくんやっているトラはこちらに背を向けているので、まだ気づかない。
「え、なんだって」
「だから、うしろうしろ」
 ようやくトラが振り向いて、私を見た。
「あっ、逃げなくちゃ!」
 あわてて塀に登ろうとするが、出っ張りの上は一匹分のスペースしかなく、フサフサ君が陣取っている。
「ちょっと、そこ、のいて!」
「いやだ」意地悪をするフサフサ君。
 トラが無理矢理登ろうとすると、今度は上から猫パンチ。友達なのかそうじゃないのか、二匹の関係は微妙である。
 何度かたたきおとされたあと、どうにかトラは塀の上に逃れ、やれやれといった風で塀の向こうに消えていった。
 そのあとフサフサ君も、一人失笑する私を残して、どこかへ去っていった。



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