パンダにハマる

 パンダにはまっている。
 きっかけはというと、一歳の息子が、パンダの形の小さなクリップで遊んでいたことだ。パンダをぴょこぴょこと動かして、「にゃあにゃあ」と言うので、「パンダはにゃあにゃあとは鳴かないよ」というと、今度は「わんわん」と言う。「わんわんとも鳴かないなあ」と言いながら、パンダが本当はなんと鳴くのか、聞いたことがないと思った。そこでネットで調べてみると、同じように、パンダの鳴き声を子供に尋ねられて困っているお母さんからの質問への回答の中に、パンダの声が聞けるサイトを紹介しているものが見つかった。さっそく聞いてみると、ちょっとカタカナでは表記できないような声である。馬と羊の中間くらいというコメントもあったが、無理に書くと「めひぃぃん」という感じだろうか。
 別の回答には、パンダのライブ映像が見られるサイトが載せてあった。クリックすると、アメリカのスミソニアン動物園のページである。あ、パンダ!パンダが、岩や木のあいだをうろうろしている。時間は朝の7時頃。動物園は開園前で静かである。自動追跡カメラのようで、パンダの動きにあわせて向きを変えたり、いくつかのカメラに切り替わったり、ズームされたりする。
 しばらくして、ふたたび接続してみると、あちらの時刻は8時頃。パンダは両足を投げ出すようにどしりとすわって、笹の葉をむしゃむしゃと食べている。ご飯の時間らしい。
 以来、パンダは今なにをしているだろうと、海の向こうのパンダの様子が気になって、ついつい開いて見てしまう。なにしろ、かわいい。いったいどういう進化の都合で、あんなに愛嬌のある模様をしているのか。パンダの生息している場所にはこれといった天敵がいないというようなことを聞いたことがあるけれど、あの緊迫感の感じられないもたもたとした仕草も、それゆえなのだろうか。
 お昼頃には、動物園にやってきた子供たちの歓声をいっぱいに浴びてのしりのしりと歩き回り、夜には、岩の上にどてっと横になって、ころころした背中をこちらに見せている。あの黒い目の奥でいったい何を考えているのか、パンダはいつもマイペースである。
 異国のパンダの毎日を24時間リアルタイムで見ることができる。まさにネットの恩恵である。
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