王子動物園見物記

 神戸の王子動物園へ行ってきた。
「ぱんば、ぱんば」と舌足らずな言葉を口にしながら、息子がパンダのライブ映像をしょっちゅうネットで見たがるので、実物を見せに行ったのである。
 お昼過ぎに動物園に着いたのだけれど、春うららかな日曜日とあって、駐車場待ちの車の列はどこまでも続いている。この長蛇の列の最後に並んでみても、順番が回ってきたころには日が暮れるのではないかしらと思って困っていたら、幸い、近くの有料駐車場に空きができた。動物園の駐車場に列をつくって並んでいる人たちは、日が暮れたらどうするのだろうと思って見てみたら、どうやら、お母さんと子供たちが先に動物園に入り、お父さんだけが車に残って順番待ちをしているようである。普段から家族のために汗水たらして働いているお父さんではあるが、なぜか扱いは軽い。世の中のお父さんは大変である。
 一番にパンダ館へ行った。人垣のあいだから覗いてみると、果たしてパンダがいた。実物を見るのははじめてである。本物のパンダがすぐそこにいるというのは、ちょっと夢うつつのふわふわしたような感じである。本当に可愛い。可愛いけれど、立て札に「パンダが(柵のそばの)溝にいるときには、肩車などをして覗き込まないでください」という注意書きがしてあったので、凶暴な面もあるのかしらと意外であった。しかし、パンダのことを温厚な動物だと思うのは、あの、中に人が入った気ぐるみみたいな姿から人間が勝手に持つイメージであって、パンダにはパンダの都合があるだろう。ちょうど食事中で、両手に持った笹の葉っぱを、横着な腰のかけ方で座って、むしゃむしゃと食んでいた。
 よく行く地元の動物園にはいない動物たちがたくさんいた。はじめてみる動物たちを見つけるたびに、「あ、ナマケモノ!」「コアラ、コアラ!」と思わず声を上げて指差してしまう。肝心の息子はというと、パンダには喜んでいたようだけれど、どちらかと言うと、動物よりも併設の遊園地にある観覧車や飛行機の乗り物に興味津々。私の方が興奮気味の、王子動物園であった。
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