線香花火的生活

 ガッツポーズを決めてしまうほどうれしかったことは何か、と質問されても、近いところでは何も思い浮かんでこない。二十年もさかのぼって、小学校時代まで記憶をたどると、消防車と救急車を並べて描いた絵がどこかの賞に入選したとか、ないことはないけれど、だいたい、感情が鈍い方であるから、ガッツポーズなんてとったためしがない。なんだか味気のない人生みたいだけれど、別に不満もない。鈍いゆえに、不満もわき起こらないのかもしれないが、しかしガッツポーズはなくても、小さなうれしさなら毎日ある。飼い猫の寝顔が可愛かったり、幼い息子が何かしゃべったり、散歩していたら道の端でカナヘビが日向ぼっこしているのに出会ったり。これはこれで、なかなか幸せな人生なのだろうと思う。
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