めろんに騙された男

 夫が北海道で買ってきてくれたお土産の中に、「夕張限定・ドライめろん」なるものがあった。メロンの赤い果肉をドライフルーツにしたもので、「豊潤な甘みと高貴な香り」などと銘打ってあるが、食べてみたら、それほどおいしくはなかった。ドライメロンを食べながら、手持ち無沙汰でパッケージをなんとなく見ていたら、裏の表示の欄に、「原産国タイ」とあった。しかも原材料は「メロン(カンタロープ)」で、夕張メロンでもない。その事実を夫に告げたら、夫は騙されたような顔をしていた。確かにパッケージのどこにも「北海道でとれた夕張メロンのドライフルーツ」であることは書かれていないし、違法な表示ではないけれど、「夕張限定」なんて文句を載せておくのは、かなりせこいと思うのである。タイ産のドライメロンだったら、なにもわざわざ北海道で買って、たいそうに飛行機に乗せて運んで帰って来なくても、近所のスーパーで売っている。
 夕張メロンは、「スパイシー・カンタロープ」と「アールス・フェボリット」という品種を交配させてつくられたものらしいから、味は似ているのかもしれない。また、カンタロープの方が、日本のメロンよりもおいしいと感じている人もいるようである。が、騙しはいけない、騙しは。
 関係ない原産地のお土産というものはときどきある。「お土産」の意味をどう考えるかは人によって違うだろうけど、私は旅先の土地にゆかりのあるものを買い求めたいと思っているから、お土産を選ぶ際には、産地を確認する癖がついてしまっている。
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