さかざきが綴る「アンティークな日々」

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紅葉散歩

2009-12-04 | 日常生活

 今日は朝からご近所の揚輝荘(ようきそう)へ河村に誘われて散歩へ。今年最後の紅葉を楽しみました。自宅から自転車を走らせるとすぐ。ここ揚輝荘は、名古屋の覚王山という門前町の北側に位置する旧伊藤次郎左衛門の別荘です。

 名古屋以外の方には、「伊藤次郎左衛門」と言ってもピンとこないかもしれませんが、名古屋発祥の百貨店松坂屋の創業家伊藤家では代々、「伊藤次郎左衛門」を襲名することになっていて、この別荘は第15代目の伊藤次郎左衛門が、大正から昭和の初期にかけて、約1万坪の敷地内に30棟を越える建物を移築・新築し、庭は修学院離宮を模したという、今から考えると想像を絶する広大な別荘だったようです。

 移築されたものの中には、尾張徳川邸から移築されたお茶室や大石内蔵助縁ゆかりの建物、享保年間(1716~36年)の茶室や貞奴が住んでいた邸宅、500年ほど前の栗の木造りの民家等々、様々な貴重な建物があったそうですが、戦災で大半が焼け、現在はその一部が残るのみ。戦後にはG.H.Qに接収されていたこともあります。広大だった敷地も、今ではマンションに変わり、敷地は南北に分断されてしまいました。

 私が子供だった頃、こっそり敷地内に入って遊んだのも懐かしい思い出。そんな揚輝荘も2006年に名古屋市に土地建物が寄贈され、一般公開されて、普段から自由に入れるようになりました。今日はそんな揚輝荘のご紹介です。

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伴華楼(ばんがろう)は尾張徳川家から譲り受けた茶室に洋室を増築したもの。伴華楼とは「バンガロー」のもじりだそうで、その山小屋風の雰囲気が、沢山の木々が茂る緑の濃い庭園によく合っています。

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こんなところに山小屋風の趣が。鱗状の下見板を張った外壁に、お洒落な市松模様は暖炉の煙突。木をふんだんに使ったデザインがまさに「バンガロー」というイメージですね。

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修学院離宮にある千歳橋を模した白雲橋。その昔は、ここに真っ白い鶴が飼われていたのだそうです。なんと風流なことでしょう。お月見で有名なこのあたりでのこと(現在でも観月町とか月見坂という地名が残っています。)、きっとここで観月会を催したに違いありません。

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三賞亭は当時名古屋の茶屋町にあった伊藤家本宅から移築された煎茶用の茶室。(茶屋町っていったいどこにあったのでしょうね?そう思って調べてみましたら、どうやら現在の長者町の辺りだったようです。)この建物が揚輝荘の最初の建物であったようです。裏手に回ると、木戸にペンキで“KEEP OUT”の乱暴な文字が。G.H.Q.に接収された歴史が思い出されました。

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三賞亭の内部から外を眺めた様子。開け放たれた障子から見える風景は、まるで日本画で描かれた一幅の絵のような美しさでした。

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こんなご近所で紅葉狩りが出来るとは。もう今年最後の紅葉でしょうね。また桜の季節にも是非出掛けてみたいと思います。

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