さかざきが綴る「アンティークな日々」

アンティークディーラーさかざきがアンティークのこと、日常のことを綴っています。

今日も暑かったですね!

2010-08-23 | 日常生活

 早速セール商品のご注文をいただきました皆様、ありがとうございました!まだまだ沢山のセール商品がございますし、今回は来週31日までですので、どうぞじっくりお考え下さいね。

 さて、エンジェルコレクションは15年前に始まった訳ですが、どうしてこんなお仕事を始めることになったかというと…私自身がそれまで所属していた会社の部署が無くなり、退職が決まったという現実的な事情があったためです。(そうなのです!私も、私の回りのアンティークディーラーの友人達も、親の代からの「二代目」以外は皆それぞれ「カタギ」だった時代があるのですよ。)僅かに出た雀の涙ほどの退職金を手にロンドンへ向ったのが、丁度15年前の8月3日。たぶん数あるアンティーク屋さんの中で、最も少ない開業資金であったろうと笑ってしまうほどの金額でした。

 大学を卒業してから6年、それまでも会社で働くかたわら、大学で勉強した日本画の制作を続けていたり、手作りのアクセサリーを何軒かの雑貨屋さんに置いて貰ってお小遣いを稼いだりしていたので、自分の手で何かを作るという行為は日常的なことでした。そして「他所に売っていないオリジナルなもので、それに見合った価格であれば、それは商品になる」ということも、何となく分かっているつもりでした。そんなことから、「この機会にロンドンに行ってアンティークを仕入れれば、それはお仕事になるかもしれない。」とごくごく安易に考えたのが始まりです。(今から思うと、その頃の自分のあまりに安易な考えに呆れてしまうのですが。)会社勤めをする前の美大の学生の頃から、お金もない癖に「何か私に出来る自営業はないものか?」と漠然と考えていて、あまりにも自由な学生時代を送ったせいか、それとも私の生まれ持ったこの性格のせいか(笑)、会社勤めで「人に使われる」ということがまったく向いていなかったという事実も自分で仕事を始めた大きな理由かもしれません。

 「ロンドンに行こう!」と決めたその時期は夏、航空運賃が一番高くなる季節です。沢山の飛行機会社の中で一番安かったのが往復13万円台のマレーシア航空でした。それまでに既に三回ほどヨーロッパへ旅したことはありましたが、南回りの飛行機は初めて。それがもう長かったの、長くなかったのって…!まず、名古屋からペナン島(今でもそれがどこにあるのかイマイチ不明です。)に経由して1時間の待ち時間、そこからマレーシアのクアラルンプールへ。クアラルンプールで6時間か7時間の待ち時間。その当時小さな空港だったクアラルンプールには時間を潰す施設は何もなく、ひたすらベンチでひとりで待つのみ。それからがヨーロッパまでのロングフライト。ロンドンに到着したのは翌朝早朝、いったい名古屋からロンドンまで何時間かかったのかよく分からないほど、とてつもなく長い旅でした。その後、待ち時間の長いマレーシア航空を二度と使うことがなかったのはいうまでもありません。

 古いものが好きでアンティークに興味はあっても、知識もなく、何を買付けて良いのか分からないまま、当時ロンドンに住んでいた友人の助けを借りて、連日ロンドンのあちらこちらを、そして初回の買付けにもかかわらずロンドンから遠い田舎のフェアにも出没。あまりの疲労と「物を買付ける」というプレッシャー、そしてイギリスの食事に馴染めず、10日間で5キロも痩せて帰ったことは、「私にもそんなデリケートな頃があったの?」と15年経った今では信じられないような思い出です。

 現在よりもずっと暇であっただろうに、この仕事を始めた最初の1~2年は仕事を軌道に乗せることに必死で、ほとんど何も覚えていない有り様。そんな中、一番初めの買付けだけはなぜか鮮明に覚えています。今となっては自分のルーツを探るようで本当に懐かしいです。

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