愛知学院大学青木ゼミのブログ

愛知学院大学商学部青木ゼミの活動を報告するためのブログです。

商学部研究発表会

2025年01月31日 | ビジカン
2025年1月30日に商学部主催の学生研究発表会,通称ビジカンが開催されました。今回で10回目です。今回,8つの会場に分かれて,40の発表が展開されました。うちのゼミからは2年生3チーム,3年生4チームが発表しました。40発表中10の発表に対して優秀賞が与えられました(最優秀賞は設定されず)。

2年生には,プレゼンテーションの訓練という趣旨で,内容は問わず,とにかく多くの聴衆の前で発表する機会を得るために参加してもらいました。3チームとも共通テーマとして,米の需要拡大を掲げて,その範囲で,何か対応策を案出して発表してもらいました。何とかやり切ってくれたので安堵しています。今回の経験を活かして,3年次に本格的な研究発表に取り組んでくれればよいと思っています。

3年生は4チーム参加しました。どれも非常に優れた冴えわたる発表内容とはいかず,色々不十分な点のある発表でしたが,春から成長した跡を残していました。ただし,過去何度もプレゼンテーションの場数を踏んでもらったおかげで,学部内では比較的上手なプレゼンテーションを展開したのではないかと思います。

今回4チーム中3チームが優秀賞を受賞しました。受賞者は以下の通りです。
きのこの里「テレビCMに好感を抱く条件」
エゴイスト「ゴンチャ生き残りの理由」
インフィニティヒーローズ「オンランショッピングで衝動購買を促進する」

これらが評価された理由を私なりに読み解けば,まず研究目的が自分たちに了解可能な範囲で明確に設定されていたことがあげられます。例えば,「オンランショッピングで衝動購買を促進する」においては,既存の調査研究によって店舗での購買と比べてオンラインでの購買は,衝動購買が起きにくいとされているがそれはなぜか,そしてオンライン購買において衝動購買を促進するためにはどのような施策がありうるのか明らかにするという目的が設定されています。

また,先行研究を読み込んでいたということも重要です。先ほどの「オンランショッピング」研究では,衝動購買に関する先行研究に加え,触覚に関する研究,心理的所有感に関する研究を読み込み,これらを踏まえて,スマホのスワイプ機能を活用して,マッチングアプリのようなアプリによってオンライン上で衝動購買が起きる可能性を検討しています。

さらに,1次データを収集する労苦をいとわなかったことも重要です。どの発表とも,インタビューもしくはアンケートによって1次データを収集しています。不十分なデータ収集ではありましたが,学生らしく自らの主張を根拠づける努力の跡を示しています。先行研究の読み込み,1次データの収集ともに「汗をかいた」跡が見えるわけです。

ちなみに,当日卒業論文の表彰も同時に行われました。うちのゼミからは森口翼「​高校野球はなぜ世間で人気なのか ​~人々の感情を動かす“ものがたり”とは~ 」が優秀賞を受賞しました。物語マーケティングの考え方を用いて高校野球人気を分析しています。
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親子入学

2025年01月23日 | Weblog
正月3日に,高校の同級会が大阪で開催されました。中高一貫校だったので,6年間ともに過ごした同級生たちの集まりです。当時の恩師も参加してくれました。同級会のことを英語でclass reunionといいますが,まさに昔のクラス再結成という感じになりました。強い結びつきが感じられました。

昔話と近況を織り交ぜて会話が弾みましたが,ある同級生が私に向かってこんな話をしてきました。「自分の息子が君の後輩になったよ。君の通っていた大学学部と同じところに今通っている」と。そして,母校の施設やサークル活動のことをあれこれ「今こうなっているんだよ」と私に話してきました。私は「昔はこうだったので変わってないな」などと返しましたが,驚きました。

何に驚いたかというと,同級生が自分が入学したわけではないのに,その大学の学生でないと知らないような施設やサークルのことを話していたからです。子供の教育に親が関心を持つのは当然ですが,親が自分も入学したかのように子供の大学生活に関与しているのです。

帰宅後,同級生との会話を振り返りながら,愛知学院大学が「親子入学」という考え方の下で後援会(大学版PTA)を展開していることを思い出しました。子供が大学に入学した際には,保護者も入学したものとして大学教育に関与していくという趣旨です。毎年保護者には年会費を払っていただき,その資金を学生の課外活動の補助や奨学金等に拠出しています。

現在私は副学長・教務部長として,後援会の役員会や懇談会等に出席して,保護者の方々と懇談することを中心にその活動に関わっています。学部長時代にも同じように関わってきました。しかし,正直言って,「親子入学」をよく理解できていませんでした。

同級生との会話をきっかけに,本学学生の保護者の中にも,私の同級生同様,子供(あるいは親族)の学生生活に深い関心を持っていただいている方がいると思い至りました。後援会という組織の活動に熱心な保護者はそれほど多くありません。しかし,実際には高い熱量で大学を見つめている保護者が多く存在するかもしれない。

この保護者の方々にどのように対応するべきか。個人的には,何か特別な対応をする必要はないと考えています。学生が生き生きとした学生生活を送れば,それを通じて,保護者の方に,大学について強い印象を持ってもらえると思います。保護者の関心は何より自身の子供(あるいは親族)の充実した学生生活であると思います。何か対応をとるとすれば,学生が生き生きとした学生生活が送れるように我々教職員が基盤整備をして,後押しをすることだと思います。それが「親子入学」を実りあるものするのだと考えています。


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年末年始

2025年01月01日 | Weblog
2025年が幕開けました。21世紀は4分の1を消化しているわけです。ところで,2024年末にはゼミ卒業生たちと忘年会を催しました。昨年に続いて2回目です。参加者は昨年の半分ぐらいでしたが,卒業生個々と色々な話ができて,楽しく過ごすことができました。

昔のゼミの飲み会のように,話の大半が他愛もない事柄でした。昔を懐かしみながら,他愛もない話ができるというのが同窓生の集まりの楽しみです。また,ふとその合間に卒業生の近況を聞くことができました。こちらから大学の最近の動きも簡単に話すことができました。参加してくれた卒業生の皆さんには感謝いたします。

2次会で,卒業生の1人が,大学学部の公式同窓会(商経会)の懇親パーティーに出席したことを話題にし,自分以外の若い卒業生がほんの数人しか出席していない現状を憂いていました。実際,その懇親パーティー出席者の平均年齢は例年私より高いのです。今年の商経会懇親パーティーには是非うちのゼミ卒業が何人も出席して,若い出席者を増やすきっかけにしようという会話で2次会の締めとなりました。

青木ゼミ卒業生の皆さん。例年7月に開催される商経会懇親パーティーに是非出席してください。また,年末のゼミ卒業生忘年会を恒例行事にしたいと思いますので,これにも出席してください。年始のお願いです。
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終了

2024年12月08日 | 名古屋マーケティング・インカレ
12月7日土曜日,愛知大学において第18回名古屋マーケティング・インカレ本大会が開催されました。懇親会を含め朝9時から夜9時までの長丁場でした。うちのゼミ3年生の4チーム16名が発表しました。全体では34チーム150名ほどの学生が参加しました。

今回最優秀に選ばれたのは愛知大学経営学部為廣ゼミ「千羽鶴」というチームの発表でした。ティザー広告を取り上げ,それが消費者の商品に対する興味を惹起させるのか,クチコミ意図を高めるかを追究しました。彼らは,架空のワイヤレス・イヤフォン製品のPOP広告を設定し,完全情報(統制条件),一部情報欠落(ティザー条件)を操作してポスターを作成しました。これらを消費者に提示し,条件によって,商品に対して持つ興味,クチコミ意図に差があるかどうかについてアンケート調査しました。一部欠落については,どの情報を欠落させるかについて,ブランド名欠落,コピー欠落,商品写真欠落など条件を細分化しました。データを分析した結果(一元配置分散分析),どの情報であれ情報が欠落した場合(ティザー条件),消費者はクチコミ意図を高めることが明らかになりました。ただし,どの情報が欠落したかによる差はありませんでした。また興味を高めることについては,完全情報,一部情報欠落で有意な差がありませんでした。

明確な問題意識,手堅い調査,分かりやすい論理展開,巧みなプレゼンテーションで,「突っ込みどころ」が少なく,学生の相互評価で最優秀に評価されました。すっと頭に入ってくるよい発表だったと思います。ただし,クチコミ惹起を狙って企業がティザー広告を展開するのは当たり前といえば当たり前なので,個人的には,もうひとひねり入れてくれれば良かったと思います。例えば,情報欠落あり以外の条件に,商品種別(耐久消費財,非耐久消費財など)や消費者属性別(高関与,低関与など)を何か加えて,二元配置分散分析の調査計画を試みれば,もっと面白くなったかなと感じました。

ところで,私は当日校務のため開会式に間に合わないことが分かっていたため,当日朝,ゼミ生たちにメッセージを送りました。

「4月から始めた研究発表のクライマックスが本日です。堂々と自信満々な態度で発表しつつも,謙虚な姿勢で質問や指摘には対応してください。声はいつもよりも30%大きく。そうすると,早口が減り,聞き取りやすい発表になります。紙やスマホ画面を必死で目で追うのではなく,聴衆をいったん見た後で,原稿を読み,一息ついたら教室の後ろを一瞥してください。堂々とした発表になります。質問には分かる範囲で,ごまかさずに答えてください。私は優秀賞等の受賞にはこだわりませんが,一つ重視していることがあります。皆さんがこの1年で知的に成長したかどうかです。「あの発表はひどいな」と評されず,「彼らはなかなか頑張っているな」と声を掛けられるならば,成長が見られたことになります。4月から成長したならば,少なくともひどいと評される発表はしないはずです。そして努力の跡が発表に込められているはずです。今晩泣けることが最上の過ごし方です。勝って悦び,負けて悔しがる,どちらにせよ泣くというのがこの発表会に挑んだ学生の正しい姿です。健闘を祈ります」というものです。

果たして彼らは知的成長を示したでしょうか。うちのゼミの一部チームは優秀賞には及ばなかったものの,学生相互評価において,低くない評価であったため,特別賞が与えられました。他大学生の発表を色々聞いて,うちのゼミ生たちの発表を振り返ってみると,私の目から見て,4つともひどい発表ではなく,努力の跡が見えていたので,「まあまあ良かった」といえます。ただ,まだまだ努力・工夫の余地がたくさん残っています。1月30日開催の学内研究発表会まで改善を続けて欲しいと思っています。粘り強い試行錯誤こそが知的成長につながります。
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質問

2024年11月27日 | 運営
学生の知的訓練のために,調査,プレゼンテーション,文章執筆などをゼミで指導しています。これらは様々な作業を伴うので,ゼミ生にとって知的訓練を受けている実感を持ってもらえると思います。

それらと同等か,ひょっとするともっと重要だと個人的に考えている知的訓練のための行為があります。それは質問です。研究発表会の場合,発表に対して,聞き手側が不明なことを質問し,それに対して発表者が答えます。その際,良い質問は,データ収集や処理の不十分さ,論理の不整合,主張の曖昧さ,他の結論の可能性など研究発表の問題点を明らかにします。また良い質問は,その発表の優れた点も引き出します。良い質問は研究発表の良し悪しを引き立たせるのです。

良い質問をするために,私が自分なりに重要だと考えていることがあります。まず,研究発表の全体像を見渡して,目的と主張(結論)が整合しているか(論理の整合性),主張を支える根拠が十分なのかを確認することです。これらに疑問を覚えるならば質問をします。

さらに,いつもゼミでゼミ生たちに諭している,「なんで?」「ほんま?」を問いかけることも重要です。目的,前提,主張,根拠などに対してこの2つの問いかけをするのです。研究発表中,それらに対する答えがないと感じたら質問するのです。先に説明した論理の整合性や根拠の十分さを確認することにもなります。

また,拡張して,5W1Hを確認するということも重要だと思います。What(何) Which(どちら) Who(だれ) When(いつ) Where(どこ) Why(なぜ) How(いかに)を発表内容において確認して,不足している事柄を質問するのです。ただし,研究発表において ,5W1Hすべて捉える必要がない場合もあるので,ケースバイケースかもしれません。

以上の確認・問いかけについて,発表内容が十分であるとしても,自分が理解できなければ質問をしても良いのです。質問によってその発表の優れた点を引き出すかもしれません。

学生の中には,質問をすることは,自分が劣っていること(理解不足,勉強不足)をさらけ出すのではないかと心配している人がいます。この心配こそおかしなことです。我々教員は良い質問をする学生を高く評価します。企業でも良い質問をする応募者や社員に一目おくかもしれません。うちのゼミ生はまだまだ質問力が低いので,知的訓練のためにその重要性を諭していきたいと思います。
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