今年度は新型コロナウイルス感染拡大防止のため,授業開始日は4月6日から4月20日に延ばされ,その日から始まる授業は当面遠隔授業形態になりました。いまのところ,その遠隔授業はトライアル段階です。日本中の多くの大学で同様の措置が取られています。
うちのゼミの活動は止まったままです。一昨日に,課題(というか大まかな予定)を大学の教務連絡システムを使って配布しましたが,それ以上のことはできていません。遠隔会議システムを活用して,プレゼンテーションや議論を行うことも考えましたが,大学がどのシステムを統一的に活用するのか正式に決定していないので,止まっています。
ここでは,今年度ゼミ生に持って欲しい心構えを諭します。これから示す内容は,実は,昨年度入学式後の学部長挨拶で新入生に話したものです。愛知学院大学の理念を捉えながら,商学部の実学教育の真髄を追い求めて欲しいという気持ちで話しました。今,3,4年生のゼミ生にも,それを確認して,研究テーマ探しの際の心構えにして欲しいと思います。さらには,前途多難な今年度の大学における学びを考え直す材料にきっかけにして欲しいと思います。
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愛知学院大学の建学の理念は「行学一体・報恩感謝」です。報恩感謝は何となく理解できると思いますが,行学一体は耳慣れず,よく分からないかもしれません。行学の行は元々仏教の修行のことを指しています。悟りを開くため,人格を高めるための様々な実践を指しています。禅宗では,食事を作ること食べること,顔を洗うこと,掃除をすることなど日常の営みをきちんと行うことはみな修行です。これと学問を行うことは一体であるという考えです。これを商学部の学びに当てはめてみます。
皆さんは,電子マネーを使ったことがあると思います。今話題のキャッシュレス決済の一つです。昨日小売店でチャリンとかワオンとかいう音を出して商品を買ったことがあるかもしれないし,今朝地下鉄でピッと音を出して改札を抜け出たかもしれません。この電子マネーは貨幣と同じですか? 現金を前もってチャージして,そのチャージ分と同じ金額の買い物が出来る。したがって,形はなく,目に見えないデータだけど,貨幣と同じと扱ってもいいのではないか。
では,電子マネーやポイントカードを使ってたまったポイント。そのポイントは貨幣ですか? ポイントで買い物ができるから貨幣でしょう。しかし,現金とは違い,使える店が限られるし,期限が過ぎれば消滅してしまうことがある。あれ?これは貨幣なのか?
電子マネーやポイントカードを使うという日常のよくある経済活動の経験。これに疑問を持つこと。これが商学部の行です。日常的な売買の経験を漫然とやり過ごさず,疑問を持つ。この疑問を持ったならば,答えを探す。これが学です。貨幣とは何かという問いかけについては,金融論という学問分野で追究されています。商学部には会計・金融コースが設置されていて,これを学ぶことができます。近年,電子マネーだけでなく,仮想通貨など従来とは違う「お金のようなもの」が登場しています。これらは貨幣なのか何なのか。この疑問に対して学問上の答えを出そうとするなれば,行と学が一体化しています。
電子マネーやポイントに関する学問分野は金融論だけではありません。小売店は電子マネーやポイントカードの利用を盛んに勧めています。なぜか?と疑問に思いませんか? 一つには,企業が,カードによって個人を特定しながら,買い物に関するデータを取得するためです。毎日日本中そして世界中でこのデータが発生し,それをコンピュータネットワークで瞬時にやり取りして蓄積しています。買い物は毎秒どこかで起きている現象なので,毎日億単位あるいはそれ以上の買い物データが蓄積されています。これは膨大なデータなのでビッグデータと呼ばれるものの一つです。これを分析することで,例えば,どんな人がどんな商品をどこで買っているのかという売れ行き情報が得られます。この分析によって企業は商品開発や品揃え改善につなげています。
データの分析やコンピュータネットワーク上のデータのやり取りについては,商学部ではビジネス情報というコースで学ぶことができます。商品開発や品揃え改善については,流通・マーケティングというコースで扱います。ポイントカードを作りましょう,電子マネーを利用しましょうと小売店で勧誘されたときに,なぜそんなにしつこく勧誘されるのか疑問を感じて欲しい。あるいは,そのカードはどのような仕組みで動いているのか疑問を感じて欲しいのです。これが行です。それは商学部の学問につながっています。つまり行と学が一体化しているのです。
みなさんは,毎日売買を中心に経済活動に関わって生きています。それを漫然とやりすごさない。常に経験したことについて疑問を持つようにして欲しい。そして、その疑問が授業の内容に関係していないか常に考えて欲しい。もし疑問が解消しなければ、教員に積極的に質問して欲しい。それがまさに「行学一体」であり,皆さんの頭と心を成長させることになります。
うちのゼミの活動は止まったままです。一昨日に,課題(というか大まかな予定)を大学の教務連絡システムを使って配布しましたが,それ以上のことはできていません。遠隔会議システムを活用して,プレゼンテーションや議論を行うことも考えましたが,大学がどのシステムを統一的に活用するのか正式に決定していないので,止まっています。
ここでは,今年度ゼミ生に持って欲しい心構えを諭します。これから示す内容は,実は,昨年度入学式後の学部長挨拶で新入生に話したものです。愛知学院大学の理念を捉えながら,商学部の実学教育の真髄を追い求めて欲しいという気持ちで話しました。今,3,4年生のゼミ生にも,それを確認して,研究テーマ探しの際の心構えにして欲しいと思います。さらには,前途多難な今年度の大学における学びを考え直す材料にきっかけにして欲しいと思います。
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愛知学院大学の建学の理念は「行学一体・報恩感謝」です。報恩感謝は何となく理解できると思いますが,行学一体は耳慣れず,よく分からないかもしれません。行学の行は元々仏教の修行のことを指しています。悟りを開くため,人格を高めるための様々な実践を指しています。禅宗では,食事を作ること食べること,顔を洗うこと,掃除をすることなど日常の営みをきちんと行うことはみな修行です。これと学問を行うことは一体であるという考えです。これを商学部の学びに当てはめてみます。
皆さんは,電子マネーを使ったことがあると思います。今話題のキャッシュレス決済の一つです。昨日小売店でチャリンとかワオンとかいう音を出して商品を買ったことがあるかもしれないし,今朝地下鉄でピッと音を出して改札を抜け出たかもしれません。この電子マネーは貨幣と同じですか? 現金を前もってチャージして,そのチャージ分と同じ金額の買い物が出来る。したがって,形はなく,目に見えないデータだけど,貨幣と同じと扱ってもいいのではないか。
では,電子マネーやポイントカードを使ってたまったポイント。そのポイントは貨幣ですか? ポイントで買い物ができるから貨幣でしょう。しかし,現金とは違い,使える店が限られるし,期限が過ぎれば消滅してしまうことがある。あれ?これは貨幣なのか?
電子マネーやポイントカードを使うという日常のよくある経済活動の経験。これに疑問を持つこと。これが商学部の行です。日常的な売買の経験を漫然とやり過ごさず,疑問を持つ。この疑問を持ったならば,答えを探す。これが学です。貨幣とは何かという問いかけについては,金融論という学問分野で追究されています。商学部には会計・金融コースが設置されていて,これを学ぶことができます。近年,電子マネーだけでなく,仮想通貨など従来とは違う「お金のようなもの」が登場しています。これらは貨幣なのか何なのか。この疑問に対して学問上の答えを出そうとするなれば,行と学が一体化しています。
電子マネーやポイントに関する学問分野は金融論だけではありません。小売店は電子マネーやポイントカードの利用を盛んに勧めています。なぜか?と疑問に思いませんか? 一つには,企業が,カードによって個人を特定しながら,買い物に関するデータを取得するためです。毎日日本中そして世界中でこのデータが発生し,それをコンピュータネットワークで瞬時にやり取りして蓄積しています。買い物は毎秒どこかで起きている現象なので,毎日億単位あるいはそれ以上の買い物データが蓄積されています。これは膨大なデータなのでビッグデータと呼ばれるものの一つです。これを分析することで,例えば,どんな人がどんな商品をどこで買っているのかという売れ行き情報が得られます。この分析によって企業は商品開発や品揃え改善につなげています。
データの分析やコンピュータネットワーク上のデータのやり取りについては,商学部ではビジネス情報というコースで学ぶことができます。商品開発や品揃え改善については,流通・マーケティングというコースで扱います。ポイントカードを作りましょう,電子マネーを利用しましょうと小売店で勧誘されたときに,なぜそんなにしつこく勧誘されるのか疑問を感じて欲しい。あるいは,そのカードはどのような仕組みで動いているのか疑問を感じて欲しいのです。これが行です。それは商学部の学問につながっています。つまり行と学が一体化しているのです。
みなさんは,毎日売買を中心に経済活動に関わって生きています。それを漫然とやりすごさない。常に経験したことについて疑問を持つようにして欲しい。そして、その疑問が授業の内容に関係していないか常に考えて欲しい。もし疑問が解消しなければ、教員に積極的に質問して欲しい。それがまさに「行学一体」であり,皆さんの頭と心を成長させることになります。