愛知学院大学青木ゼミのブログ

愛知学院大学商学部青木ゼミの活動を報告するためのブログです。

第2版発刊

2024年02月29日 | Weblog
この度,『小売マーケティング・ハンドブック』第2版を同文舘出版より発刊しました。2012年に初版を出していました。10年以上前の内容では,現状に合わなくなっている個所が多々ありましたので,2022年12月から改訂作業に入り,1年程度かけて,内容刷新を図り,第2版を完成させました。

初版からの大きな修正点は,インターネット活用の章を追加したことです。そもそもこの本の目的は,店舗小売業に焦点を当てて,その活動を体系だてて整理し,活動の原理や理論的知見をとりあげることです。したがって,初版では,インターネットを積極的に取り上げませんでした。なぜならば,当時の小売業のインタネット活用はインターネット通販が中心で,店舗小売業と競合する関係にあったからです。ところが現在,店舗とインターネットは,小売業者の視点でも顧客の視点でも,混然一体となり,両者は補完的関係の側面が強くなっています。店舗小売業に焦点を当てることは変えないとしても,インターネット活用を積極的に扱わないのでは,小売活動を捉えきれなくなっているのです。そこで,第2版ではインターネット活用について独立した章を設定して積極的に扱うことにしました。

また,初版の在庫管理の章を発展させて,ロジスティクスと題した章に刷新しました。サプライチェーンの名の下,小売業者がロジスティクスに関心を高める事例が多くなってきたからです。社会全体としても,人手不足,資源高のため,ロジスティクスに関心が高まっています。それ以外の既存の章についても,研究の深まりや社会情勢の変化に応じて,参考すべき文献を渉猟し直し,記述内容を修正しています。

この第2版を,カリキュラム改正によってこの4月に設置される「流通チャネル論(旧小売経営論)」の教科書とする予定です。この本は,小売マーケティングのマネジメントを中心的内容としていますが,小売業者の流通における役割や果たす機能,小売業者と生産者・卸売業者との関係にも目配せしています。したがって,流通チャネル全体を見渡しながら,その主要プレイヤーである小売業者の活動や役割を講じることに適していると,手前味噌ながら考えています。

改訂作業は意外にも手がかかりました。新たに渉猟した国内外の文献は300を越えました。実際に使えたのは,数十程度でしたが,読んだ文献を無駄にすることによって,思考が固まりました。ほぼ毎日原稿の追加・書き直し作業に従事しました。2023年度は久しぶりに管理職から離れた年だったので,煩雑さを感じながらも充実した日々を送ることができました。
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最後のゼミ

2024年02月06日 | 運営
1月18日は演習Ⅲ(4年生ゼミ)の最後の授業になりました。この日は卒業アルバムの集合写真を撮影するとともに,これまでのゼミ活動の振り返りを各自にしてもらいました。例年行ってもらっています。

大半のゼミ4年生は,ただの時間つぶしのように感じたかもしれません。「もう帰りたい」と言い出すゼミ生もいました。しかし,この振り返りには教育的な意味がありました。自分の活動を客観的に捉えることができるかどうか,いわばメタ認知能力があるかどうか,それを自覚してもらいたかったのです。

以前から分かってはいましたが,「やはりそうか」とこちらが納得したことがありました。卒論が表彰されるレベルのゼミ生は,自分の良くなかった点を指摘し,周囲との関係を振り返りました。自分の活動を客観的に振り返る能力があれば,自分の欠点が見えてくるし,自分以外の存在も視野に入ります。そして,その能力が高ければ,自分を改善することにつながります。その結果,卒論はレベルの高いものになります。

その一方,ネット情報を貼り合わせた安易な卒論を書こうとしたゼミ生は,「楽しかった」「卒論は意外に簡単だった」など楽観的口調で,感情を簡単に表現しただけでした。卒論ではこちらの指摘を受け留めきれず,最後まで改善しきれませんでしたが,自分の活動を客観的に振り返ることが今一つであるため,楽観的で,厳しさに欠けてしまったかもしれません。

3月に卒業していく,ゼミの4年生の皆さん。卒業までに,この4年間をきちんと振り返ってみてください。他の学生,教員,家族などとの関係を踏まえて,俯瞰的に自分を眺め,客観的に自分の活動を評価する努力をしてみてください。客観的に自分を振り返ることができる能力は,社会に出て活躍するうえで,非常に重要です。その能力が高ければ,傲慢にならず,卑屈にもならず,他者を敬い他者とよい関係を結びながら,自分の活動や技量を改善することができるのです。
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