愛知学院大学青木ゼミのブログ

愛知学院大学商学部青木ゼミの活動を報告するためのブログです。

脱調べて終わり型卒論

2010年04月27日 | 卒論
4年生には卒論のテーマを早急に練り上げるように指示しています。5月末には確定してもらう予定です。テーマがあいまいなままでは当然まともな卒論は書けません。

うちの学部で目立つのが(ひょっとすると全国的に多くの経済系学部でかも),調べて終わり型卒論です。ユニクロの成功要因,セブンイレブンの商品戦略など,どうとでも捉えられるようなあいまいなテーマを掲げ,それに関連する本をわずか数冊調べて抜書きし,またインターネットの情報をコピー・アンド・ペーストして完成とする,きわめて安直な卒論のことです。

とりあえず話題の会社について調べてみました(しかも不徹底に)というだけです。独自の見解も考察もありません。考察が必要だと指示すると,「すごい会社だということが分かりました」などと感想を数行書いてくる始末です。もちろん,こんなものはつき返しますが,書き直してきても大した改善が見られないものです。

こんなことをやるぐらいなら卒論はやめてしまった方がいいでしょう。中学生の読書感想文と同レベルかそれを下回るレベル。何らの知的訓練にもならないからです。なお,卒論重視だと表明し,卒論のレベルを上げようとするならば,教育のあり方を変えなくてはなりません。うちの学部では(多くの経済系学部でもか?)そもそも研究のやり方を体系立てて教える科目がありません。これでは調べて終わり型になってもしようがないかもしれません。


先日4年生には安直な卒論は認めないと説明しました。調べて終わり型卒論から脱するために,具体的なテーマ設定の重要性,徹底した文献調査の実施,インターネットに頼らない情報収集,1次データの収集の必要性などを説明しました。とくにテーマを狭く,具体的に設定することを口を酸っぱくして求めました。何を明らかにしたいのか,何を主張しようというのかを表明し,さらには,結論の見通しを述べ(仮説の立案),その結論を導いたり支持したりするための根拠作りの方法を考え出さなければならないと申し渡したのでした。

きちんと考えてきてくれるかどうかは不明です。ゼミ4年生は,昨年度名古屋マーケティング・インカレでそれなりに思考訓練をしてきたはずなので,その経験を踏まえれば,やれるはずなのですが・・・。
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人気沸騰?

2010年04月20日 | Weblog
先の日曜日に,うちの大学ではオープンキャンパスが開催されました。4月に開催されるオープンキャンパスでは,既に志望が固まっている熱心な学生の参加が中心ということもあって,参加者数は夏に比べれば少ないのが通常です。

私は学部説明会で説明役を務めました。学部学科のカリキュラム,教育方針,具体的教育・研究,針路などを受験生に解説するのです。従来商学部はあまり人気がないこともあって,4月は会場の半分も埋まらず,ガラガラ状態,空席が目立ちました。

ところが,今年は会場に人があふれ,立ち見が出ました。用意しておいた資料が足りずに追加印刷をあわてて行う始末に。おみやげは全く足りない状況でした。後で入試センターの担当者に聞いたところ,商学部が一番人気だったとか。

この増加の理由はつかめないでいます。過去,景気が悪化したときには,経済・ビジネス系学部の人気が落ち込むことがありました。国家資格取得等と結びつかない,「手に職がつかない」学部だからです。しかし,サブプライムローンショック以降の景気悪化期間では,反対に経済・ビジネス系学部の志願が堅調です。うちの学部も昨年度は入試倍率を高めました。難化したようです。一般的に難化した次の年度は志願者が減ることが見込まれます(いわゆる隔年現象)。今年度は志願減かと身構えて,迎えたオープンキャンパスでしたが,意外な集客にうれしい悲鳴を上げたのでした(この先どうなるかは不明ですが)。

受験生に配布したパンフレットに,実は,名古屋マーケティング・インカレのことが簡単に説明されています。名古屋マーケティング・インカレに参加するのは,愛知学院大学の学生だけではありませんし,もちろん商学部という学部固有のものではありません。大学や学部に関わらず,マーケティングという学問領域に関心のある学生が集まって研究発表しているのです。そのため,商学部の紹介に絡めて名古屋マーケティング・インカレが説明されているのは少々僭越だと思っています。

ただ,私たちからすると大学だから当然のことだと思われる研究発表会の開催や参加が,パンフレットに取り上げられるということは,それが入試の担当者や制作者からは大学生らしい学びであると評価してもらったということになるのかもしれません。そのように外部の人が感じてくれたのなら,素直にうれしく思います。

今年度は,愛知学院大学商学部が受験生の間で人気沸騰,そして名古屋マーケティング・インカレは各大学で希望者殺到となってくれればいいなという素朴な感想をもって,肌寒い春を過ごしている次第です。

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始まり

2010年04月06日 | 名古屋マーケティング・インカレ
昨日入学式が行われ,いよいよ今年度が本格的に始まりました。今年度の入学式も満開の桜の下で行われました。千本近い桜が咲き誇るキャンパスは一年でもっとも美しい姿を見せました。新入生に付き添う保護者が満足げに学内風景を眺めていたのが印象的でした。

さて,昨日夜,名古屋マーケティング・インカレの教員打ち合わせを行いました。運営方針を話し合ったのです。基本的に昨年度と同様のスケジュールと方法で開催する予定です。今年度の参加大学・ゼミは4つ,総勢80名程度。エントリーを5月末に行い,6月と10月に中間発表,12月に本大会というスケジュールになります。6月の中間発表会は愛知学院大学での開催です。うちのゼミが幹事役というわけです。

今年度から新しく名古屋マーケティング・インカレのホームページを設けます。愛知淑徳大学大塚先生のご努力でいまその準備が進んでいます。これが設置されると,web上で,発表のレジュメを交換したり,過去の発表内容を閲覧したり,議論を闘わせたりすることが可能になります。今まで以上にゼミ・チーム間の交流が促進すると思います。

各大学では来週からゼミ活動が始まります。うちのゼミでも早速本格的に活動する予定です。
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表彰

2010年04月02日 | Weblog
先日,高校時代の同級生が経営者となって率いている会社の入社式にお邪魔しました。オートバックスのフランチャイジーとなっているカー用品小売業者「葛城」です。年度始めに行われるその式では,社長の挨拶や新入社員紹介,経営方針の発表などに加えて,社員の表彰が行われていました。この表彰の模様は大学教育に携わる私に色々考えさせてくれました。

優秀社員を表彰するという目的で行われていましたが,その基準は分かりやすく個人の販売額です。社員全員がセールスマンという考え方に基づいて,販売員だけでなくピットクルーも対象になっています。そして,商品の種類,店舗エリア,職種など基づいていくつもの表彰区分があり,多くの社員が表彰されていました。表彰された若い社員は非常にうれしそうに誇らしそうにしていました。

感心したのは,その表彰のやり方です。年度始めに会社の方針を発表する場で行うというのは,会社の営業に関する方針に対して社員の関心を向けさせ,動機付けるきっかけを作ります。別の場で行うと,会社の方針を社員は自分に関係することとは捉えなくなってしまうかもしれません。また,いくつもの区分を設けて表彰することは,社員にとって達成のハードルをいくぶんか下げます。社員は自分でも手の届くレベルであると捉えることができるので,かえってやる気が起きます。さらに,全社員(新入社員も含め)前で表彰されるので誇りを持つことができます。特に新入社員の前で表彰されれば,その社員は新入社員の模範であると宣言されたことになります。もちろん新入社員の動機付けにもなります。

翻って,学生を動機付けるような工夫をしているだろうかと,うちの学部のことを反省してみました。学部独自の表彰といえば,卒業式(学位伝達の場)で行われる優秀卒論賞と,適宜行われている学部長表彰ですが,これらは不十分であると思い至りました。

優秀卒論賞は大学生活最後に表彰されますが,勉学のインセンティブを与えるならば,やはり大学生活の途中や最初にも表彰しなくてはなりません。途中や最初に表彰されれば,その後の学生生活でがんばりを見せることができます。2年次や3年次にも論文や研究発表に対する何らかの表彰が必要です。また,卒業式での表彰では下級生が注目しません(卒業生しか参加しない)。下級生に模範を示すことができないので,下級生を動機付けることは弱いのです。下級生が見ている場での表彰を考える必要があります。

学部長表彰は,教員側で模範的な学生を見つけて表彰することになっていますが,その基準は今ひとつあいまいです。教員側では了解していたとしても,学生側はどのようにすれば表彰されるのかきちんと理解していません。それでは学生にとって努力の方向性が不明なので,インセンティブにはなりがたい。やはり明朗な基準をいくつか定めて学生に周知徹底する必要があります。そして,表彰する場合,多くの学生の前で行う必要があるでしょう。

学部の表彰が不十分であるとしても,私個人がどうこうできる問題ではありません。学部改革とやらいう事柄に関わるのは徒労感が大きくばかばかしさを感じていますので,学部に何らかの提案を行う気はありません。ただ,自分が担当するゼミや講義で何らかの表彰制度を設けることができないか考えてみるつもりです。
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