今学期末の定期試験期間に入っています。試験が終了すれば夏休みです。ゼミ生たちは,夏休み中インターンシップやアルバイトなどで時間が取られるようです。また,研究発表の準備も並行して行う予定です。あれこれ予定があるようですが,授業期間よりは時間的余裕ができると思います。ゼミ生にいつも諭すように,長期の休みには旅行と読書に時間を割いて欲しいと思います。
読書について,最近私が読んで面白かった本を紹介します。ゼミ生は自らの読書の参考にしてください。
まず,河合雅司『未来の年表2』(講談社現代新書)です。これは,昨年このブログでベストセラーとして紹介した,河合雅司『未来の年表』(講談社現代新書)の続編(パート2)です。パート1が,年を追って,人口減少・少子高齢社会において何が今後起きるのか,まさに年表を示したのに対して,パート2は,今後起きる可能性の高い出来事に焦点を当てて,掘り下げて解説しています。例えば,「食卓から野菜が消え,健康を損なう」という節では,農業従事者の減少によって野菜生産が減少し,価格が高騰する可能性があり,現在その兆候が出ていることを取り上げています。「オフィスが高年齢化し,若手の労働意欲が下がる」という節では,若手が入ってこない職場が大半になり,そういう職場では従業員は40代を過ぎても若手の仕事し続けなければならず,万年平社員として勤める羽目になるため,モチベーションが下がり,生産性も下がる可能性を説明しています。
未来ある学生には,パート1と併せて読んで欲しいと思います。パート2を読むとパート1の理解が進みます。現在,多くの書店では『未来の年表』とともに,『未来の年表2』は新書のベストセラーになっているようです。昨年も書きましたが,将来,人口減少で,社会が活力を失い,経済が衰退する中で,組織そして社会を背負わなければならなくなるのは,今の学生たちです。
新書でもう一つ面白かった本として,堺屋太一『地上最大の行事万国博覧会』(光文社新書)を紹介します。万博プロデューサーとして名高い,経済評論家の堺屋さんが,自らが関わった万博の開催経緯(内幕)を記した本です。1970年大阪で開催された日本万国博覧会が内容の中心です。日本そしてアジアで最初の国際博覧会です。当事者として,正確な記録と記憶の記述を残したいとして書いたそうです。当時通商産業省(現経済産業省)に勤務する一介の官僚(係長)にすぎなかった堺屋さんが,巨大プロジェクトである万博開催の夢を抱き続け,紆余曲折ありながら,上は大臣から下は運転手まで説得して,政治・官僚機構や民間企業を少しずつ動かしていく話に引き込まれます。
日本は偉くない人が大きなプロジェクトを実現できる国であると堺屋さんは説きます。その実例を示しているわけです。権限が分散した日本の組織では,意外に下位の人が実権を持つことがあります。近い将来組織で働くことになる学生には感じ入って欲しい事柄です。
この本の中で,堺屋さんは大事なのはテーマではなくてコンセプトであると何度も語ります。キャッチフレーズのようなあいまいなテーマではなく,「何をするのか,何を見せたいのか」コンセプトをきちんと提示することが巨大プロジェクトには重要なのだというのです。万博は,歴史的に,技術と珍品を見せる博覧会から芸術の博覧会へと移ったが,1950年代以降は人間の博覧会になった。それを踏まえ,大阪の万博では,「人を集め,人を見せる行事」,「規格大量生産の近代工業社会である日本」という2本のコンセプトを練り上げたそうです。工業化が進む当時の日本にまさに切り込みながら,人間の博覧会に挑んだわけです。プロジェクト立案と進行の参考になります。
読書について,最近私が読んで面白かった本を紹介します。ゼミ生は自らの読書の参考にしてください。
まず,河合雅司『未来の年表2』(講談社現代新書)です。これは,昨年このブログでベストセラーとして紹介した,河合雅司『未来の年表』(講談社現代新書)の続編(パート2)です。パート1が,年を追って,人口減少・少子高齢社会において何が今後起きるのか,まさに年表を示したのに対して,パート2は,今後起きる可能性の高い出来事に焦点を当てて,掘り下げて解説しています。例えば,「食卓から野菜が消え,健康を損なう」という節では,農業従事者の減少によって野菜生産が減少し,価格が高騰する可能性があり,現在その兆候が出ていることを取り上げています。「オフィスが高年齢化し,若手の労働意欲が下がる」という節では,若手が入ってこない職場が大半になり,そういう職場では従業員は40代を過ぎても若手の仕事し続けなければならず,万年平社員として勤める羽目になるため,モチベーションが下がり,生産性も下がる可能性を説明しています。
未来ある学生には,パート1と併せて読んで欲しいと思います。パート2を読むとパート1の理解が進みます。現在,多くの書店では『未来の年表』とともに,『未来の年表2』は新書のベストセラーになっているようです。昨年も書きましたが,将来,人口減少で,社会が活力を失い,経済が衰退する中で,組織そして社会を背負わなければならなくなるのは,今の学生たちです。
新書でもう一つ面白かった本として,堺屋太一『地上最大の行事万国博覧会』(光文社新書)を紹介します。万博プロデューサーとして名高い,経済評論家の堺屋さんが,自らが関わった万博の開催経緯(内幕)を記した本です。1970年大阪で開催された日本万国博覧会が内容の中心です。日本そしてアジアで最初の国際博覧会です。当事者として,正確な記録と記憶の記述を残したいとして書いたそうです。当時通商産業省(現経済産業省)に勤務する一介の官僚(係長)にすぎなかった堺屋さんが,巨大プロジェクトである万博開催の夢を抱き続け,紆余曲折ありながら,上は大臣から下は運転手まで説得して,政治・官僚機構や民間企業を少しずつ動かしていく話に引き込まれます。
日本は偉くない人が大きなプロジェクトを実現できる国であると堺屋さんは説きます。その実例を示しているわけです。権限が分散した日本の組織では,意外に下位の人が実権を持つことがあります。近い将来組織で働くことになる学生には感じ入って欲しい事柄です。
この本の中で,堺屋さんは大事なのはテーマではなくてコンセプトであると何度も語ります。キャッチフレーズのようなあいまいなテーマではなく,「何をするのか,何を見せたいのか」コンセプトをきちんと提示することが巨大プロジェクトには重要なのだというのです。万博は,歴史的に,技術と珍品を見せる博覧会から芸術の博覧会へと移ったが,1950年代以降は人間の博覧会になった。それを踏まえ,大阪の万博では,「人を集め,人を見せる行事」,「規格大量生産の近代工業社会である日本」という2本のコンセプトを練り上げたそうです。工業化が進む当時の日本にまさに切り込みながら,人間の博覧会に挑んだわけです。プロジェクト立案と進行の参考になります。