6月23日に,名古屋マーケティング・インカレ2012年度第1回中間発表会が名城大学において開催されました。うちのゼミからは2チーム出場しました。1つは中日ドラゴンズの集客増を考察するチーム(プロ野球研究チーム),もう1つは商店街活性化を考察するチーム(商店街研究チーム)です。アメリカ滞在中の私は当然参加することはできませんでした。
発表用のレジュメをゼミ生からあらかじめ提出してもらい,その内容をチェックしていました。また,スカイプのビデオ通話機能を使って,ゼミの模様(ゼミ生による自主ゼミ)を配信してもらい,それに対してコメントすることも行いました。この2チームの研究発表を私なりに振り返ってみます。
プロ野球研究チームは,ファンでありながらも球場に足をあまり運ばない人々をいかに運ばせるかについて,マーケティング戦略案出を目指しています。ファンを来場頻度によってセグメント分けして,そのうちいわゆるライトユーザーの獲得もしくはヘビーユーザー化を図ろうというのです。購買頻度によるマーケット・セグメンテーションはマーケティング理論や実践においておなじみです。研究の方向性としてはオーソドックスだと思います。ただし,彼らはその理論的背景や実践例の理解が足りないようです。大学生の研究発表でありがちなのは,プロ野球のマーケティングを考察するというと,プロ野球の現象のみに拘泥してしまい,類推対象になりそうな他の事例や,現象の背後にある理論になかなか目を向けないことです。彼らはプロ野球現象を追うとともに,マーケット・セグメンテーションに関する理論と事例を幅広く学ぶ必要があります。
商店街研究チームは,生鮮食品分野など生活用品分野で買い物弱者化した高齢者への対応を軸に,衰退した商店街の活性化戦略の案出を目指しています。政治課題になっている商店街活性化を彼らなりに考察しようというのです。商店街は,ヒューマンタッチの接客と,居住地に近い立地を強みとして持っているので,それを活かして,高齢者にやさしい存在になることを目指すべきというのが,彼らの方向性です。近年行政が示してきた方向性に通じるでしょう。しかし,本当にそれで活性化するのでしょうか?なぜ,コンビニエンス・ストアやスーパーマーケットでなく,商店街が買い物弱者対応にふさわしいのでしょうか? 彼らの現段階の発表には根拠が見られません。ジャーナリズムの報道や行政の発表に追随しているという印象持っています。実は私は大学院生の頃からこの手の説をいくつも聞かされてきました。しかし,実際に活性化した商店街の例は少数です。一度,自分たちの発表内容,そして通説を疑って,欲しいと思います。
中間発表会後,ゼミ生の一部から感想が送られてきました。「他大学の学生のレベルが高い」というのがその感想の大筋です。発表会前に私の方から何度も指摘しておいたことなのですが,ゼミ生たちは身に染みてくれたようです。そして,それは私が望んでいたことです。他大学生よりも劣っているということを認識してもらうために,そしてその思いをきっかけに,発奮してもらうために,研究発表大会に参加してもらっているのです。
うちの学部には,淀んだぬるい雰囲気が漂っています。厳しい姿勢で学問に取り組む学生は変わり者扱いされかねません。この中にいて,この雰囲気しか知らなければ,高をくくって,知的能力向上を図ろうという意欲はわかないでしょう。ゼミ生には,他大学の学生のレベルにどのようにすれば近づけるのか,そして彼らを超えられるのか,今月中冷静に考え抜いて欲しいと思います。
発表用のレジュメをゼミ生からあらかじめ提出してもらい,その内容をチェックしていました。また,スカイプのビデオ通話機能を使って,ゼミの模様(ゼミ生による自主ゼミ)を配信してもらい,それに対してコメントすることも行いました。この2チームの研究発表を私なりに振り返ってみます。
プロ野球研究チームは,ファンでありながらも球場に足をあまり運ばない人々をいかに運ばせるかについて,マーケティング戦略案出を目指しています。ファンを来場頻度によってセグメント分けして,そのうちいわゆるライトユーザーの獲得もしくはヘビーユーザー化を図ろうというのです。購買頻度によるマーケット・セグメンテーションはマーケティング理論や実践においておなじみです。研究の方向性としてはオーソドックスだと思います。ただし,彼らはその理論的背景や実践例の理解が足りないようです。大学生の研究発表でありがちなのは,プロ野球のマーケティングを考察するというと,プロ野球の現象のみに拘泥してしまい,類推対象になりそうな他の事例や,現象の背後にある理論になかなか目を向けないことです。彼らはプロ野球現象を追うとともに,マーケット・セグメンテーションに関する理論と事例を幅広く学ぶ必要があります。
商店街研究チームは,生鮮食品分野など生活用品分野で買い物弱者化した高齢者への対応を軸に,衰退した商店街の活性化戦略の案出を目指しています。政治課題になっている商店街活性化を彼らなりに考察しようというのです。商店街は,ヒューマンタッチの接客と,居住地に近い立地を強みとして持っているので,それを活かして,高齢者にやさしい存在になることを目指すべきというのが,彼らの方向性です。近年行政が示してきた方向性に通じるでしょう。しかし,本当にそれで活性化するのでしょうか?なぜ,コンビニエンス・ストアやスーパーマーケットでなく,商店街が買い物弱者対応にふさわしいのでしょうか? 彼らの現段階の発表には根拠が見られません。ジャーナリズムの報道や行政の発表に追随しているという印象持っています。実は私は大学院生の頃からこの手の説をいくつも聞かされてきました。しかし,実際に活性化した商店街の例は少数です。一度,自分たちの発表内容,そして通説を疑って,欲しいと思います。
中間発表会後,ゼミ生の一部から感想が送られてきました。「他大学の学生のレベルが高い」というのがその感想の大筋です。発表会前に私の方から何度も指摘しておいたことなのですが,ゼミ生たちは身に染みてくれたようです。そして,それは私が望んでいたことです。他大学生よりも劣っているということを認識してもらうために,そしてその思いをきっかけに,発奮してもらうために,研究発表大会に参加してもらっているのです。
うちの学部には,淀んだぬるい雰囲気が漂っています。厳しい姿勢で学問に取り組む学生は変わり者扱いされかねません。この中にいて,この雰囲気しか知らなければ,高をくくって,知的能力向上を図ろうという意欲はわかないでしょう。ゼミ生には,他大学の学生のレベルにどのようにすれば近づけるのか,そして彼らを超えられるのか,今月中冷静に考え抜いて欲しいと思います。