愛知学院大学青木ゼミのブログ

愛知学院大学商学部青木ゼミの活動を報告するためのブログです。

設計図

2011年04月25日 | 卒論
先週,ゼミ4年生に,卒論の書き方をレクチャーしました。その時に,テーマ設定とともに,しつこく語ったのが,目次作成です。本と同じように,卒論にも目次が存在する,卒論を執筆する際にはこの目次もしくは構成案が重要なのだと説明しました。

なぜ重要なのかといえば,目次は設計図になるからです。設計図がないまま家を建てることはありえないように,目次がないまま卒論を執筆することもありえません。

レポートを要求されたとき,たいていの学生は,構成案をあらかじめ練らずに,いきなり1ページ目から書き始めます。本の丸写しか,ネット情報の切り貼りで仕上げるような,コピペレポートならばそれでいいのかもしれません。しかし,きちんと情報収集をして独自の考えを織り込んだ長い文章を執筆する場合には,目次を持っていないと,執筆途中で論理に矛盾が生じたり,結論までの道筋が見えなくなったりします。うちの学部のルールでは,卒論は2万字以上とされています。その分量を,頭の中で考えをめぐらすだけで,論理に矛盾なく文章を書くことができるのは,よほどの秀才であるといえるでしょう。残念ながら,コピペレポートが目立つうちの学部の学生にそんな秀才が果たしているでしょうか・・・。

設計図としての目次をきちんと定めておくことは,執筆の効率化につながります。目次があって,全体像が決まっていれば,卒論は1ページ目から書き始める必要がないのです。第3章を先に書いて,つぎに第2章の第2節途中まで仕上げ,第4章に取り掛かりながら,第1章を書くということができます。設計図があるので,順序を外して書いても,きちんと後に内容をつなぎ合わせることができます。卒論が書けないと騒いでいるダメな学生の振る舞いを見ていると,たいてい1ページ目から書き始めています。最初の部分はテーマや問題の設定を説明しますが,それがうまく書けないので,先に進まないのです。

何人かの大学教員,研究者,文筆家に聞いてもらうと分かりますが,実は論文や本の最初に置かれるテーマ・問題設定の説明は最後に書くことが多いのです。学生には意外に思われるかもしれませんが,もっとも難しい部分なので,結論がきちんと定まってから書くのです。いつもそうとは限りませんが,私の場合はそうすることがほとんどです。

目次が定まっていれば,書きやすい部分から書いていけばいいのです。ただ,理解しておいて欲しいのは,執筆の初期段階に決めた目次は,思考が深まるにつれ修正することになるということです。後に修正するのなら,目次は不必要かといえば,そうではありません。仮のものでも設計図があれば,それが方向性を示してくれるのです。そして,執筆途中で,論理に矛盾がないか,無駄がないか,不足部分がないかを振り返る指針になります。もし,目次そのものが論理上無理があると気づけばそれを修正します。目次がなければその気づきすらないでしょう。

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基礎が大事

2011年04月14日 | 名古屋マーケティング・インカレ
今,うちの大学では,毎日昼休みに屋外で軽音楽系サークルによるミニライブが行われています。サークル勧誘のためのデモンストレーションで,4月初旬の恒例行事となっています。私の研究室はこの会場の近くなのですが,昼休みに大音量で耳がふさがります。

どの演奏もよく練習した跡がうかがえます。難しいフレーズを弾いたり,きちんとアンサンブルを聞かせたりする演奏があります。ただ,学生が一生懸命やっていることについて教員が批判めいたことを述べるのは良くないのですが,正直言って下手くそで聞くに堪えない演奏が多いのです。私がそう感じるだけでなく,周囲の学生も同様の感想をもらしています。サークルの身内以外の学生で演奏を真剣に聴いている者は少ないという印象です。

なぜ下手だと感じるのかというと,基礎的な演奏能力がきちんと身についていないからです。基礎的能力について訓練をきちんとやれば,上手だと評価され,多くの学生は立ち止まって真剣に聴くのではないかと思っています。必ずしも高度なテクニックは必要ないのです。きちんと身についていない基礎的能力というのは何かというと,リズム感を持つこと,音程をとること,音を聴くことです。

リズムについては,指示された出だしと終わりで音を出し,曲の最初から最後まで一定のテンポで演奏できるように訓練する必要があります。メンバーが1人でも狂わせると,うまくは聞こえません。音程については,学生が使っている楽器はほとんどチューニングさえすれば正確な音程を維持できるものなので,気をつけるべきはボーカルです。正確にAならAの音程で歌うことができるのか訓練しなくてはなりません。私が聞いたたいていの学生ボーカルは音程が不安定でした。また,総じてどの楽器も音量が大きすぎて,ボーカルがよく聞こえません。自分の担当している楽器の音量をどんどん上げていくのでそうなっているようです。なぜそうなるのかといえば,自分のパート演奏に精一杯で,冷静にバンド全体の演奏を聴く余裕がないからです。これがボーカルの音程の不安定さを助長しています。全パートのバランスを考えて,自からの音量を抑えて,冷静にバンド全体の演奏を聴きながら,演奏することができるよう訓練する必要があります。

私は長らくアマチュア・バンド活動をしていましたが,大学生の頃以上の基礎の重要性に気づき,きちんと訓練しようと他のバンドメンバーに提案したことがありました。メトロノームを使ってリズム感を身につけることや,大きな声量でもって正確な音程で歌えるようボイストレーニングすることを提案しました。しかし,そんなつまらない面倒なことは嫌だと一笑に付されてしまいました。そして,狭い貸しスタジオにおいて,難聴になるほど音量を上げた楽器の演奏をバックに,カラオケのようながなり歌を繰り返す練習をするばかりでした。もちろん上手にはなりません。

基礎が大事というのは,実は研究発表でも同じなのです。研究発表における基礎的能力は,事象から問題を発見する能力,数的データを処理する能力,概念を構築する能力など様々存在するでしょう。何より重要なのは物事を論理的に説明する能力です。主張したいことをきちんと論理的に説明することができれば,聴衆は良い発表だったと納得してくれます。学生レベルでは,難解な専門用語,高度な解析,複雑な理論は必要ないのです。

論理的であるためにはつぎのような項目が確認する必要があります。
1.発表の最初で使った言葉の意味が最後まで変わらない(別の意味で同じ言葉を使わない)
2.研究目的をきちんと達成している(設定した問題に答えている)
3.理由・根拠を示して主張を展開している
4.主張を展開するのに不必要な(関係のない)事柄は説明に盛り込まない

なお,名古屋マーケティング・インカレでは今年度論理性を評価することになり,その基準作りを愛知淑徳大学の大塚先生が行ってくれました。それではつぎの項目が示されています。
1.問題と解答(結論)がきちんと整合しているか
2.最初に設定した前提条件をストーリーが逸脱していないか
3.ストーリーの中で重要な役割を果たす用語の意味をきちんと定義しているか
4.用語の意味が途中でぶれていないか
5.各セクション間にストーリーの飛躍が見られないか

では論理性を身につけるためにはどんな訓練が必要なのでしょうか。まずは,論理的であると評価された文章や発表にたくさん接することです。学ぶことは真似ることから始まります。模範例を知り,それを真似ることで鍛えられます。つぎには,他人(もしくは自分)の研究発表や文章について,上記の項目をチェックして,批判することです。おかしな点がないか常に確認するのです。そして,接した研究発表や文章に対して,常に聞いたこと気づいたことをメモに残しておくことも大事です。メモを残しておけば,言葉の使い方のぶれ,根拠の薄い飛躍した説明などに気づくことができます。

ゼミではメモを取ることをはじめ論理性の訓練をしつこく行っていきます。ゼミ生には基礎訓練だといっておっくうがらず,徹底して取り組んで欲しいと思います。

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start

2011年04月08日 | 名古屋マーケティング・インカレ
昨日,今年度1回目のゼミ開講日でした。実質的には3月18日に始まっていますが,形式的には昨日始まりました。

3年生は,3月に指示した,名古屋マーケティング・インカレに向けた,研究テーマ案を発表してもらいました。2チームに分かれていたので,それぞれ発表してもらいました。1チームは電子マネー普及に関するもの,もう1チームはネットスーパーに関するものでした。ネットスーパーに関するものは何がやりたいのかまったく不明だったので,今年度初のダメ出しをしました。根本的なやり直しです。電子マネーに関するものは問題点をあれこれ指摘して,つぎまでにそれをつぶしてくるように指示しました。両方とも,まだまだ研究テーマとして掲げることができるレベルには達していません。悩みぬいて欲しいと思います。

発表に先立ち,4年生に名古屋マーケティング・インカレ参加の心構えを話してもらいました。4年生が語ったのはつぎの事柄です。

「研究テーマは一度決めたら絶対に変えてはならない」
「研究テーマは早く決めて,動き出して欲しい」
「自分たちは4月から12月の本大会まで,先生に同じことを指摘され続けた。それをきちんとクリアしていれば,いい発表ができたはずだ。指摘されたことはきちんと検討すべき」
「常にメモを取って,どんな議論をチームでしてきたのか記録を残すべき。もし迷ったら,その記録を振り返って,原点に立ち戻ることをして欲しい」
「テーマに関連する専門書やテキストは春学期のうちにきちんと読んでおくべき。自分たちは秋学期に理論の基礎的理解が足りないことを感じ,専門書を読み始めたが,本大会には間に合わなかった」
「プレゼンの練習は何度もやって欲しい。うちの大学の学生は他大生と比べてプレゼンが下手だ」

4年生は自分たちはうまくいかなかったという反省から後輩に語ってくれました。以上の事柄は今の自分なら心の底から納得できるが,1年前ならぴんと来なかったかもしれない,後輩たちには感じ入って欲しいとも語っていました。3年生たちには是非ともすべて実行して欲しいと思います。

今年度の名古屋マーケティング・インカレでは運営上いくつか変更点があります。まず,例年,本大会でのみ行っていた学生による相互評価を中間発表会でも行うことになりました。評価を改善につなげてもらうためです。また,従来のような総合的な評価ではなく,いくつか評価項目を分けて行うことになりました。例年プレゼン重視の評価になりがちで,研究の論理性や着眼点の面白さが今ひとつきちんと評価に組み入れられていない印象を教員が持っていたからです。全参加チームのメンバーに対して教員があらかじめ論理性の評価についてレクチャーすることにもなりました。なお,アーカイブづくりという観点から,中間発表会と本大会の研究発表概要(議事録のようなもの)を参加学生がまとめ,記録として残していくことになりました。これはホームページで公開されます。

ともかく,これから8カ月間,徹底して取り組んでください。本大会終了後,こんな充実した日々はなかったと,しみじみ思うようになるはずです。

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入学

2011年04月01日 | 運営
4月1日に愛知学院大学では入学式を挙行しました。商学部は350名を超える新入生を迎えました。

従来入学式は5日前後に行ってきました。しかし,大学設置基準遵守という大学界の流れで,学期内に授業回数15回を実現しなければならなくなったため,入学に関わる行事を前倒しして行うことになったのです。そのため,入学式は1日に移されました。授業開始は5日からです。新入生にとってはあわただしい学生生活のスタートになりました。入学式でぼんやり進行を眺め,翌日からオリエンテーションで聞きなれない大学の仕組みを散々詰め込まれ,何が何だか分からないまま,5日に授業開始となるのです。新入生は不満を感じることが多いだろうと想像できます。

しかし,平常どおり大学で勉学できる喜びを噛み締めて欲しいと思います。東日本における震災で命を絶たれ勉学の道に進むことができなかった同世代の若者が存在していることに思いをめぐらしてください。今大学に通うことができることがどれほど幸せなことなのか感じて欲しいと思います。

また,現在東北や関東には勉強したくてもできないでいる数多くの大学生が存在しています。震災の影響で,東北や関東では入学式を行うことができない大学が続出しています。そして,授業開始を4月下旬から5月上旬まで遅らせる大学も数多くあります。例えば本学の姉妹校である駒澤大学では5月6日,東北福祉大学では5月9日開始となっています。4月1日から大学に通い,授業を受けることができることは,恵まれた状況なのです。

新入生に限らず,ゼミ生はじめ在学生も同様の思いを抱いて欲しいと思っています。

ただ,萎縮する必要はありません。自粛ムードが日本を覆っていますが,日本経済の景気や被災地復興を考えれば,望ましいことではありません。恵まれた状況にいる私たちは,そのチャンスをありがたく感じて,平常どおりの活動をすればいいのです。それによって消費や生産活動が滞りなく行われ,景気は支えられ,被災地復興に必要な富が生み出されます。

ゼミでは,いつもどおりの教育・研究活動を行っていきます。ゼミ生は,いつものようにパソコンに向かい,いつものように図書館に通い,いつものように調査を行い,いつものように発表を行い,いつものように懇親会に参加し,いつものように合宿に出かけてください。私もいつものように「あかんな」とダメだしをします。
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