愛知学院大学青木ゼミのブログ

愛知学院大学商学部青木ゼミの活動を報告するためのブログです。

質問

2024年11月27日 | 運営
学生の知的訓練のために,調査,プレゼンテーション,文章執筆などをゼミで指導しています。これらは様々な作業を伴うので,ゼミ生にとって知的訓練を受けている実感を持ってもらえると思います。

それらと同等か,ひょっとするともっと重要だと個人的に考えている知的訓練のための行為があります。それは質問です。研究発表会の場合,発表に対して,聞き手側が不明なことを質問し,それに対して発表者が答えます。その際,良い質問は,データ収集や処理の不十分さ,論理の不整合,主張の曖昧さ,他の結論の可能性など研究発表の問題点を明らかにします。また良い質問は,その発表の優れた点も引き出します。良い質問は研究発表の良し悪しを引き立たせるのです。

良い質問をするために,私が自分なりに重要だと考えていることがあります。まず,研究発表の全体像を見渡して,目的と主張(結論)が整合しているか(論理の整合性),主張を支える根拠が十分なのかを確認することです。これらに疑問を覚えるならば質問をします。

さらに,いつもゼミでゼミ生たちに諭している,「なんで?」「ほんま?」を問いかけることも重要です。目的,前提,主張,根拠などに対してこの2つの問いかけをするのです。研究発表中,それらに対する答えがないと感じたら質問するのです。先に説明した論理の整合性や根拠の十分さを確認することにもなります。

また,拡張して,5W1Hを確認するということも重要だと思います。What(何) Which(どちら) Who(だれ) When(いつ) Where(どこ) Why(なぜ) How(いかに)を発表内容において確認して,不足している事柄を質問するのです。ただし,研究発表において ,5W1Hすべて捉える必要がない場合もあるので,ケースバイケースかもしれません。

以上の確認・問いかけについて,発表内容が十分であるとしても,自分が理解できなければ質問をしても良いのです。質問によってその発表の優れた点を引き出すかもしれません。

学生の中には,質問をすることは,自分が劣っていること(理解不足,勉強不足)をさらけ出すのではないかと心配している人がいます。この心配こそおかしなことです。我々教員は良い質問をする学生を高く評価します。企業でも良い質問をする応募者や社員に一目おくかもしれません。うちのゼミ生はまだまだ質問力が低いので,知的訓練のためにその重要性を諭していきたいと思います。
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勉学以外の活動

2024年10月24日 | 運営
先日秋学期に始まった2年次ゼミ(演習Ⅰ)の授業中,3年生のゼミ長が2年生たちに勉学以外の活動の重要性を説明しました。ゼミでは学問的学びに積極的に取り組むのは当然として,勉学外活動にも取り組むことによって学問的学びが促進されるという話しでした。とくにグループワーク中心の2,3年次には,ゼミ内のコミュニケーションが非常に重要です。勉学外活動は,ゼミに対する帰属意識を高め,ゼミ生が互いに個性を知るきっかけとなるため,コミュニケーションを円滑にする基盤となるということです。その活動として,食事会,合宿,スポーツなどがあげられ,3年生たちは積極的に実施してきました。

多くの企業では業務とは直接関係のない懇親会や旅行が催されます。これらの活動が業務遂行に役立つと経営陣が考えているから継続しています。以下の記事は社員旅行について報じた記事です。ドライな若い社員たちが嫌がるので社員旅行は消滅しつつあるが,やはり重要性が見直され,企業が工夫を凝らして継続しているという内容です。ゼミ生には是非元の記事を検索して読んでほしいと思います。社員旅行を嫌う社員は,旅行を嫌う以前に,会社に愛着を持っていないのではないかと思います。

このゼミでも,積極的に食事会や合宿を実施した世代は,勉学面の活動も積極的で,ゼミ生間の協力関係がうまく築けていたと思います。なによりゼミに対する帰属意識が高く,卒業後も私と接触があります。逆に積極的でなかった世代は,ゼミの中が小集団に分かれてしまい,ゼミ生間の協力関係は薄かった記憶があります。

コロナ禍で,2020年度から3年間課外活動をほとんど実施しませんでした。2023年度からようやく戻ってきました。今後も以前のように実施したいと思います。

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「社員旅行」はオワコンなのか? 行きたくなかった若者も満足させた「令和の社員旅行」の最前線

<『社員旅行があります』ってメリットのように記載してる会社、若者からしたらそれが超デメリットなの分かってないのかな?>。8月、社員旅行に関するこんな投稿がXで8000件近くリツイートされ話題となった。温泉旅館に泊まって夜は酒盛り……という昭和スタイルの社員旅行に抵抗を感じる若者が多いのは想像にかたくない。その一方、社員旅行をスタイリッシュに変革して組織の結束を高めるツールとしている企業もある。令和の社員旅行事情を取材した。産労総合研究所の「社内イベント・社員旅行等に関する調査」によると、社員旅行を行う企業は1990年代には8割近くあったが、年々減少し、2020年にはコロナ禍の影響もあり27.8%まで落ち込んでいる。

こうした世相を反映してか、冒頭のXポストにも「上司や先輩と一緒に海外旅行なんて行っても、少しも楽しめない」「仲良くなりたい人たちだけで行ってくださいって感じね」など冷ややかな意見が多く上がった。

若者世代を中心に、職場にドライな人間関係を求める風潮になりつつある今、社内旅行は失われゆく企業文化なのか……。と思いきや、ユニークな社員旅行を大成功させた会社もある。

(AERA dot.編集部・大谷百合絵)2024年9/23(月)
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淡路島

2024年09月07日 | 運営
先日,ゼミ3年生が兵庫県淡路島で合宿しました。私は引率者として参加しました。いつも合宿は,商業施設の見学を目的の一つとしています。淡路島に行きたいとゼミ生たちが提案してきたときに,「淡路島に面白い商業施設なんかあるのか?」と訝しんだのですが,私が知らなかっただけで色々ありました。

今回は,Hello Kitty Smile,淡路夢舞台,ニジゲンノモリを訪ねました。どこもパソナグループの運営施設です。この中で,Hello Kitty Smileは平日にもかかわらず大盛況でした。家族連れに加え,大学生のグループも沢山入場していました。この施設は竜宮城にいるKittyちゃんというコンセプトで,館内あちらこちらにKittyちゃんの展示物がありました。館内回遊を誘うため,クイズとスタンプラリーの仕掛けがありました。クイズの答えが展示物に隠されているということで,見学者は必死で見て回っていました。ゼミ生たちは皆コンプリートして,缶バッチをもらっていました。

ニジゲンノモリは,兵庫県立淡路島公園内にあり,アニメの舞台をテーマにしたフィールド・アスレティックの施設が組み合わさったものです。広大な敷地内に施設がいくつもありました。しかし,我々一行は灼熱の中ハードな運動をする気になれず,施設外の公園区域にたたずんでいました。しばらくして,「何か遊びをやろう」とゼミ長が言い出して,ペコポンという子供の遊びを何人かでやり始めました。始めて見ると,童心にかえって動き回ることが面白いらしく,ゼミ生たちは飽きもせずゲームを何度も繰り返して,歓声を上げていました。

ちなみに,私はこのペコポンを知らなかったのですが,ゼミ生たちの動きを見て,自分が子供のころやっていた石蹴りや缶蹴りという遊びに近いことを理解しました。電子ゲームが当たり前の環境で育ったゼミ生たちが,自分のようなおじさん世代と同じような遊びを楽しんでいたことに驚きました。

宿泊の夜には皆でバーベキューを調理して食べました。準備,調理,後片づけの様子を見ていると,ゼミ生たちの個性がよく分かります。とくに,普段の教室とは違って,地味な作業をいとわず黙々と続けている姿を見ることは,ゼミを指導するうえで重要です。いつもこのゼミの合宿の主な目的は,商業施設の見学と調査研究の途中経過確認なのですが,私にとっては,ゼミ生の個性の発見・確認も付け加わります。

研究発表も簡単に行ってもらい,10月の発表会に向けての課題が見つかりました。楽しく実り多い合宿でした。
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合同研究発表会

2024年06月09日 | 運営
6月8日,本学経営学部の藤原ゼミとうちのゼミとで合同の研究発表会を名城公園キャンパスにて開催しました。4月から始まった調査研究について,現段階で考え出した研究目的と,現状分析を何とか話してもらうという発表会です。

不動産事故物件のコミュニケーション,爬虫類の気持ち悪さの源泉,クロックスのマーケティング,インターネット通販の衝動買いなど,色々なテーマが取り上げられていました。ゼミの毛色が出ていて,藤原ゼミの各学生は,共分散構造分析をツールとして使いこなすことを主眼としたテーマ設定を行っています。基本的に計量分析必須です。うちのゼミの学生は,小売業・飲食業を中心に企業の戦略分析を取り上げる傾向にあります。両ゼミとも,指導教員の研究に影響を受けています。研究を教育の中核に置く大学教育として好ましいことだと思います。

学生の研究発表後,教員による講評において,私は「既存研究を読み,それを踏まえて仮説を導き出すという作業では,手堅い論理展開になるが,ありきたりの結論を導き出しがちなので,現実に起きていることをきちんと拾い上げて,それをもとに悩んで欲しい。学生らしく,既存研究にはとらわれない結論を導き出して欲しい」という話をしました。この言葉の背景には,学生たちには,様々な情報を色々な角度で収集し,複数の理論や視座で論理展開を試みて欲しいという思いがあります。

つまりは,簡単に結論を出すなということです。テーマを二転三転させながら,混乱する揺れ動きの過程で,思考力を鍛えて欲しいのです。

研究発表会後は懇親会となりました。最初は,誕生月ごとに着座したため,両ゼミの初対面の学生同士が顔を合わせて,ぎこちない場面が続きました。しかし,時間が進むにつれ,座が乱れ,学生らしい,がやがやした楽しい雰囲気になりました。商学部と経営学部は同じキャンパスにあるビジネス系学部ながら,学部間の学生交流はあまりありません。これを機会に,両ゼミの学生が交流を深めてくれれば良いと思います。
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最後のゼミ

2024年02月06日 | 運営
1月18日は演習Ⅲ(4年生ゼミ)の最後の授業になりました。この日は卒業アルバムの集合写真を撮影するとともに,これまでのゼミ活動の振り返りを各自にしてもらいました。例年行ってもらっています。

大半のゼミ4年生は,ただの時間つぶしのように感じたかもしれません。「もう帰りたい」と言い出すゼミ生もいました。しかし,この振り返りには教育的な意味がありました。自分の活動を客観的に捉えることができるかどうか,いわばメタ認知能力があるかどうか,それを自覚してもらいたかったのです。

以前から分かってはいましたが,「やはりそうか」とこちらが納得したことがありました。卒論が表彰されるレベルのゼミ生は,自分の良くなかった点を指摘し,周囲との関係を振り返りました。自分の活動を客観的に振り返る能力があれば,自分の欠点が見えてくるし,自分以外の存在も視野に入ります。そして,その能力が高ければ,自分を改善することにつながります。その結果,卒論はレベルの高いものになります。

その一方,ネット情報を貼り合わせた安易な卒論を書こうとしたゼミ生は,「楽しかった」「卒論は意外に簡単だった」など楽観的口調で,感情を簡単に表現しただけでした。卒論ではこちらの指摘を受け留めきれず,最後まで改善しきれませんでしたが,自分の活動を客観的に振り返ることが今一つであるため,楽観的で,厳しさに欠けてしまったかもしれません。

3月に卒業していく,ゼミの4年生の皆さん。卒業までに,この4年間をきちんと振り返ってみてください。他の学生,教員,家族などとの関係を踏まえて,俯瞰的に自分を眺め,客観的に自分の活動を評価する努力をしてみてください。客観的に自分を振り返ることができる能力は,社会に出て活躍するうえで,非常に重要です。その能力が高ければ,傲慢にならず,卑屈にもならず,他者を敬い他者とよい関係を結びながら,自分の活動や技量を改善することができるのです。
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卒業生が集う

2023年10月16日 | 運営
昨日(10月15日)に開催されたホームカミングデーへの参加を呼び掛けたところ,10名近いゼミの卒業生が集ってくれました。こんなにたくさんの卒業生が集ったゼミは他にはなさそうでした。大変うれしく思います。自分の財産はゼミの卒業生たちなのだと改めて得心しました。

当日開催されていた,学生研究発表会終了後,多くの卒業生が残ってくれて,1時間ほど歓談しました。当日集まった最年長者と最年少者では15歳ほど年齢が離れていますが,共通してゼミで体験したことが多いので,和気あいあいとした雰囲気になりました。

最年長の卒業生たちは,日進キャンパスしか知らず,今回初めて名城公園キャンパスに来場しました。「ずいぶんハイテクでびっくりした」と名城公園キャンパスの第一印象を語っていました。一方で最年少卒業生は日進キャンパスを知りません。この点は世代ギャップを生んでいました。

日進キャンパスの商学部の建物が跡形も無くなったという話をすると,最年長卒業生たちは驚いていました。変わらないようで,実際には大学はどんどん変化しています。

もっとゆっくりと卒業生の話を聞きたいと私は思い,お互いに様々な近況を語り合いたいと卒業生たちも感じ,当日来れなかった卒業生にも会いたいという思いをみな持っていたようで,近いうちに忘年会か新年会を開催しようと話し合って,この日はお開きになりました。
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ホームカミングデー

2023年10月15日 | 運営
10月15日日曜日は名城公園キャンパス大学祭の日でしたが,同時にホームカミングデーが開催されました。卒業生が母校に帰るという企画です。その催しの一環として,商学部は学生による研究発表会「ビジネスカンファレンス・ホームカミングデー大会」を開催しました。卒業生と現役学生とが触れ合う場として設けました。

うちのゼミからは3年生2チームが発表しました。1週間前に,名古屋マーケティング・インカレ第2回中間発表会でゼミから4チームが参加しましたが,そのうちの2チームです。まあまあの出来だと自覚して,率先してエントリーしてくれました。1つは同性婚式が広まらないのはなぜかを追究する発表,もう1つはハンバーガーチェーン「バーガーキング」の日本市場参入に関するマーケティング戦略の是非を考察するチーム。

私は発表会の運営委員・司会役として,動き回っていたので,彼らの発表は聞きませんでしたが,参加者のコメント用紙の記入を読んでみると,悪くない発表のようでした。1週間前の名古屋マーケティング・インカレ第2回中間発表会でつまづいた点を修正していたようです。

今回は1月開催予定の本大会前の中間発表会ではあるが,同窓会組織「商経会」の援助を受けて,学部長による表彰が行われました。本大会とは違い,少数の優れた発表を選出するというのではなく,「ダメではない」真面目に努力した成果をたたえるという姿勢で表彰がなされました。全12発表のうち,不真面目でダメな発表は1つもなかったので,今回の発表者全員に研究奨励賞が学部長より授与されました。

かつての中間発表会では,準備不足で,何を語っているのかよくわからない発表が含まれていましたが,今回そのようなものは1つもありませんでした。3年生の選ばれたチームに加え,自発的に参加を希望した4年生(卒論)も含まれていたので,全体レベルは過去の中間発表と比べれば,高かったといえるでしょう。

1つでも発表の機会が多ければ,学生の思考やプレンテーション能力は向上すると思います。発表したうちの2チームの能力向上を願っています。また,発表しなかったチームも刺激を受けて一層の努力を重ねるよう祈っています。

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ほんま?なんで?と問いかけてみる

2023年06月15日 | 運営
現在ゼミ3年生の研究発表チームの一つが,同性カップルの結婚式・披露宴が広がらないのはなぜか?というテーマで調査研究を展開しています。当初読んだ関連記事では,式場が拒否するからだということでしたが,実際に名古屋市内の式場数十にインタビューしてみるとほとんどが同性婚式・披露宴開催可とのこと。したがって,何がその広がりを阻んでいるのか仮説立案のために悩んでいます。

ところで,結婚式・披露宴に関する面白い記事を見つけました。下段の記事は,ブライダルフェア(結婚式場見学会)にやってくるカップルの多くがフレンチのコース料理を食べたことがなく,試食会で初めて経験したことを報告しています。デフレが続き賃金が上昇しない経済情勢の日本では,結婚式を挙げることができる比較的余裕のある中流層でも,コース料理を食べたことがない人が多くなっている。経済格差は経験格差をもたらす一例ではないかという指摘です。

この記事では,以前ならば,安価な料理と比較的高価な料理を食べ比べてもらうと,ほとんどの見学者は高価な料理をおいしいと評価し,そちらを披露宴メニューに選択した。しかし,今では料理の味の違いが分からないので安い方でよいと答えるカップルばかりになっていると報告しています。そして,それは文化の衰退につながるのではないかという危惧を表明しています。

この記事を読んだときに,本当にカップルの多くがフレンチのコース料理を食べたことがないのか? 印象論ではなく,それを示すデータがあるのか? また,それが仮に本当だとして,なぜそうなったのか? 経済格差が進行したため,フレンチコースの食事を経験することができる層が減少し,経験格差を生んだという記事の説明を支える根拠はあるのか? 結婚して式を挙げることができるカップルは余裕のある中流層であるはずだが,その人たちがフレンチコースを食べる経験がなくなったとことについて,経済環境の悪化以外に理由は存在しないのか? 

いつもゼミで諭している,なんで?ほんま?を追究せよ!に適した例のような気がしてあれこれ考えています。こういう何気ない記事の中に研究ネタが転がっていると思います。

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あなたが初めてコース料理を食べたのはいつだろうか。ウエディング研究家の安東徳子さんは、「披露宴を行うのは30代から40代前半のカップルが中心だが、コース料理を食べたことがないという人が増えている。廉価な会場だと9割のカップルが『ウエディング試食会で食べるのが初めて』というケースもある。経験の格差が広がっている」という――。

昨年、あるホテルのブライダルフェアで行われたフレンチの試食会でのことです。この日は8組のカップルが参加していました。部屋の中ほどの席に座っていたカップルの新郎が、おもむろに両手でスープ皿を持ち上げ、直接口をつけてズズっと音を立てて、スープを飲み始めたのです。周りを気にすることもなく、ゆっくりとスープを飲む干す姿はとても堂々としていました。さらにびっくりしたのは、その後でした。向かい合って座っていた新婦も同じようにスープ皿を持ち上げて、口をつけて飲み始めたのです。まるで新郎を見て「そうやって飲めばいいのね」と納得したかのような表情でした。

安東 徳子「『コース料理を初めて食べた』というカップルが9割…婚礼業界で常識化する『残酷すぎる経験格差』の実態」『プレジデントオンライン』2023/05/26 抜粋
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ゼミ合宿

2023年05月07日 | 運営
5月5日と6日,ゼミ合宿を行いました。2019年9月以来ほぼ4年ぶりです。いつもは3,4年生合同(2年生も加わることがある)で実施するのですが,就職活動で忙しい4年生ははずれ,3年生のみ参加でした。

個人的な事情により,現在私は泊りがけで出かけることが困難なのですが,今回は久しぶりの開催であることと数か月前にスケジュールを決めていたため,色々やりくりして引率することにしました。

行先は熱海でした。実は2015年にも熱海をゼミで訪ねています。その時の旅程を参考にしました。8年前と比べて,観光客が増加しています。2015年にも観光客が多い,特に若い人たちがすごく多いと感じていましたが,今回は若いグループに加え,家族連れも多いという印象。コロナ禍明けの開放感で観光需要が高まったのか、とにかく人,人,人。

かつて熱海は寂れ切っていました。1990年代半ばにここを訪れた時,駅前の商店街には人通りがなく寒々しい雰囲気を感じました。ところが2015年にすごい賑わいを見て復活を知りました。今回は復活を超えた再生を感じました。どこに行っても行列です。集客の仕掛けがあちこちにあります。これはマーケティングを学ぶ上でよい事例であるので,熱海の魅力を自分たちなりに考えて欲しいと一部のゼミ生には話しました。せっかくのゼミ合宿を物見遊山だけにはしたくなかったのでした。考えてくれたでしょうか。

今回宿泊したのは,5階建てのマンションを改装した施設です。一棟丸貸しです。5階にはバーベキュー設備があり,さらに屋上には温泉風呂があります。また地下室が存在していて,そこではカラオケが利用できます。2から4階が寝室になっています。

初日,宿泊施設到着後バーベキューのため近くのスーパーに食材を買い出しに行きました。買い出し後,研究発表の検討会を地下室で行いました。7月8日の発表会までにテーマを決めなければならないので,そのための議論を行いました。その後,5階でバーベキューを行いました。準備,調理,食事において,ゼミ生はそれぞれ役割を分担し,他のメンバーを気遣いしながら楽しんでくれました。また,地下室は音漏れがないため,食事後は深夜まで皆でカラオケ等を楽しみました。

翌日,熱海城等の観光に出かける予定だったのですが,ものすごい強風のため,ロープウエイが動かず,熱海城は断念。仕方なく各自食事・観光を自由にした後,全員で昼過ぎにMOA美術館に行きました。その後もあちこちを歩き回ったので,みな夕方にはぐったりです。

観光は予定通りできず,アクシデントがいくつもありましたが,今回の合宿は,私にとって各ゼミ生の個性を確認できる良い機会となりました。ゼミ生にとってもお互いに個性を確認しあう機会になったのではないでしょうか。今後のゼミの運営がスムーズに,そして活発になることを期待しています。
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合同ゼミ

2023年02月25日 | 運営
先日,成績発表が行われました。ここで学生にとって年度が実質的に終わります。卒業式終了後のオリエンテーションから新年度行事が始まりますので,この間1か月近く,勉学面では空白になります。それではもったいないということで,勉学面の関心を維持するため,経営学部藤原ゼミと合同で勉強会を開催しました。藤原ゼミ2年生,うちのゼミ2年生,3年生が集まりました。

藤原ゼミはうちと同じくマーケティング専門のゼミです。藤原先生はラグジュアリーブランドを対象に消費者行動の計量分析を中心とした研究をされているので,ゼミでもそれを中核の指導内容とされているようです。私は小売マーケティングについてケーススタディや歴史研究を手掛け,ゼミでもそれを指導の中核としているので,マーケティング専門ゼミといっても両者は毛色が異なります。毛色の異なるゼミの合同活動は指導の幅が広がり,学生には良い刺激になります。

今回は,名古屋マーケティング・インカレに向けた勉強会になりました。藤原ゼミが次年度それに参加予定なので,うちのゼミ3年生が経験談を展開して,何を今後行うべきかを示し,それを受けた両ゼミ2年生が今後の在り方を考える機会を設けるという内容でした。そこには3年生の研究発表プレゼンも含まれました。今年度名古屋マーケティング・インカレ発表分の改善版を一つサンプルとして発表してもらいました。

3年生には身についた能力について語ってもらいました。うまくいかなかったこと,大変だったことも正直に話してもらいました。身についた能力については,異口同音に「人前で話すことが苦にならなくなった」「プレゼンがスムーズにできるようになった」と3年生たちは話しました。2回の中間発表会と1回の本大会で,他大学の学生や教員を前に研究発表するという機会に加え,ゼミでは毎週プレゼンをしてもらいました。数十回繰り返せば,さすがに能力は引き上がります。

うまくいかなかったこと,大変だったことについては,チーム内の対立・瓦解,研究テーマが定まらないことの混乱という2つが焦点になりました。チーム内の対立・瓦解はテーマが定まらないことと関連しているので,結局彼らにとってテーマ設定が最も苦労したことでした。「夏休みを無駄にしなければ,もっとテーマは早く固まったはず」という反省も聞かれました。私からは「例年,3月に始めて,テーマが確定するのは10月か11月」と補足しました。いつもゼミでは,テーマが固まれば研究は半分以上進んだも同然と諭していますが,それを3年生に実感してもらったということです。

チーム内の対立・瓦解に関連して,チーム編成に関するアドバイスを彼らはしていました。研究領域や関心が共通する人が集まってチームを作るより,先に信頼できる人がチームを作り,その上で関心をすり合わせてテーマを決めたほうが良いというアドバイスです。研究内容よりも人を重視するということです。昨今流行りのジョブ型人事に反する考えですが,例年学生たちを見ていると(そして自分の属する組織を眺めると)これは案外重要だなと思います。

勉強会は90分程度続きました。藤原ゼミの2年生が殊の外熱心で,きちんとメモをとり,質問をしている姿が印象的でした。この後懇親の場が設けられました。うちのゼミで,2,3年生が学年を超えて懇親する機会は3年ぶりでした。次年度のキックオフになった点と学年とゼミを超えて懇親の機会があったという点で意義ある一日になりました。
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