90年代はジャンルも出揃って
聞きたい音楽も
よりどりみどり
ある意味
とっかえひっかえで
自分好みの音や
コトバをさがしていた時代
93年にリリースされた
T-BOLAN の
9枚目のシングル
「刹那さを消せやしない」
ミドルテンポの心地よいロックは
メロディーラインの綺麗な
僕好みの歌だった。
聞き流しもできる
歌詞でもあるが
それなりに
深く ポイントをついて
刺さるものがある
軽く聞き流せるけれど
どこか自分に合う
フレーズがちょいちょい
引っかかってくるのだ
それがいいメロディーラインと
重なって
「おっ!いいじゃん!」って
口走ってしまう
T-BOLAN
あの頃
次から次へと
グループがデビューして
歌もホントに
溢れかえっていた
時代の寵児は不在だったように
思う90年代
横一線の出来上がった時代
もちろん好きなグループもあって
好きな歌、作品なのだろうけど
とりわけ
あの頃は
作品に支持が偏って、誰が
横一線から抜きに出るか混沌としていた
そんな時代だった
T-BOLANやDEENやWANDSなど
いい作品を次々に出してきて
聞いてるあの頃の僕も
誰のなんていう作品かを
理解するのに
時間を要したのを覚えてる。
いい歌をキャッチするのは
早いけど
誰が歌っているのか
誰が演奏してるのか
理解するスピードが遅かったのを
思えば
あの頃から
若くなくなってきていたのかなぁと
少しずつ
時代から取り残され、置いてけぼりにされていく感覚を知るようになる
それでも流行歌に耳を傾け
いいものを理解しようとする
気持ちがあったことを
この作品を聞くたびに
思い出す。
タイトルにもあるように
せつないという気持ちも抱えつつ
少しずつ若さを失っていく自分に
精一杯のもがきを、足踏みを、
いつまでも消すことのできない
刹那さを抱いて…