先日、ラジオで作者の長谷川義史さんがこの絵本を朗読するのを耳にしました。産まれてくる赤ちゃんが、お母さんのおへそのあなを通して、外の世界を見たり・聞いたり・感じたりしたことを描いたストーリーでした。聴いていると、赤ちゃんになったような気持ちで外の世界が見え、自分の誕生を心から待ち望んでいる家族の様子が見えてくるような気がしました。是非絵本を手にしてみたいと思っていたところ、娘が図書館からその絵本を借りてきてくれました。
絵と重ねて読んでみると、改めてこの絵本のよさを実感できました。
~ 産まれてくる赤ちゃんのために、ロボットをつくるおにいさん。きれいな花を見せてあげたいと花を育てるおねえさん。ギターをひきながら、赤ちゃんの歌をつくったお父さん。そんな家族の様子がおへそのあなから見えます。
お母さんのつくる料理のにおいもしてきます。産まれてくる赤ちゃんのために、お母さんはバランスよく食べます。
いろんな声も聞こえてきます。赤ちゃんの誕生を心待ちにしているお父さん・お母さん・おばあさん・おじいさん・おにいさん・おねえさんの声。
風の音・波の音・鳥の声・花の咲く音も聞こえてきます。
「おいで おいで うまれておいで」と 言っている みんなの声が聞こえてきます。
この声にこたえる 赤ちゃんの声で 絵本は 結ばれています。
「あした うまれて いくからね」 ~
産まれてくる赤ちゃんとその誕生を心から待ち望んでいる家族の思いが、ほのぼのと心に伝わってくる絵本です。我が子どもたちが産まれた頃のことや誕生した時の喜びを思い出します。三番目の娘は、自分がお母さんのおなかにいた時のことをおぼろげなから覚えていると語ったことがありました。この絵本の赤ちゃんのように、外の世界が見えたり、聞こえたりした感覚が残っていたのかもしれません……?。
これから赤ちゃんが生まれてくる家庭の子どもたちには、是非手にとってもらいたい絵本だと思います。「あした うまれて いくからね」という赤ちゃんの声を受け止めながら、おにいさんやおねえさんとして、さっそく何かおくりものの用意を始めるかもしれません。それ以上に新しい家族を迎え入れる心の準備ができるような気がします。
産まれてくる赤ちゃんの誰もが、「うまれてきて よかったなあ」と思えるような 家族であり、社会でありたいものだと、この絵本を通して改めて感じています。