~ なんのために、戦をするのか。それはもう、梁山泊を守るため、ということではなくなっている。新しく現れてくるものを守る。新しいものを、ただの夢に終わらせない。そのために戦をする。……梁山湖の湖塞に拠って、宋とのいつ終わるとも知れぬ闘いをはじめ、死んでいった梁山泊の先人たちは、みんなそこに光を見ていたのではないのか。おぼろだが、「替天行道」の導く光を。志の導く光を。
南宋との戦いを前に、同志との軍議の中で語った 頭領:楊令の言葉です。民のための 形ある国をつくることが、「替天行道」の向こうにある 楊令の求める 夢であり、光でもあったのではないかと思います。
帝のいない 小さな国:梁山泊を 形あるものとしてつくりあげる中で、夢の一つは目に見えるものになりました。日本と中近東を結ぶ広大な交易の道をつくり、経済を活性化し、税を低く抑え、豊かな民の国をつくりました。さらには、梁山泊の外に自由市場を立ち上げ、商人たちの力を借りながら自由経済の波をつくり、その恩恵を受けながら民の暮らしが豊かになるようにしていきました。帝を頂点にいただき、政治的にも経済的にも国が民を統制し支配する形から脱した、これまでにない新しい国のありようを 梁山泊は示そうとしていました。これまでの古い支配を継承しようとする側にとっては、そんな 梁山泊は 危険な存在であり、倒さなければ敵でもあったのです。
そして、ついに 梁山泊軍は 南宋軍との戦いに臨むことになります。前出の楊令の言葉は その軍議の中で語られた言葉でした。
志は 持つことではなく 形にすること。新しいものがつくりだされようとする時、それが形になるまで 守り 戦うことが ただの夢に終わらせないことだということ。そして、民のための国、「替天行道」の向こうに見える 光を 一緒に 見届けよう。
そんな熱いメッセージを 同志たちはそれぞれの思いの中で 深く受けとめ、戦いに臨みます。
人は誰でも その人なりの夢や理想を抱いていることと思います。それをどう形あるものにし、実現していくかは さまざまだとは思いますが、楊令の言葉は 私にとっては熱く心の内に響く言葉でした。
夢や理想を形あるものにしようとすることで、それは志というものになるのではないか。改めて自らの志を問い直し、その先にある 光を見つめながら 少しでも前に踏み出すことができるよう 努めたいと思いました。