あの青い空のように

限りなく澄んだ青空は、憧れそのものです。

教科書『にほんご』について

2019-02-12 12:41:32 | 日記
先日、自主夜間中学の『言葉の時間』で、40年前に発刊された「にほんご」を紹介しました。

詩人の谷川俊太郎さん、大岡信さん、画家の安野光雅さん、児童文学者の松井直さんが編集を担当
した 言葉の入門編(小学校1年の児童を対象とした)とも言える 教科書です。

この本の『あとがき』の中に、次のように 作成した意図やねらいが書かれています。
1 学習指導要領にとらわれない 小学校1年生のための国語教科書を想定しています。
 ・・・私たちはこの「教科書」が、直接教室で用いられる代わりに、一人の教師の心と体にいく
 ばくかの影響を与えることのほうを、むしろ望んでいるのかもしれません。
2 「読み」「書く」ことよりも、「話す」「聞く」ことを先行させています。
 ・・・言語の基本である「話し」「聞く」行為を重視するとき、未整理のままの、あるいはすで
 に偏見にとらえられている子どもたちの言語世界に、ひとつの秩序を発見させ、ことばとは何か
 自覚させることが必要になってくるでしょう。
3 言語を知識としてというよりも、自分と他人との間の関係をつくる行動のひとつとして、まずと
 らえています。
・・・ことばの豊かさをまるごととらえること、ことばは口先だけのものでも、文字づらだけの
 ものでもなく、全身心をあげてかかわるものだということを、子どもたちに知ってほしいと思い
 ます。
4 ことばには心だけではなく、それと切り離せぬものとして体、つまり文体と呼ばれるものがある
 ということを、暗誦を想定したさまざまな文例によって示しています。
5 子どもたちが自分をとりまく世界に目を開いていく上で欠くことのできない昔話、おとぎばなし
 などの『お話』の収録は、ページ数をおさえるためもあって最小限にとどめました。
 ・・・どのような作品を選ぶかについても、私たちは一定の基準を想定していません。むしろ子
 ども自身の内部に、作品を見る眼を育てたいと感じています。
6 いま私たちの使っていることばを、地球上にあるたくさんの言語のひとつ、日本語としてとらえ
 ます。また、いわゆる共通語を基本としますが、地域語のもつ共通語にはないはたらきにも、子
 どもたちの関心をうながしたいと思います。自分の使っている言語が唯一絶対のものではないと
 知ることは、他の民族、他の文化、ひいては他人とのまじわりのむずかしさと同時におもしろさ
 をも、子どもたちに気づかせるでしょう。

この教科書は、「ことばをはなすことのできるのは、人だけである」と語り、人と人との関わりの
原点である 世界中のあいさつの言葉から始まっています。
ことばに、どんな役割やはたらきがあるかを、知的な側面ではなく 実際に使われている言語とい
う生きたことばの中から とらえられるように構成されているところに、この教科書のすばらしさ
があるのだと 改めて感じています。

この教科書を紹介した後に、ある生徒さんから イスラエルで使われているあいさつの言葉「シャ
ローム」について、楽しい思い出話も交えて話してもらいました。外国の方との交流会で、「シャ
ローム」と言ったら、とても喜んでくれて抱きしめられたとのこと。「シャローム」は、平和とい
う意味の言葉であり、同時に日本語の挨拶の「こんにちは」であり、「さようなら また会いまし
ょう」という言葉でもあるのだということでした。
この話を聞かせていただきながら、思い出したのが、若かりし頃に歌った『シャロームの歌』です。
ダークダックスが歌っていた曲でした。
         
        『シャロームの歌』
♬ シャローム チャペリン シャローム チャペリン シャローム シャローム
  レシュットラオ レシュットラオ シャローム シャローム ♬

    ※チャペリン=私の友  レシュットラオ=また逢う時まで 

♬ どこかで また いつか 逢えるさ 
          また逢おう また逢おう どこかで ♬


『ことば』のもつ 豊かな側面を いろんな視点から見つめ直しながら、そのすばらしさや良さを
生徒さんと一緒に味わうことのできる 「言葉の時間」のひとときにしたいものだと感じています。




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