三丁目の夕日 西岸良平【猫の一年】
■特別コラム 茶川駄菓子店商品目録「文化人の愛した猫」より
●文/黒沢哲哉(「柴又のおもちゃ博物館」名誉館長)
猫好きな作家や芸術家が創る作品は、みなどこかやさしくて、人や生き物に対する温かい愛に満ちあふれているのです。
一人目
晩年「猫百態展」を企画して作品製作に打ち込んだ朝倉文夫(省略)
二人目
生涯に約500匹の猫と暮らした大佛次郎(だいぶつじゃないよ)
前略
「猫は冷淡で薄情だとされる。そう云われるのは、猫の性格が正直すぎるからなのだ。猫は決して自分の心に染まぬことをしない。そのために孤独になりながら強く自分を守っている。・・・(中略・文中も同じ中略です)・・・贅沢で我儘で他人(ひと)につめたくすることは、どんな人間の女のヴァンパイアより遙かに上だろう」(大佛次郎著『猫のいる日々』昭和53年、六興出版刊より)
大佛のこの文章を読むと、文化人がなぜ猫に強く惹かれるのかが何となく理解できる気がする。人と共存しながらも常に適当な距離を保ち「自己」を持って生きる彼ら彼女ら。そんな猫の〝生き様〟が、作家や芸術家の思索的・創造的感性に大きな刺激を与えてくれるのではないだろうか。
三人目 夏目漱石(省略)
ヴァンパイア:吸血鬼