2009年11月8日(日曜日)
午後4時から、福井テレビで「匿された日誌~密室ゴミ行政の果て~」の
再放映がありました。
今日の放映を観ていた方から、電話やメールがあり、
若いね~とか、バンダナかぶってた? なんてコメントも
いただきました。
(わたしは見過ごしてしまった・・・)
密着取材を受けていたのは、ちょうど、乳がんの術前の抗がん剤治療の
真っ最中・・・
病院で、抗がん剤の点滴中にもカメラが回っていました。
取材クルーのみなさんには段ボール箱に何箱もある情報公開資料もすべて、
読んでもらいました。
こういう形でしか、解決できなかったことが、いまでも
悔やまれてなりません。
でも、このドキュメンタリー作品はとてもよくできています。
取材拒否が続く中、製作スタッフのみなさんの
苦労話もいっぱい、聞いています。
こちらは、2006年10月20日のFNSドキュメンタリー大賞にノミネートされたときに
発行された記事内容です。
http://www.fujitv.co.jp/b_hp/fnsaward/15th/06-364.html
許可量の13倍を超えるゴミが違法搬入された福井県敦賀市の民間最終処分場。
県の黙認が発覚して5年後、業者との生々しいやりとりがつづられた
内部書類が出てきた。
県が「存在しない」としてきた業務日誌だ。
「密室行政」の危うさと情報公開による難問解決への可能性を検証する。
第15回FNSドキュメンタリー大賞ノミネート作品
『匿された日誌~密室ゴミ行政の果て~』
(制作:福井テレビ)
<11月4日(土)深夜3時45分~4時40分放送>
許可量の13倍を超えるゴミが違法搬入された福井県敦賀市の民間最終処分場。
県の黙認が発覚して5年後、業者との生々しいやりとりがつづられた
内部書類が出てきた。
県が「存在しない」としてきた業務日誌だ。
業者の背後に暴力団の影がちらつき、地元住民や県議会が口を閉ざす中、
密室でのやりとりが繰り返されていく。
11月4日(土)放送の第15回FNSドキュメンタリー大賞ノミネート作品
『匿された日誌~密室ゴミ行政の果て~』
(制作:福井テレビ)<深夜3時45分~4時40分>では
「密室行政」の危うさと情報公開による難問解決への可能性を検証した。
〔番組企画意図〕
許可量(9万立方メートル)の13倍もの廃棄物が違法に持ち込まれた
民間のゴミ最終処分場が福井県敦賀市にある。
その量は119万立方メートル。
東京ドーム1個分である。
汚水が周辺に漏れ出し環境への影響が懸念されている。
驚くことに県は違法搬入を6年間にわたり黙認してきた。
そこには一体何があったのか。
その真相は静かに闇に消えようとしていたが、去年、おでん屋の女将が
情報公開請求で入手した県の「業務日誌」によって、
住民不在のゴミ行政の実態が浮き彫りとなった。
「存在しない」とされてきた県の「業務日誌」には担当課と業者の
生々しいやりとりが記されていた。
業者に揺さぶられ、最後には違法状態を追認するところまで譲歩する県。
違法な搬入を容認し、管理責任を放棄した行政の姿があった。
問題の処分場はコンクリートの壁で覆い漏水対策などを講じることが決まったが、
費用は141億円と莫大である。
巨大なゴミ山は消えることなく、「負」の遺産は市民に押し付けられた。
この番組では密室で行われたゴミ行政を検証することで、
行政の持つ情報は一体、誰のものであるかを考え、
行政をチェックする「情報」の扉がいまだ閉ざされている現状を問う。
--------------------------------------------------------------------------------
【敦賀ゴミ問題の年表】
平成3年ごろ 増設計画(18万立方メートル)に反対運動広がる。
平成4年3月 計画を半分(18万立方メートル⇒9万立方メートル)にすることで
地元が了解⇒県が業者に「指導文書」(将来の増設を確約?)
平成4年12月 廃棄物の搬入開始(許可量=9万立方メートル)
⇒事業計画では「385日」で満杯の予定
平成8年11月 「指導文書」を持って、増設意向を伝える。
*違法搬入に拍車かかる…
*しかし、県は「立ち入り」せず放置
平成12年6月 119万立方メートルの違法搬入について県が公表
平成18年4月 141億円の対策を決定
【処分場を巡る流れ】
キンキクリーンセンターは平成2~3年ごろに18万立方メートルの
増設計画を持ち出したが、地元の反対運動にあった。
↓
仲介に入った県は増設量を計画の半分の9万立方メートルとすることで
地元の了解を取り付け、業者に従うことを指導した。
↓
ここで後々、問題となる「指導文書」が県から業者に渡された。
↓
業者が県の指導に応じたのは、県が定める指導要綱が「地元同意」を
求めているため。
しかし、県の要綱には法律上の拘束力はない。
そのため、県の指導を受け入れた業者は、将来の増設について県に
「指導文書」を書かせた。(平成4年)
↓
平成8年、業者は「指導文書」を持ち出し、増設について便宜を求める。
↓
県にとっては、「借り」となった部分もあって業者に譲歩し、
最後には違法状態を追認。
立ち入りを行って「現状把握」を行うこともなく、
ズルズルと搬入量は119万立方メートルまで膨らんでしまった。
【密室を暴く業務日誌】
県は、業者や関係部署との協議を記した「業務日誌」の存在を否定していた。
「なぜ県は見過ごしたのか?」。
「本当にわからなかったのか?」。
そうした素朴な疑問にも県は答えず、真相は静かに闇の中に眠ろうとしていた。
しかし、矛先を変えた情報公開によって、
「不存在」とされた「業務日誌」が白日のものとなった。
その日誌を入手したのは敦賀市でおでん屋を営む今大地晴美さん(55)。
処分場に関する裁判記録を求めたところ、
密室のゴミ行政の実態を記した72枚の文書が出てきた。
処分場の許可量は9万立方メートル。
業者の計画では1年あまりで(385日)で満杯になる予定だった。
しかし、1年が過ぎ2年が過ぎてもダンプの列は消えなかった。
県は「違法な状態であることがわからなかった」と苦しい説明をしているが、
業務日誌の記述からは、許可量を超えていたことを認識していたばかりでなく、
業者に詰め寄られると、便宜を図ることを検討し、
どんどん譲歩していく責任放棄の行政の顛末が記録されていた。
【暴力団の影】
違法搬入に気づいていたのは行政だけではなかった。
住民たちも「異常」に気がついていたが口にすることをためらった。
それは業者の背後に強い恐怖心を抱いていたからである。
当時、反対運動の先頭に立っていた男性は暴力団の組長を名乗る男から
「身の回りに危害が及ぶ」と脅された。
今大地さんは、店の玄関に人糞を置かれたほか、放火などの嫌がらせを受けた。
地区の人たちにとってこの問題に触れることはタブーとなっていた。
口を閉ざしたのは住民ばかりではなかった。
市民の声を反映する県議会にもアウトローの暗い影が落ちていた。
違法搬入を県が公表する前に、この問題を議会で取り上げられることは
ほとんどなかった。
地元に住む元県議会の重鎮は「相手が悪かった」と証言する。
【負の遺産】
問題が発覚から6年が経った今年4月、ようやく県の対策が決まった。
巨大な廃棄物の山をコンクリート壁で囲い込み、浄化を図っていく計画である。
その対策には141億円がつぎ込まれる。
しかし、巨大なゴミ山は動かない。
負の遺産を地域が抱えることになった。
行政が毅然と対応していればこんなことにはならなかった。
その責任はだれが取るのか。
いつも行政の失態の犠牲になるのは市民である。
<制作者コメント>
ディレクター 横山康浩
この最終処分場問題は地元ではタブー視されていました。
だからといって業者の経営破綻を理由に141億円という対策費を
税金投入で行うという理不尽さを見過ごしていいのか。
取材は葛藤の中でスタートしました。
しかし、取材を始めると「黒い影」に怯えてか、取材拒否の連続…。
そんな中で、おでん屋の女将である今大地晴美さんが、
凜として問題を追及している姿に刺激を受け、
なんとか番組化することができました。
最後に…普段は行政マンや議員から情報を聞き出して記者活動を
展開していますが、情報公開請求という手段をもっと利用しなくては、
と思いました。
--------------------------------------------------------------------------------
プロデューサー 山田耕太郎
ディレクター 横山康浩
ナレーター 井川比佐志
米本千珠
構成 高橋 修
撮影・編集 加藤英一
MA 村松勝弘
音効 関口政孔
--------------------------------------------------------------------------------
2006年10月20日発行「パブペパNo.06-364」 フジテレビ広報部