今週、竜王戦6組をテーマにしましたが、将棋界のビッグタイトルである名人位と竜王位の、挑戦者決定の仕組みの違いを各方面から聞かれましたので、本日はそれをテーマに致します。
まず名人戦の仕組み。ここには日本将棋連盟のプロ棋士しか参加できません。奨励会の三段リーグで勝ち抜いて、晴れてプロ棋士になると、まずC級2組へ入ります。1年間のリーグ戦でそれを勝ち抜くとC級1組へ、同じくB級2組、B級1組と上がっていって、最後はA級という10名だけのリーグ戦へ。ここを勝ち抜くと名人への挑戦者となれるわけです。晴れて挑戦者になったあとは、現名人と七番勝負をやって先に4勝すれば名人位に就任となりますが、プロになってから最短でも5年はかかる道のりになります。
一方の竜王戦。こちらも、ランキングによって1組から6組までヒエラクキーが存在しますが、それぞれがトーナメントによって優勝者を決めます。名人戦と異なるのは、1組所属の棋士だけでなく、各組の優勝者にも挑戦者決定トーナメントに参加できる仕組みになっています。もちろん、1組からは優勝者だけでなく5位までの棋士が、2組も優勝者と2位、3組から6組は優勝者だけが、挑決トーナメントへ参加となります。
ちなみに、竜王戦6組には、プロ棋士だけでなく、女流棋士4名やアマチュア5名、奨励会1名の参加がOKですから、こちらはプロ以外の人でも竜王位を目指せる、いわゆるオープン競技なんです。また、プロ1年目でもチャンスがある仕組みになっています。
そもそも名人戦は、将棋のプロ組織が出来た時から存在するタイトル戦ですので、プロ組織そのものを形成する仕組みでもあります。C級2組1組、B級2組1組、A級でそれぞれ昇級すると段位が上がったり、また昇級・昇段によって、基本給や対局料が値上がりする仕組みが組み込まれています。A級に入らないと名人位の挑戦者になれないのは、タイトルにたどり着くまでに苦労を重ねなさい、という当時の思想が組み込まれています。
一方の竜王戦は、比較的新しいタイトル戦で、今、最も強い棋士を決める闘いを毎年開催しようとの思想で、実力があれば、アマでも女流でもチャンスを与えようと、オープン競技になったようです。それでも、名人戦と同様、6組5組4組と昇級することで昇段するルールが組み込まれているのは、竜王戦が将棋界トップのタイトル戦であるが故。ほかのタイトル戦とは一線を画しており、格式面でも名人戦と並列となっているのですね。