先週、このBlogでご紹介した「円/ドル相場」の記事のあと、何人かの方から、「かつては、円安⇒輸出企業の株価上昇、という法則が成り立っていたのに、今の日本株には勢いがない。なぜか?」という問い合わせがございました。
大変良い質問なので、まずは以下の指数を推移をご覧下さい。
日経平均株価 NYーDOW
1986年末 18701.30 1895.95
1999年末 18934.34 11497.12
2008年末 8859.56 8776.39
2022年4月22日 27105.26 33811.40
どこを取っても傾向は同じですが、例えば、ブラックマンデーがあった1987年の前年の年末に、日経平均とNYーDOWを同時に購入したら、先週末現在での収益率は、日経平均が+44%で、NYーDOWは+1683%、すなわち投資金額が17倍以上になったということ。
また、ITバブル崩壊があった2000年の前年の年末に、同じように双方を購入したら、先週末現在での収益率は、日経平均が+43%で、NYーDOWは+194%ということ。
さらに、リーマンショックのあった2009年の前年の年末に、同じように双方を購入したら、先週末現在での収益率は、日経平均が+206%で、NYーDOWは+285%ということ。
すなわち、どの局面でも、成長率がアメリカの株式が圧倒していて、日本株よりも米国株の方が魅力が高いということにあります。特に、この30年間は、投資経験がある日本人の多くが、米国株投資で成功体験を積み上げてきた期間に当たります。
そして今、久しぶりに、円/ドル相場が円安傾向に振れているタイミングとなって、余計にアメリカへの投資の流れを助長しているという訳。投資マネーは、日本から海外へ流れており、日本株に勢いが出ない最大の理由がこれ、であります。もちろん、アメリカは金利が急上昇中なので、株式全般が金利上昇により急落することもありますが、高い成長率がアメリカ株の魅力であり、この魅力自体は揺るぎません。
じゃ、どうして日本企業の成長率が低いのか? 理由はいろいろ言われています。
◎出生率が低下して人口がどんどん減っている日本に対して、アメリカは移民流入でどんどん人口が増え続けている。
◎イノベーションを実現する世界中の才能がアメリカに集まるのに対して、日本には、働く環境面でも税制面でも魅力がないため、世界の才能が集まらない。
◎衰退して消えるべき企業を、金融円滑化法という法律で、生き永らえさせてゾンビ化させている。その結果、本来、新たな芽として成長するはずの新規企業の成長を妨げている。
個人的には、上記の3つ目、ゾンビ企業を生かし続けていることが一番の理由だと考えています。
森の中でコジンマリと成長を止めた木は、ある程度「間引き」していかないと、太陽の光が地面に届かないため、大木になる可能性のある新芽の成長を妨げてしまいます。今の日本の企業群は、手入れをちゃんとしていない森林と同じ。地域の選挙のために救い過ぎた「ゾンビ企業」が、どれだけイノベーション企業の成長を妨げているか。アメリカは全く逆。DOW30銘柄と言えども、必要ならば、平気で倒産に追い込みます。
成長率の違いは、新陳代謝のスピードの違い、と同義であります。