金融マーケットと馬に関する説法話

普段は資産運用ビジネスに身を置きながら、週末は競馬に明け暮れる老紳士の説法話であります。

【第二次トランプ政権スタート】 先制パンチはお見事! でも「ハシャギ過ぎ」は危ない・・

2025-01-24 05:00:02 | 金融マーケット

 第二次トランプ政権がスタートしました。

 用意周到に練られた「先制パンチ=大統領令署名」を次々と繰り出して世界各国を驚かせるとともに、あっと言う間に「地球全体をトランプペースの世界へ」引きずり込んでしまいました。まずはお見事と言わざるを得ません。

 

 しかし、新政権に関する心配な材料も事欠きません。

 まずは「低い支持率」。新政権発足当時の支持率というのは、期待感も込めて相応に高くスタートするもの。オバマ大統領の時は83%バイデン大統領68%、共和党のブッシュ(子)大統領でも61%でしたが、第二次トランプ政権発足時の支持率は49%。8年前の第一次トランプ政権の時の44%よりは上ですが、政権スタート時で50%を割れているというのは低すぎます。

 大統領選挙では地滑り的な大勝利を収めたとはいえ、「国民の分断」を利用した選挙戦を繰り広げていますので、当然ながら「国の半分」が敵のままいつでも「火が吹く」状態で国政を担わなければならないということ。

 

 それから、新政権の顔ぶれ「イエスマン」「虚栄心と自己愛に溢れた面々」であることから、ハシャギ過ぎて失言することが続出

 例えば、新任のステファニク国連大使「ヨルダン川西岸地区は『二国家解決』ではなく、イスラエルによる統治とすべき」と従来の歴代アメリカ政権が支持してきた考えを覆す発言をしてしまっています。このような言動は、せっかくサウジやUAEなどのアラブ諸国が、イラン・ハマス陣営への反発から米国寄りになっていたところに水を差すことになってしまいます。

 

 さらには、トランプ大統領自身も不用意な言動で「失点」を犯してしまっています。それは、大統領就任式後のワシントン国立大聖堂での礼拝セレモニーにおける、マリアン・エドガー・バッディ主教の説教に対する対応

 マリアン・エドガー・バッディ主教は説教の中で「民主党、共和党、無党派の家庭にはゲイ、レズビアン、トランスジェンダーの子どもがおり、中には命の危険を感じて恐れている者もいる」と語りかけ、「農業や清掃業などの労働者には合法的な滞在資格がない者もいるかもしれないが、移民の大多数は犯罪者ではない」とした上で、「大統領、親が連れ去られるのではないかと恐れる子どもたちを抱える地域社会の人々に慈悲を与えてください。また、自国の戦争や迫害から逃れてきた人々がこの地で思いやりと歓迎を受けられるよう助けてください」と訴えかけました。

 

 

 この内容は、聴衆にも非常に感動的な下りであって、リベラル派だけでなく、保守派の国民の多くにも「ハッとさせられる」ような勇気ある発言でした。

 しかしトランプ大統領は、礼拝セレモニーのあと、X上で「急進的左派の見解で、良い礼拝ではなかった」とネガティブに反応、しかも「主教に謝罪を求める」とツイート。もちろん、トランプ派の国民はこれを支持していますが、国を二分するトランプ反対勢力だけでなく、本来支持してくれるはずの共和党保守派の一部からも「?」の感情が湧く言動となってしまいました。

 

 

 上記のとおり、用意周到に準備した「先制パンチ=初日の大統領令署名」は、リスクマネジメントが行き届いた見事な先制攻撃でありましたが、そのあとの不用意な言動には「相変わらず危なかしさが散見」されていて、ここ数日は、そのコントラストが際立った気がいたします。

 

 とにかく気になるのが、昨年7月の「暗殺未遂事件」みたいなことが、いつでも起こりうるということこれだけ派手なパフォーマンスでスタートしたのですから、ぜひテロ対策の方も万全にしてほしいと思います。

 周囲の警備関係者は、あまり入れ替えない方が良いと思いますよ!

 

 


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