現地1月20日(月)に「トランプ劇場 第2章」が開幕いたします。
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すでに、グリーンランドやパナマ運河の領有、さらにはカナダ属州化にまで言及するなど、大統領就任の前から、トランプさんは盛んに「ジャブ」を繰り出していらっしゃいますが、20日の大統領就任式を境に、どのような行動に撃って出るのかを、全世界が注目しております。
まぁ、「お得意のプロレス技」の一つでありましょう。
すなわち、対戦前のリング上で、隠し持っていた反則用の「剣」だったり「鞭」だったりを、観客によく分かるように見せてつけておいて、レフリーがそれをチェックしようとすると、リング下の幕の中に隠してしまうというデモンストレーションと同じ。観客に対して「憎悪」とともに「警戒」の念を植え付けて、試合中、常に自らへ観客の視線を集めるという効果を狙ったもの。ここからの4年間、世界の主役は、プーチンでも習近平でもなく自分だということを、あらためて世界中に知らしめることが目的なのであります。
そして、前回と今回、すわなち「トランプ劇場 初演」と「トランプ劇場 第2章」の違いは、4年後の再選を狙っていないこと。
前回は、次の大統領選までにハッキリした成果をあげることで、再選を確実にしようとする意識がありあり見えました。だから、バックにいる共和党保守派の言うことをよく聞きながら、ジックリと劇場のシナリオを練り、演じていたと思います。
しかし、今回は4年後の再選は狙いませんので、あえて狙っているのは「2年後の中間選挙」の勝利だけ。これを勝って、4年間フルに勝手気ままに行動したいという意識だけで動いてくると思います。
ちなみに、中間選挙は2026年11月ですから、今年2025年からの1年間半で「観客」に強く印象づける成果を取りにくると思われます。すなわち短期決戦の意識が強いということ。さらに、その成果の副産物として、出来れば「ノーベル平和賞」も取りたい!と考えていらっしゃると思います。あの大嫌いなオバマさんが手にした勲章くらいは、何とか手にしたいというところなのでしょう。
そう考えていくと、「トランプ劇場 第2章」のシナリオが薄っすら見えて参ります。
狙いは「経済制裁」よりも「紛争の解決」であり、出来ればアメリカ国民(=福音派キリスト教徒)へのインパクトが強い「紛争の解決」。そうなると、ウクライナよりもイスラエルでありましょう。ウクライナは、イスラエルで成果が出なかった時の「保険」の位置付けという感じか。
ここまでの派手な言動は、それを実現するための前振りであり、注目を集めるためのデモンストレーション。そんな風に「トランプ劇場 第2章」を見ていれば、必要以上に振り回されることはないと思います。
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ちなみに、現時点では、トランプさんの関心はアジアにはなさそうに見えます。台湾も朝鮮半島も優先順位は低いということ。紛争が実際に起きていないところでは「紛争の解決」にはなりませんので。
このあたり、「日本が、アジアが、トランプさんに振り回されないで良かった」などと思わないこと。トランプさんの関心が低いということは、その分、アメリカの牽制力が弱まりますので、習近平政権からすれば、水面下で反転攻勢をかけやすいタイミングだということです。そういう時に、わが国が水面下でいかに手を打てるかで、次の10年間の地政学リスク制御に繋がります。アメリカが頼りにならないタイミングで、日本がどれだけ対中国、対北朝鮮に対してクサビを打ち込めるかが試される4年間になりそう。
まぁ、今の過半数割れ与党に、大きな期待はできないとは思いますけど・・