金融マーケットと馬に関する説法話

普段は資産運用ビジネスに身を置きながら、週末は競馬に明け暮れる老紳士の説法話であります。

【トランプ流の外交術】 信頼関係より損得勘定へ 19世紀の帝国主義時代へ戻ったよう・・

2025-02-05 03:38:49 | 金融マーケット

 1月末から、トランプ劇場の展開が激しくなっています。

 

 

 大統領就任時には、いったん見送った「関税攻撃」を突然、中国・カナダ・メキシコに突き付けた結果、世界の株式市場はちょっとした混乱状態に。その「勢い?」を利用して、カナダとメキシコからは水面下で何らかの果実を受け取った模様で、とりあえず2月4日からの関税措置は30日間延期されました。

 それにしても、カナダ・メキシコともにアメリカにとっては隣国であり、さまざまな課題が横たわる関係ではあるものの、防衛面やイデオロギー面では盟友関係にある間柄。この隣国2つに対して、いきなりパンチを喰らわせて、有無を言わさずに「譲歩」や「覚悟」を求めて果実を獲得するやり方は、いかにも「トランプ流の外交術」であります。

 当然ながら、両国との信頼関係はズタズタとなりますが、そのかわり、両国ともに「自国の損得勘定」を冷徹に行い、損の少ない対応措置を選択し行動することになります。結果として、何十年も動かなかった懸案がようやく動き始めるといった具合。「信頼関係」から「損得関係」に変化した結果、この損得勘定が成り立つ間は、両国との関係も安定することになります。もちろん、損得勘定が成り立たなくなれば、あっという間に国としての行動も変わる関係になった訳ですから、油断も隙もありませんけど。ただ、とても分かりやすい関係になったことは確かであります。

 

 この状態は何だか、第一次世界大戦前の欧州の帝国列強間の関係に近づいている気がいたします。あの時代、イギリスであれ、フランスであれ、ドイツであれ、ロシアであれ、トルコであれ、欧州列強と呼ばれたどの国も自国の利益のために権謀術数を弄して、損得勘定だけが行動の基本原理でありました。

 その結果として、20世紀初頭に世界大戦が発生。また、その戦後処理で更なる過ち(ドイツへの過大な賠償金)を犯して、もっと悲惨な世界大戦を再び招くことになりました。その反省と教訓を生かして20世紀後半の世界秩序に至ったはずなのですが、結局、21世紀になって20年も過ぎると、19世紀の世界情勢に戻ってしまったようです。

 

 今週末には、そのトランプ大統領と石破茂首相の初会談が行われます。

 石破首相に申し上げておきたいのですが、トランプ大統領は同盟国の日本に対しても「損得関係」を求めてきますので、当然ながら当方としても、クールで冷徹な「損得勘定」が行動原則となります。

 安倍さんに倣って「トランプさんとの信頼関係」など、間違っても期待してはいけません。あの時は、安倍・トランプの奇跡的な相性の良さによる産物でありました。

 そんなもんを追いかけると、下手すると初会談でお尻の毛まで抜かれる」ことになりますよ!

 

 


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