旨いもの美味しいものが大好きで太目だった両親に育てられたせいか、ついつい食べ過ぎる傾向がある。家内と二人きりで夜レストランに行くことは滅多にないが、連れがあると早速フレンチイタリアンを予約して出かけてしまう。
そんな時に困惑するのが、メニューにコースしかない店だ。きちんと下調べしないのが悪いかもしれないが、いちいちメニューまでチェックしないことも多い。お値段はある程度覚悟しているので我慢できるとしても、サラダとメインだけで十分な腹具合のことや体重が気になることあるし、あれこれ迷う楽しみもあるのだ。
コースだけにしておけば準備が簡単(手頃なコースに前菜やメインを追加してクラスを上げてある)だし、お手頃のコースと言っても四、五千円である程度の単価が確保できる、というのがコースしかない理由だろうが、お客としてはちょっと異議もある。
確かにディナーとなればそう滅多に行くものではないから、多少値が張ってもコースがお勧めというのはある程度理解できるが、ディナーというのは正餐のことで夕食を意味するわけではない。ランチはサービスでお手頃な値段にしているので、夕食はそれなりのお値段でというのは、業界の作り出した慣習のように思う。
どうも日本は庶民から沸き上がったと言うよりはクリスマスから始まりバレンタインからハロウイーンまで、業界の作戦的な流行が慣習のようになっている。日本はと書いたが諸外国でもそうした傾向はあるかもしれない。
そうした作戦が裏目に出て苦戦しているレストランも多いと見ている。発想を変えて、夜もランチに似た感覚で食べられるメニューにすれば、今夜も一組みだけとか二組だけということはなくなるのではないか。
八千円で二組よりも三千円で六組の方が賑やかで客も楽しい。特にフレンチレストランは考え直すと良いのではと思う。