三十年ぶりに展覧会で元勤めていた病院の婦長(今は師長という)に会った。お互いにじろじろと見つめ合い、ちょっと変わったねなどと言い合ったのだが、マスク越しでもどかしく、懐かしさも四分の一ばかり少なく感じた。ハグまでは無理としても握手くらいはしたかったのだが、お互いに元気で良かった(色々言うところは多いのだが)と深々とお辞儀しあって別れた。
どうもマスクには隔靴掻痒感が付きまとう。あんまり変わらない人も居るが人によると誰か分からなくなってしまい、相手が名乗ってくれるのを誘導しなければならない。手放せなくなったマスクだが、ウイルス感染を防御してくれる効果はあっても人を隔てる副作用があると感じる。