職種によって人になにがしか固有の特徴というか気質があるように感じる。例えば同じ飲食業でも寿司と中華では何処がどうと一言では言えないが明らかに違う。
いつもの理容店の予約が取れず、ネットで見つけた近くの理容店に出かけた。この繁忙期に直ぐ予約が取れたので人気店ではないようでちょっと冒険だったが新しい店も一興だ。五十歳前後と思しき店主が所在なげに待っていた。どんなふうにと聞かれたのでこちらの希望を伝えると、前回の散髪からの期間を聞かれた。五週間と答えるとおもむろに観察してからカットが始まった。仕事は丁寧できめ細かく、いつもの理容店に負けない満足な仕上がりになった。いつも大体一時間弱なのだが初めてのせいか一時間十分ほどかかり、お値段が僅かに安かったのに驚いた。
今までにおそらく二十軒ほどの理容店に行っていると思うが、大雑把で乱暴な理容師にお目にかかったことはない。大まかに割りとよく話をしデザイン性を考えた整髪をするタイプと気取らない髪型に黙々と鋏を動かすタイプとの二つに分かれる気がする。
この理容師さんは無口で丁寧で気に入ったのだが、さほど繁盛していないせいか店の清潔感が僅かに足りない感じがしたのは残念だった。岬巡りも楽しそうだが、床屋巡りも面白そうだなと爺いの冒険心をくすぐられた。
刹那の時間であっても見逃さない
始めていく「床屋」と言える古さをも感じる店を
読み手は想像
まだ新しいことに興味があります。床屋の雰囲気を残した理容店で、口数の少ないのが気に入りました。