8月下旬の話で恐縮だが、Kちゃんは夏休みの自由研究「かみしばい制作」に没入した。かみしばいを作ったのははじめてであるが、物語のキャラと冒頭さえ決まれば、あとは書いているうちに、すいすいと流れるように出来てしまう人らしい。
その冒頭と登場人物については、「こういうなんにしようと思うけど、どうかな?」と相談を持ちかけてくれたが、その後は「出来てしまうまで、見たらアカンでー」と拒否されてしまった。
物語は「竹取物語」をパクっているので「竹鳥(たけとり)物語」・・・にはせず、「竹烏(からす)物語」とひねりをきかす。
おじいさんは山に柴刈りに・・・いかない。グラサンにバーコード頭でくわえタバコのおじいさんは、ポケットに手を突っ込んで肩を揺すりながら、パチンコに出かけるのだ。
おばあさんは「川流れクリーニング工場」へ、パートに出かける。でも山へ柴刈りにいく人も必要なので、仕方なく孫の「孫夫くん」が柴刈りに出かけ、竹藪の中で光る竹を見つけて、ぱかっ!!と切ってみると、驚愕のあまり、目を□(四角)白目にしたカラスが「なにしてくれるねん!!」とばかりに関西弁でまくしたてる。
その後いろいろあって、感動??のラストが用意され、ついでながら驚きの「おばあさん」の正体が暴露されたりする。
「そんなバカバカしいお笑いな」自由研究だったが、学校での展示期間中はなかなかの人気だったようだ。児童の皆さんのみならず、保護者や先生にもウケていたみたいで、本人は気をよくしていた。自分も楽しめ、人も楽しませ、宿題の一環として提出できる。若くして近江商人の「三方よし」を自分のものにしているとは、感心だ。
もっとも「この作品で苦労した所」という項目では「文章(物語)を書くときに一番時間がかかったのが、漢字を調べるためにいちいち辞書を引いたことだった」らしい。勉強の必要性というものも、身を持って判ったであろう(たぶん)最後の自由研究だった。