紙魚子の小部屋 パート1

節操のない読書、テレビやラジオの感想、お買い物のあれこれ、家族漫才を、ほぼ毎日書いています。

ジェットコースターにもほどがある

2006-09-27 23:29:59 | 読書

 我家は「こわいもの」が苦手の一家であるので、子ども達とジェットコースターに乗った事は、ほとんどない。ほとんど、というのは父母それぞれが何かの間違いで1回乗ったからだ。

 夫・H氏はなにかの勘違いで「あれ面白そうやし乗ろかなー」と息子Tくんとヤミの中を走り抜けるコースターに乗ったことがある。確か伊勢志摩の『パルケ・エスパーニャ(スペインのテーマパーク遊園地)』に行った時だ。恐ろしくこわかったやん!酷い目にあわせよる~というのが直後の感想。

 私は奈良のドリームランドに行ったとき、単なる「園内電車」と間違えて、電車好きの小さなTくんの手を引き乗り込めば、上から「がちゃん」と安全ストッパーを係の人がかけてくれるので、さーーーっと青ざめる。けどもう遅い。生まれて2度目にループコースターに乗ってしまった。(一度目は失恋した勢いでエキスポランドのループコースターに一人で乗ったのだった)

 が、TくんもKちゃんも、短期留学で行ったアメリカで本場のコースターに乗ったため、すっかりコースターに免疫がついたようだ。Tくんはホストファミリーに『ナッツ&ベリーファーム』という遊園地のジェットコースターに乗せられて、半泣きだったそうである。「またいつもの大袈裟なはなし~」と、その時は笑っちゃったが、宮田珠己氏の『ジェットコースターにもほどがある』を読んで、『ナッツ&ベリーファーム』は世界でも有数の「はげしい」ジェットコースターがある遊園地と知り、それはそれは、と遅ればせながらやっとTくんに同情した。

 宮田珠己氏は旅行好きの多趣味なエッセイストである。私は2年ほど前にハマってしまった。とにかく「笑いたい!!」とあなたがいま切望しているのなら、ぜひに、とおすすめしたい。「笑える」ことは100%請け合おう。

 彼は多趣味だが、「島を絶対海岸沿いに一周」とか「シュノーケリング」はまあよいとしても「ウミウシ」とか、アジアのへんてこな場所巡り(たとえば「タイガーバームガーデン」)とか、尋常でないこだわりを見せてくれる。

 なかでもジェットコースターにはひと言も二言も三言もいいたい!という人だ。いつの間にか『ジェットコースター評論家』に祭り上げられ、わけがわからない内に、ジェットコースターにまつわる番組の解説をするはめになったりもするのである。

 そんなきっかけになったのが、『ジェットコースターにもほどがある』という世界を股にかけたジェットコースター漫遊記だ。世界のジェットコースター制覇の旅。

 相棒を募ったところ、高校3年の受験生で、かなりのジェットコースターマニアの男子が名乗りをあげた。しかし受験生なので宮田さんも気を遣い、「大丈夫なのか?」と聞いた所、「なんとかなるでしょう」と答えた彼は、もちろん「アメリカ、ジェットコースター巡りの旅」を天秤にかけ、大学よりジェットコースターを選んだ人なのである。

 シンプルかつわかりやすい著者自身のイラストでジェットコースターを解説し、巻末には世界のジェットコースターを☆つきでランキングし、それぞれに丁寧な解説までついている。ジェットコースター好きには「こんな本を待っていたのだよ!」と感涙されること間違い無しである。

 有名なジェットコースターだけでなく、手づくり!!の、だからこそ「こわさ倍増」のコースター、はたまたボロくていつ壊れるかもわからず一般とは違う意味で「コワい」コースターなどもあり、バラエティに富んだ世界のコースターを味わえる。

 読み終えたら、もう自分はいっぱしのコースター博士なのだ!という錯覚に陥る事ができる、と思う。

 そうそう、Kちゃんはアメリカで友達に誘われたコースター体験で、すっかりコースターファンになってしまった。
 しかも『ジェットコースターにもほどがある』というタイトルも、彼女はいたく気に入って、ことあるごとに「○○にもほどがあるなー」と自分のボキャブラリーに加えていたが、その半分は本のタイトル通り間違った使い方だったため、巧まずしてギャグに変貌し、ずいぶん笑わせてもらったものである。