花のたより☆山のふみ~青森県立名久井農業高等学校~

農業と環境の研究グループ「チームフローラフォトニクス」と弟分である「ハンターズ」の取組みを紹介します!

クローン集団の行く末は

2014年06月17日 | 研究
種差海岸のサクラソウです。
草をかき分けてよく見ると、こんな実がついています。
サクラソウの実は結実して乾燥すると皮が破れて種子を放出します。
このような実を裂開果といい、中でもスミレやサクラソウなど
実の中の小さな小部屋ごとに割れるものを「さく果」といいます。
年によって結実率は変化しますが、
種差海岸は埼玉県の田島ケ原自生地の半分以下しかありません。
種子ができないとサクラソウは地下茎で栄養繁殖します。
そのため地面から新しい株が顔を出してきますがすべてクローン。
したがっていくら増えても1個体でしかありません。
チームの2年間の調査により種差海岸はクローン集団が
ほとんどであることがわかりました!
クローン集団はササや竹のように寿命がくると突然姿を消すため
絶滅するのは時間の問題といわれます。
このような現象は実は種差海岸に限らず
全国の自生地で起きているといいます。
いったいどんな理由が考えられると思いますか?
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サクラソウが見る空

2014年06月17日 | 研究
今年チームは保全生態学で用いる面白い実験をしました。
方法は簡単。サクラソウ自生地の定点に
カメラを上向きに置き、定期的に撮影するだけです。
もちろん5月上旬は空しか写っていません。
ところがこれは6月に入る頃には
このように他の草がたくさん写っています。
これによりサクラソウが日陰になっていくのがよくわかります。
埼玉県の特別捻転記念物の田島ヶ原自生地を視察した際、
「他の植物も生えますがアシなど葉を立てるイネ科植物が多いので
いくら繁茂してサクラソウには光が届くんです」と
ボランディアガイドが説明していました。
ところが私たちが調査したところ、
種差海岸は葉の細いイネ科よりも葉の広い植物が多いのです!
これが草の繁茂と同時に葉緑素が激減する理由だと思われます。
「東京には空がない」とは高村光太郎の智恵子抄。
もしかしたらサクラソウたちは
「種差海岸には空がない」と嘆いているかもしれません。

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