ムンカミ日記byコオル兄ィⅢ

ムンカミ(=物噛み)とは奄美地方の古い方言で「物を噛む」=「食べる」という所から転じて「生活」という意味を持つ。

黒声の記憶

2016年11月18日 | TVネタ

昨夜、夜中に放送されていた「黒声の記憶」を見た。

唄者・里国隆さんのドキュメントだ。

 

ワシがシマ唄を始めた頃は、図書館の本、CD、そしてまだ黎明期だったネットを駆使して情報収集していたのだが、その頃この里国隆さんの竪琴と唄声を聞いて正直ぶっ飛んだ。

シマ唄の「美しい高音で切々と」といったイメージの真逆をいくものだったからだ。

(我が師匠も美しい声の系統ではないけど....)

しかし返ってそれがブルースやゴスペルに近いように思えて俄然興味が沸いたのだった。

そしてあの独特な楽器・竪琴。

三線は沖縄でも使われる(というかアチラが本家)が、竪琴は奄美だけ。

奄美でしか使われない楽器、いや奄美でもあまり弾く人がいない。

ワシが生で見た竪琴弾きは阿世知幸雄さん(故人)、最近では盛島貴男さん、このお二人だけ。

盛島さんは唄声も里国隆氏の系統だ。

 

竪琴は祖父が残してくれたものがうちにもあるけど、難しくてなかなか上手に弾けない。

また、かさ張るので持ち運びに難あり。

例えマスターしてもライヴで使うには少々無理がある。

 

ま、そんな事はいいとして、このドキュメントを見て、幾つか心に残った事。

 

まず、黒声(クルグイ)と言われるそのダミ声は「音圧がすごかった」という。

これは生で聞いた人しか分からない。

自分の経験でいうと諸鈍のNさんがそうだった。

今は後期高齢者に差し掛かり、だいぶ大人しくなられたが、15年前くらいまではバリバリに声が出ていて、目の前で唄われるとこちらのお腹に倍音がビンビン響いてくるくらい凄い音圧だった。

里氏もそういうパワー系シマ唄だったのだろう。

生で聞いてみたかった。

 

また、生まれて間もなく失明されたらしいが5歳から父親がシマ唄を徹底的に教えたという。

今でいう英才教育だ。

やはり小さいうちから楽器をやっている人は音感・リズム感が良い。

沖縄奄美は大先輩でも調弦の甘い三線で平気で唄っている人がいらっしゃるが、里氏は三線も竪琴もピッチが正確。

また六調のリズム感も独特で素晴らしい。これもあの世代の方には珍しいことじゃないかな。

パフォーマンスはシマ唄だけでなく、流行歌を歌ったりシマ唄の替え歌で世の中を風刺したりと、素晴らしいエンターテナーだった訳だ。

MCは丁寧かつ流暢。

そんなライヴ、つまらない訳が無い。

女性にもモテモテだったというが、当然だ。

 

破天荒で風来坊、音楽的な素養に溢れた唯一無二の天才ミュージシャン。

今だったらyoutubeなんかで拡散して昔よりもっともっと人気が出たんじゃないかな。

 

 

 

 


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