教団「二次元愛」

リアルワールドに見切りをつけ、二次元に生きる男の生き様 (ニコニコでは「てとろでP」)

報われぬ背景絵師

2011-01-16 00:00:30 | オタネタ全般
マンガイラストを描こうとすると、ひょっとしたら人物画よりも背景画のほうが難しいかもしれない。
恐らくアニメ製作サイドだって、人物画担当と背景画担当とでは絵師は別の人が担当しているのではなかろうか。

アニメの人物画はかなり難しそうに思う。
なぜなら、絵そのものより、スムーズにアニメーションするような絵を描かなければならないことのほうが難しいに違いないからだ。

それと同じく。
アニメの背景画もかなり難しそうに思う。
アニメーションする絵としての難易度は人物画ほどではないかもしれないが、絵そのものの画力は圧倒的に背景画のほうが要求されそうな気がする。

まあ、どちらも相当な技量が要求されるのは間違いなかろう。



しかし!

この2つには大きな違いがある。
視聴者からの反応についてである。

極論すると人物画とは、良かれ悪しかれそれが作品のほとんど全てのようなところがある。

絵が可愛くないと、すぐ
「○○の第○話は作画崩壊www」
などとけなされる。

背景画のほうはそうではない。
良かれ悪しかれ視聴者からの反応はほとんどない。
めったにけなされもしない代わりに、絶賛されることもまた稀だ。
(ジブリ作品だけは背景画の評価が高い気がするが、あそこの作品はマンパワーのかけかた1つとっても例外中の例外だろう。)

昔のアニメ作品のセル画の売買にもそれは現れている。
セル画として高値がつくのは人物画のアップだけである。
背景画だけでセル画の売買が行われたところをわたしは見たことがない。



もう1つある。

アマチュアカメラマンのパパさんが娘の運動会でハンディーカムを持って撮影に行ったとしよう。
そして撮影し終わって家に帰ったとしよう。
もしヤル気があるヤツならそこで編集作業に移るかもしれないが、ふつうは撮ったまま放置となる。

こういう動画作品は誰が見てもものすごくつまらない。
変化がないからだ。

アニメはそうはなってはいない。
数秒程度で必ずカメワラークが切り替わるようになっていて、見ているほうが飽きないように作られている。
たぶんこれは映像を作るうえでのキホン中のキホンなのだろう。

ただ、これには1つ副作用がある。
ものすごく巧い背景画が仕上がったとしても、それは長くても数秒しか使われず、しかもコンマ数秒しか使われないこともよくあるからだ。
これには絵師に対する同情を禁じえない。



いまやってるアニメの中では「フラクタル」が背景の雰囲気が良くてイイ味出している。
その背景の雰囲気が、久々の本格指向を髣髴させるアニメに仕上げてくれている。
グラフィニカの人たちも少々かかわっているようだし、面子からしても作画を誇れるアニメになる勝算は十分にありそうだ。

しかしそれら秀逸な背景画も、1枚あたりわずかコンマ数秒で使い捨てられる・・・。

なんと悲しいことか!
ヘタしたら誰も気付いてくれないのではなかろうか!?

いや違う!
我々がそれに気付くのだ!
誰よりもアニメを見てきた我々がそこに気がつかなくてどうするのだ!

我々アニオタも、たまには背景画の出来映えを評価しようではないか。