まるで、トム・クランシーの米中開戦を地で行くような進展だ。
中国と一口に言っても、政府と共産党は違う。
党の方が上にある、という意味でだ。
今、中国は南シナ海を本気で取りに行こうとしている。
これは石油の確保という意味で重要な地域なのだ。
内政的に大きな矛盾を抱える中国にとって、海の利権は大きな意味を持っている。
ベトナム相手に争いを起こしても、アメリカは出てこない。
まずは弱いところを叩いて、既得権化を進めるのだろう。
私は集団的自衛権の行使に賛成はしないが、個別的自衛権の危うさがこの辺にある。
暴力団の縄張り争いのようなものだ。
力が均衡していればよいが、破たんするととめどもなく粛清される。
米中開戦では、ベトナムの盟友として、インドが登場する。
この本の中では、南シナ海に隣接しない国家の軍艦は攻撃すると中国が宣言する。
そして、ベトナムに寄港していたインドの空母を撃沈してしまう。
アメリカもこの地域から引き上げる。
この戦略を裏から支援しているのが、中国からアメリカへの重厚なサイバー攻撃だ。
あらゆる事態を想定し、防御を厚くし、かつ友好関係を維持していくという二面外交が必要なのだろう。
そんな芸当が、日本という国にできるのだろうか。
この国では勝つシナリオを作ることは困難だが、負けないシナリオを作ることはできる。
そのための戦略を、一度、徹底的に議論したらどうだろうか。
それは国家間のトラブルだけではなく、予期しない大災害にもつながる気がする。