1957年6月から10月にかけて「四次元」83号から85号に連載された論文です。
著者が二十代の時の文章なので、やや観念的で未消化の部分はありますが、童話集「注文の多い料理店」の概要を、以下の観点でまとめています。
1.童話集以前の作品
当時、大正七年の作品とされていた「蜘蛛となめくぢと狸」(その記事を参照してください)、「めくらぶだうと虹」(その記事を参照してください)、「双子の星」について、それぞれ、社会批判の系列、宗教的な系列、耽美的(?)な世界と区分して論評しています。
2.「イーハトーヴオ」宣言
童話集「注文の多い料理店」の新刊案内(その記事を参照してください)について、考察しています。
3.童話集の構成について
この時点では、著者は全集通りに制作年月日順に掲載されているとしています(関連する記事を参照してください)。
4,イーハトーヴオの内想
童話集の中での、自然的環境への対応について考察しています。
5.小さなこころの種子
童話集の中での、広い意味での人生批評について考察しています。
6.止むに止まれない反感
童話集の中での、社会的環境への対応について考察しています。
7.結びに代えて
前出した考察に加えて、今後の課題についてまとめています。
著者はこの本の編者でもあり、自分の若書きを謙遜していますが、当時の賢治研究の今後の方向性についてはよく網羅されていると思います。