1984年に出版された、著者の本の中では最も売れた本のひとつです。
結婚11年目にようやく授かった娘の出産から、1歳の誕生日までの日々を、克明に綴っています。
著者は、けっしてイクメンではなく、どちらかというと育児は妻に任せっきりで、仕事にうちこんでいます。
1947年生まれなので、日本で言えば団塊の世代にあたりますが、そういった点では、日本の同世代の父親たちよりはややましな程度です。
そうした頼りない父親の目から見た、娘の成長と、同様に頼りない新米母親だった妻が頼もしく成長する姿が、鮮やかに描き出されています。
出産、退院、授乳、夜泣き、病気、育児書どおりにはいかない成長、初めての歯、寝返り、お座り、ハイハイ、つかまり立ち、立つ、歩く、食べる、言葉など、そうした初めての親子の体験のひとつひとつが、名コラムニストの観察と文章で見事に再現されています。
私も最初の子を授かったのが八年目だったので、著者の気持ちは痛いように分かりますし、その時の素晴らしい体験を、この本を読むことによって、再体験できました。